無料BIツール

【比較表つき】無料で使えるBIツール4種の「できること」「できないこと」を徹底調査

1.無料で使えるBIツールってあるの?

企業ではさまざまなシステムが活用されています。生産管理システム、会計システム、販売管理システム、在庫管理システム、人事システム、ERP、CRM(顧客管理)、SFA(営業支援)、MA(マーケティング・オートメーション)……。

それぞれのシステム毎に役割が違い、毎日多くのデータがを追加されていきます。たとえば売上や経費関係はERP、見込顧客の動向はMA、セールス活動はSFA、リテンションやカスタマーサクセスはCRMといった具合です。すべて合わせると、数TB(テラバイト)を超えるデータを持つ企業もあると言われます。

BIとは、「Business Inteligence(ビジネス・インテリジェンス)」の略で、蓄積している膨大なデータを、収集・分析・加工し、企業戦略、経営戦略のための意志決定を支援することを指します。しかも、エンジニアやデータ・アナリストといった専門家でなくとも、データを加工し、分析を進めることができるのが、BIツールです。

近年、大きな注目が集まっていますが、それはテクノロジーの進化と密接に関連しています。

1)インターネットの浸透

インターネットの高速通信やスマートフォンの普及で、消費者の購買行動や企業のマーケティング活動が大きく変化しました。世界中のモノやサービスを知り、調べ、購入し、人に勧めるといったサイクルをひとつの画面上で行えるようになり、カスタマージャーニーの多くはデジタルシフトしました。それらのデジタルデータを分析できるのがBIツールです。

2)IoTとビッグデータの活用

さらに各種センサーの技術進化と低コスト化が加わり、「IoT」(モノをインターネット接続する)という概念に進化しました。スマホだけでなく、家や家電、クルマなどもインターネットに繋がるようになり、さまざまなデバイスから集まる位置情報や行動データなどの膨大なデータ、つまり「ビッグデータ」が企業内に蓄積されるようになりました。BIツールを活用すれば企業に散在しているビッグデータを統合し、加工・抽出、リアルタイム分析や精度の高い分析を行うことができます。

3)データドリブン経営とAI

競争が激化する現代において、これらのビッグデータを活用して、スピーディーな経営戦略の意思決定を行うデータドリブン経営がトレンドになり、BIツールの重要性は高まり続けています。最近では人工知能(AI)を活用したBIツールも登場しています。

BIについては、こちら(※)も参考にしてください。
※【 入門編 】BI(ビジネス・インテリジェンス)は、ビジネスのあらゆるシーンを「データで」活性化させるツールだ

そんなBIツールですが、無料で使えるものも登場しています。期間限定のようなトライアルではなく、無料で使い続けられるものは、主には下記の4種類です。

  • Pentaho(ペンタホ)
  • Qlick Sense(クリックセンス)
  • Microsoft Power BI
  • Google Data Studio

それぞれどんなことができて、どんなことができないのか?今回は無料BIツールを掘り下げて比較してみました。ページ下部に比較表がありますので、お急ぎの方はそちらをどうぞ。

また、後半に具体的なBIツールの成功事例もあるので、そちらも参考にしてください。

2.オープンソースで高い自由度と拡張性を持つ
「Pentaho(ペンタホ)」

http://www.pentaho.com/

プロフェッショナル向けに作られたオープンソースBIの「ペンタホ」。オープンソースなので、先端技術が迅速に取り入れられ、データ統合、データマイニング、レポーティングなど、基本的な機能は充実しています。また、ベンダーのサポートも受けられます(無料版はコミュニティ形式)が、英語オンリーです。2015年、米国日立データシステムズ社がペンタホ社を買収し、現在は日立ヴァンタラ社が提供しています。

○ペンタホで「できること」

  • インタラクティブでビジュアル化された対話型の分析手法
  • 多様なレポーティングが可能(RDB、OLAP、WEBベースレポーティング)
  • 先進的な分析手法のライブラリ (ジオマッピング、ヒートマップ、分布図、バブルチャートなど)
  • 専門的なビジュアライズプラグインでビジュアル化したレポート作成が可能

×ペンタホで「できないこと」

  • 無料版はインストーラーがなく、ツールを個々にサーバーとクライアントにインストールする必要がある(一定の技術・知識が必要)
  • 無料版はダッシュボードのカスタマイズが不自由
  • 無料版は、一般的なMySQLではなく、HSQLDBを使用
  • 基本的にプログラミングの知識がないと利用が難しい

3.無料版とは思えない多機能な「Qlick Sense(クリックセンス)」

http://www.qlik.com/ja-jp

「クリックセンス」は、ドラッグ&ドロップで、スマートな対話型のデータ・ビジュアライゼーションを作成できる無料BIツールです。独自の連想データインデックス作成エンジンを使用し、取り込んだデータを他のデータに関連づけることができます。

○クリックセンスで「できること」

  • ウィザードでのデータインポートが可能
  • 権限設定やデータ定義などはサーバーで一元管理するのでセキュリティ的に安心
  • ビジュアル性の高いレポーティング、ダッシュボード作成
  • インポート可能ファイルの種類が多数
  • Qlik DataMarket(有償)では既成データを外部ソースから入手可能

×クリックセンスで「できないこと」

  • 対応OSは64bit版のWindowsのみで32bit版は非対応
  • ピボットテーブル
  • ストーリーボードでプレゼン資料、アウトプットは不可
  • マクロの利用不可

<利用可能DB・ファイル>
スプレッドシート、Web ページ、区切りファイル、Excelファイル、HTMLファイル、KMLファイル、固定長レコードファイル、XML、QlickView、Apache Hive、Cloudera Impala、IBM DB2、Microsoft SQL Server、MySQL Enterprise、Oracle、PostgreSQL、Sybase ASE、Teradata、ODBC、OLE DB、 REST 準拠データソースなど

4.Officeソフトの感覚でデータ分析できる
「Microsoft Power BI」

https://powerbi.microsoft.com/ja-jp/

マイクロソフトが開発したBIツール「パワーBI」。マイクロソフトの社内ではメールソフトよりも頻繁に使われていると言われます。使い慣れたExcelのような操作感で簡単にデータ分析をし、PowerPointのようにレポート作成でき、ブラウザやスマートフォンでの閲覧もできます。

○Power BIで「できること」

  • プログラミングをせずにダッシュボードやレポートを作成可能
  • モバイルやWebで閲覧可能。アプリも用意されている
  • ビジュアル性の高いレポーティング、ダッシュボード作成
  • GoogleアナリティクスやFacebook、SalesforceなどのSaaSにも対応
  • データソースからの定期更新が可能(ただし無料版は1日ごと)

×Power BIで「できないこと」

  • 無料では容量が1GB/ユーザーと少ない
  • 無料版では他のアカウントとのレポートの共有や共同編集ができない
  • 無料版ではオンプレミス上にあるデータベースのデータを取り扱うことができない
  • 無料版ではアクセス制御ができない

<利用可能DB・ファイル>
Web ページ内の Table タグや URLアクセスが可能なファイル(Excel や CSV、XML、JSON、Text など)、Hadoopファイル(HDFS)、SQL Server、Oracle、DB2、MySQL、PostgreSQL、ODBC、Teradata、Sybase、Access、MicrosoftAzure 上の各種サービス(AzureSQL Database、AzureSQL Data Warehouse、Azure HDInsight、BLOB/テーブル ストレージ、Marketplace)、Active Directory、Salesforce、GitHub、SweetIQ、Google Analytics、Twillio、QuickBooks、Facebook、Zendesk、OData、Exchange、SharePoint リスト、Dynamic CRM など

5.カンタン操作でセンスの良いレポートが作成できる
「Googleデータポータル」

https://datastudio.google.com/#/org//navigation/reporting

Googleが、様々なデータを1つのダッシュボードで可視化し、分析できる無料BIツール「Googleデータポータル」を公開。もともと有償有償(月100万円など)だった高額ツール『Analytics 360 Suite』のスピンオフで、以前は「Googleデータスタジオ」という名前でした。簡単操作でビジュアル性の高いレポート作成が作成ができ、Google AnalyticsやAdWordsとの連携もスムーズです。

○できること

  • ノンプログラミングでデータ取得可能
  • ドラッグ&ドロップでレポート、ダッシュボード作成可能
  • Googleドライブで共有可能

×できないこと

  • レポートの上限が1ユーザー5個(★2017年2月上限が撤廃されました。)
  • 印刷機能がなく、Web閲覧のみ
  • 異なるソースからのデータの合算描画と計算機能はなし
  • アドホックな分析には不向き

<利用可能DB・ファイル>
Google AdWords、アトリビューション 360、BigQuery、Cloud SQL、Google アナリティクス、Google スプレッドシート、MySQL、YouTube アナリティクスなど

6.無料BIツール比較表

BIツールを業務で使うために

無料BIツールは、最初の入り口としては良いかもしれません。ただ、BIはデータドリブンな意思決定支援という、企業の舵取りをサポートするような大切な業務なので、機能制限で不十分なデータ分析しかできない、といったことがあれば、それこそ本末転倒です。以下、比較表にまとめてみましたので、ぜひ参考にしてください。

無料BIツール比較表

※○=可能、△=一部可能、▽=有償なら可能、×=不可能

  Pentaho
(ペンタホ)
無料版(コミュニティ・エディション)
Qlick Sense
(クリックセンス)
無料版(Desktop)
Microsoft Power BI Google Data Studio
形式 ソフトウェア型 ソフトウェア型/クラウド型 クラウド型 クラウド型
対象規模 企業規模問わず 企業規模問わず 企業規模問わず 企業規模問わず
ドラッグ&ドロップによる
直感的操作
×
ノンプログラミングでの
データ取り込み
SQLクエリによる
データ取り込み
ガイド、テンプレート機能 ×
データマイニング機能 ×
アクセス権などの
管理コンソール機能
×
モバイルでの閲覧 ×
コスト ¥0 ¥0
ただしクラウド版の場合は以下の機能制限あり
  • 5人のユーザーと共有
  • 最大アプリケーション サイズ 25MB
  • 最大ストレージ 250MB
  • Qlik DataMarket の無料パッケージへのアクセス
¥0 ¥0
有償版 エンタープライズの金額は要問い合わせ。
  • データマイニング
  • アクセス権管理
  • モバイル閲覧が可能になるなど
サーバー版を有償提供。
約125万円程度~(要問い合わせ)
Power BI PRO \1090/ユーザー/月(年契約)※
  • データ容量の上限が無料1GB
  • ユーザーから10GBに増量
  • Office365との連携が可能

https://powerbi.microsoft.com/ja-jp/pricing/
「Googleデータスタジオ360」有償版 
  • 価格は要問い合わせ。
  • 高度なデータ分析が可能に
提供企業 日立ヴァンタラ Qlik Japan Microsoft Google
本社所在地 アメリカ アメリカ アメリカ アメリカ

7.BIツールとExcelの違い

もうひとつ、BIツールに関連してよく聞かれるのは、「今Excelをガンガン使ってるんだけど、BIツールとExcelってどう違うの?」ということ。それから、「Excelではできないことや不便なことも多くて、BIツールにしたら全部解決するの?」という「脱Excel」を図るかどうかで迷っている方もとても多いですね。

Excelは汎用性が高くすばらしいソフトですが、やっぱり限界があります。そこで、ExcelとBIツールの違いについて、簡単に紹介します。

◎BIツールでできて、Excelでもできること

  • データ集計、クロス集計
  • 予実分析、ABC分析などのデータ分析
  • グラフ作成
  • 関数機能

○BIツールではできず、Excelではできること

  • 将来予測機能(FORECAST関数の拡張版。一部のBIにはあり)

×BIツールにできて、Excelではできない(適わない)こと

  • 異なるデータソースの統合
  • 大容量データの取り扱い
  • スピーディーな大容量データの処理
  • データ共有
  • アクセスや編集の権限管理
  • データの同時編集
  • リアルタイム更新
  • データの信頼性

端的に言うと、Excelは単一の表データを個人や少人数のチームで分析することに向いていて、BIツールはビッグデータを駆使した分析に向いています。

詳しくは、以下のページも参考にしてください。頑張って編集した動画もありますよ。

【 検証動画あり 】BIツールとEXCEL、何が違うのか?どう使い分けるのか?動画と表でまるわかり!

8.BIツールを業務で使うために

この記事では、4つの無料BIツールを紹介してきました。いずれも、期間限定のトライアル版ではなく、機能制限などはあるものの、無料で使い続けられるツールを選びました。

ただ、機能制限やデータ容量制限などがあれば、いずれは物足りなくなってくる場合もあります。

BIツールがどのようなものかを知ったり、担当者個人が自分の担当領域だけの分析をするなら、無料のBIツールでもいいかもしれませんが、現場で、あるいは企業全体で、エンタープライズ仕様で使うなら、有償版がお勧めです。

有償版のBIツールの機能比較はこちら(※)をご参照ください。

※BIツール導入 完全攻略ガイド

また、以下のホワイトペーパーではBIツールの成功事例や導入事例もご紹介しています。ぜひ活用してください。

9.BIツールの具体的な成功事例3つ

最後に、BIツールで会社を変えた事例を3つご紹介します。

【導入事例1】脱Excelに成功。で、約800人が毎日使う営業活動に直結したBIに

鳥居薬品株式会社
業種:医薬品/従業員数:1058名(当時)

引用:鳥居薬品株式会社
https://www.torii.co.jp/

●導入前/複数のBIツールとExcelを併用

製薬メーカーとして140年以上の歴史を持つ鳥居薬品さん。データ分析による戦略策定が欠かせない業界であり、複数のBIツールとExcelで基幹システムのデータや市場データの分析を行っていたそうです。そんな中、新たな市場データをより迅速に入手可能になり、データ分析・活用スキームの見直しが始まりました。

●導入の決め手/グラフ表現力とスピード感が決め手

データ活用のスピード感と表現力、両方の課題を解決できるBIツールを探す中で「Actionista!(アクショニスタ)」を知り、グラフの表現力や分析画面の見やすさや使いやすい点、サーバーライセンス方式で利用者を限定する必要がないコスト面での魅力から、導入が決まりました。

●導入効果/全社員の8割が毎日アクセス

朝、BIのデータをチェックしてから1日の活動をスタートさせる人が多いので、毎日8割もの社員さんからのアクセスがあるとか。データ分析のスピードも速く、これまでは外部に依頼していた新規データの取り込みが社内で完結できるようになり、時間とコストが大きく削減できたそうです。今後はセールス活動の分析や経費分析などにも活用を望む声が上がっているとのこと。

【導入事例2】役員会に衝撃が走った、思わず使いたくなるBIツール

THKリズム株式会社
業種:製造業/従業員数:1884名(当時)

引用:THKリズム株式会社
http://www.rhythm-mp.co.jp/

●導入前/Excel書類をプリントアウトしてやりとり

ブレーキなど自動車の重要保安部品を開発・製造するTHKリズムさん。6カ国で10を数えるグローバル拠点の管理徹底を目的に、ERP(基幹系情報システム)導入後、そのデータを活用するためにBIツールの導入が検討されました。当時は会議でもフォーマットがバラバラなExcelを都度紙に印刷して配布していたそうです。

●導入の決め手/役員でも使いたいと思える簡単なBIツール

役員に使いたいと思ってもらえる、見た目的にわかりやすく、操作も簡単なBIツールを比較検討する中で選ばれたのが「Actionista!」でした。売上、購買、粗利、在庫の項目ごとに全拠点のトレンドがパッと見てわかる、高いビジュアライゼーション性能を持つダッシュボードが簡単に作れることが決め手になりました。

●導入効果/役員に衝撃が走ったBIツールお披露目会

そして、全役員を招集した朝会の場で、BIツールのお披露目会が行われました。初めてのペーパーレス会議で、自由自在に数値を深掘りできることに大きな衝撃が走ったそうです。役員が直感的にERPのデータを活用できると実感、情シス部門も業務部門からの要望に対応するだけでなく、逆に提案できる武器を手に入れたと感じ、夢が広がったそうです。スモールスタートで小さく始めたことが成功に繋がった要因だともおっしゃっていました。

【導入事例3】属人化したExcelでの集計・グラフ化作業がゼロに

日本電子材料株式会社
業種:製造業/従業員数:559名(当時)

引用:日本電子材料株式社
http://www.jem-net.co.jp/

●導入前/各部署が専任担当者を置いてExcelでデータ集計

半導体検査部品の開発・製造で知られる日本電子材料さん。技術革新が続く業界で刻々と変化する情報を分析するために基幹システムによるデータ一元化は完了していました。しかし、データ集計やレポーティングは各部署の専任担当者がExcelやプログラミングで行うという属人化した状況でした。

●導入の決め手/経営層でも使える操作性と見た目の良さ

経営層からの指示で業務効率化のためにBIツール導入の検討が始まり、2社のBIツールを比較した結果、Excelで作成していた営業日報の再現度、マニュアルいらずの使いやすさや、サーバーライセンス方式という費用対効果のよさが決め手になり、Actionista!が選ばれました。

●導入効果/経営会議でBIツールを基に議論が交わされるように

導入後、日次や月次の定型レポートを自動化したところ、一般社員でも集計・レポーティングができると喜びの声が上がっているそうです。経営会議でもレポートをプロジェクタに投影して議論が交わされ、以前なら『後で確認しておきます』で終わっていた数字が、その場で確認でき、社長からも「良いツールが入ったね!」と褒められたそうです。

3つの事例について、詳しくはこちらのページもぜひご覧ください。

【導入事例に学ぶ】BIツールが現場で活用されるための5つの鉄則とは?

最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。この記事がきっかけになって、御社のデータドリブン経営がさらに進むことを願っています。記事に共感いただけましたらFacebookページへの「いいね!」もよろしくお願いいたします。

WRITER : ナツミ
今年から新たに担当することになった超文系ライター。「誰でも簡単に」分析が出来る「Actionista !」と大型バイクをこよなく愛する。 ビジネス・インテリジェンスについては現在猛勉強中。最近は「ドリルダウン」にハマっていて、やたらと会議で使いたがる。

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