【比較表つき】
無料で使えるBIツール4種の「できること」「できないこと」を徹底調査

近年、データドリブンな経営やビックデータの活用など社会的なデータ重視の流れを受けて、多くのBIツールが登場しています。
BIツールの重要性は理解しているけれど、導入にお金を使って失敗したくない
BIツールを導入する前にまずは無料やお試しで使いたい
無料のBIツールはあるの?
この記事では、無料のBIツール4製品やBIツールの活用の方法について詳しくご紹介しています。
BIツールの役割やメリットなど、BIツールとは?と言う点はこちらにまとめています。ぜひ合わせてご確認ください。
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BIツールを完全解説〜ビジネスインテリジェンスの概要・他システムとの違い・機能・メリット・デメリット・選び方〜
自社に最適なBIツールは?
BIツール徹底比較
無料トライアルもある3つの主要BIツールを比較しながら、自社に最適なBIツールはどれか、ツール検討時のポイントをご紹介しています。ぜひ、お役立てください!
目次 |
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無料で使えるBIツールってあるの?
企業ではさまざまなシステムが活用されています。生産管理システム、会計システム、販売管理システム、在庫管理システム、人事システム、ERP、CRM(顧客管理)、SFA(営業支援)、MA(マーケティング・オートメーション)……。
それぞれのシステム毎に役割が違い、毎日多くのデータがを追加されていきます。たとえば売上や経費関係はERP、見込顧客の動向はMA、セールス活動はSFA、リテンションやカスタマーサクセスはCRMといった具合です。すべて合わせると、数TB(テラバイト)を超えるデータを持つ企業もあると言われます。
近年、大きな注目が集まっていますが、無料のツールもあります。無料のツールも含めてBIが広がる背景は以下のようなsテクノロジーの進化と密接に関連しています。
1)インターネットの浸透
インターネットの高速通信やスマートフォンの普及で、消費者の購買行動や企業のマーケティング活動が大きく変化しました。世界中のモノやサービスを知り、調べ、購入し、人に勧めるといったサイクルをひとつの画面上で行えるようになり、カスタマージャーニーの多くはデジタルシフトしました。
それらのデジタルデータを分析できるのがBIツールです。
2)IoTとビッグデータの活用
さらに各種センサーの技術進化と低コスト化が加わり、「IoT」(モノをインターネット接続する)という概念に進化しました。スマホだけでなく、家や家電、クルマなどもインターネットに繋がるようになり、さまざまなデバイスから集まる位置情報や行動データなどの膨大なデータ、つまり「ビッグデータ」が企業内に蓄積されるようになりました。
ツールを活用すれば企業に散在しているビッグデータを統合し、加工・抽出、リアルタイム分析や精度の高い分析を行うことができます。
3)データドリブン経営とAI
競争が激化する現代において、これらのビッグデータを活用して、スピーディーな経営戦略の意思決定を行うデータドリブン経営がトレンドになり、BIツールの重要性は高まり続けています。最近では人工知能(AI)を活用したBIツールも登場しています。
BIについては、こちらも参考にしてください。
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そんなBIツールですが、無料で使えるものも登場しています。期間限定のようなトライアルではなく、無料で使い続けられるものは、主には下記の4種類です。
- Pentaho(ペンタホ)
- Qlick Sense(クリックセンス)
- Microsoft Power BI
- Google Data Studio
それぞれどんなことができて、どんなことができないのか?今回は無料BIツールを掘り下げて比較してみました。ページ下部に比較表がありますので、お急ぎの方はそちらをどうぞ。
また、後半に具体的なBIツールの成功事例もあるので、そちらも参考にしてください。
無料BIツールのオープンソースで高い自由度と拡張性を持つ「Pentaho(ペンタホ)」

プロフェッショナル向けに作られたオープンソースBIの「ペンタホ」。オープンソースなので、先端技術が迅速に取り入れられ、データ統合、データマイニング、レポーティングなど、基本的な機能は充実しています。また、ベンダーのサポートも受けられます(無料版はコミュニティ形式)が、英語オンリーです。2015年、米国日立データシステムズ社がペンタホ社を買収し、現在は日立ヴァンタラ社が提供しています。
○ ペンタホで「できること」
- インタラクティブでビジュアル化された対話型の分析手法
- 多様なレポーティングが可能(RDB、OLAP、WEBベースレポーティング)
- 先進的な分析手法のライブラリ (ジオマッピング、ヒートマップ、バブルチャート、分布図など)
- 専門的なビジュアライズプラグインでビジュアル化したレポート作成が可能
× ペンタホで「できないこと」
- 無料版はインストーラーがなく、ツールを個々にサーバーとクライアントにインストールする必要がある(一定の技術・知識が必要)
- 無料版はダッシュボードのカスタマイズが不自由
- 無料版は、一般的なMySQLではなく、HSQLDBを使用
- 基本的にプログラミングの知識がないと利用が難しい
無料のBIツールとは思えない多機能な「Qlick Sense(クリックセンス)」

「クリックセンス」は、ドラッグ&ドロップで、スマートな対話型のデータ・ビジュアライゼーションを作成できる無料BIツールです。独自の連想データインデックス作成エンジンを使用し、取り込んだデータを他のデータに関連づけることができます。
○ クリックセンスで「できること」
- ウィザードでのデータインポートが可能
- 権限設定やデータ定義などはサーバーで一元管理するのでセキュリティ的に安心
- ビジュアル性の高いレポーティング、ダッシュボード作成
- インポート可能ファイルの種類が多数
- Qlik DataMarket(有償)では既成データを外部ソースから入手可能
× クリックセンスで「できないこと」
- 対応OSは64bit版のWindowsのみで32bit版は非対応
- ピボットテーブル
- ストーリーボードでプレゼン資料、アウトプットは不可
- マクロの利用不可
<利用可能DB・ファイル>
スプレッドシート、Web ページ、区切りファイル、Excelファイル、HTMLファイル、KMLファイル、固定長レコードファイル、XML、QlickView、Apache Hive、Cloudera Impala、IBM DB2、Microsoft SQL Server、MySQL Enterprise、Oracle、PostgreSQL、Sybase ASE、Teradata、ODBC、OLE DB、 REST 準拠データソースなど
.Officeソフトの感覚でデータ分析できる無料BIツール「Microsoft Power BI」

https://powerbi.microsoft.com/ja-jp/
マイクロソフトが開発したBIツール「パワーBI」。マイクロソフトの社内ではメールソフトよりも頻繁に使われていると言われます。使い慣れたExcelのような操作感で簡単にデータ分析をし、PowerPointのようにレポート作成でき、ブラウザやスマートフォンでの閲覧もできます。
○ Power BIで「できること」
- プログラミングをせずにダッシュボードやレポートを作成可能
- モバイルやWebで閲覧可能。アプリも用意されている
- ビジュアル性の高いレポーティング、ダッシュボード作成
- GoogleアナリティクスやFacebook、SalesforceなどのSaaSにも対応
- データソースからの定期更新が可能(ただし無料版は1日ごと)
× Power BIで「できないこと」
- 無料では容量が1GB/ユーザーと少ない
- 無料版では他のアカウントとのレポートの共有や共同編集ができない
- 無料版ではオンプレミス上にあるデータベースのデータを取り扱うことができない
- 無料版ではアクセス制御ができない
<利用可能DB・ファイル>
Web ページ内の Table タグや URLアクセスが可能なファイル(Excel や CSV、XML、JSON、Text など)、Hadoopファイル(HDFS)、SQL Server、Oracle、DB2、MySQL、PostgreSQL、ODBC、Teradata、Sybase、Access、MicrosoftAzure 上の各種サービス(AzureSQL Database、AzureSQL Data Warehouse、Azure HDInsight、BLOB/テーブル ストレージ、Marketplace)、Active Directory、Salesforce、GitHub、SweetIQ、Google Analytics、Twillio、QuickBooks、Facebook、Zendesk、OData、Exchange、SharePoint リスト、Dynamic CRM など
カンタン操作でセンスの良いレポートが作成できる「Google Data Studio」

Googleが、様々なデータを1つのダッシュボードで可視化し、分析できる無料BIツール「Googleデータポータル」を公開。もともと有償有償(月100万円など)だった高額ツール『Analytics 360 Suite』のスピンオフで、以前は「Googleデータスタジオ」という名前でした。
簡単操作でビジュアル性の高いレポート作成が作成ができ、Google AnalyticsやAdWordsとの連携もスムーズです。
○ Google Data Studioで「できること」
- ノンプログラミングでデータ取得可能
- ドラッグ&ドロップでレポート、ダッシュボード作成可能
- Googleドライブで共有可能
× Google Data Studioで「できないこと」
- レポートの上限が1ユーザー5個(※2017年2月上限が撤廃されました。)
- 印刷機能がなく、Web閲覧のみ
- 異なるソースからのデータの合算描画と計算機能はなし
- アドホックな分析には不向き
<利用可能DB・ファイル>
Google AdWords、アトリビューション 360、BigQuery、Cloud SQL、Google アナリティクス、Google スプレッドシート、MySQL、YouTube アナリティクスなど
無料BIツール比較表

無料BIツールは、最初の入り口としては良いかもしれません。ただ、BIはデータドリブンな意思決定支援という企業の舵取りをサポートするような大切な業務です。
そのため、機能制限で不十分なデータ分析しかできないといったことがあれば、それこそ本末転倒です。以下、比較表にまとめてみましたので、ぜひ参考にしてください。
無料BIツール比較表
※○=可能、△=一部可能、▽=有償なら可能、×=不可能
Pentaho (ペンタホ) 無料版(コミュニティ・エディション) |
Qlick Sense (クリックセンス) 無料版(Desktop) |
Microsoft Power BI | Google Data Studio | |
---|---|---|---|---|
形式 | ソフトウェア型 | ソフトウェア型/クラウド型 | クラウド型 | クラウド型 |
対象規模 | 企業規模問わず | 企業規模問わず | 企業規模問わず | 企業規模問わず |
ドラッグ&ドロップによる直感的操作 | × | ○ | ○ | ○ |
ノンプログラミングでのデータ取り込み | ○ | ○ | ○ | ○ |
SQLクエリによる データ取り込み |
○ | ○ | ○ | ○ |
ガイド、テンプレート機能 | × | ○ | ○ | ○ |
データマイニング機能 | × | ○ | ○ | ▽ |
アクセス権などの 管理コンソール機能 |
× | ○ | △ | △ |
モバイルでの閲覧 | × | ○ | ○ | ○ |
コスト | ¥0 | ¥0 ただしクラウド版の場合は以下の機能制限あり
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¥0 | ¥0 |
有償版 | エンタープライズの金額は要問い合わせ。
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サーバー版を有償提供。 約125万円程度~(要問い合わせ) |
Power BI PRO \1090/ユーザー/月(年契約)※
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「Googleデータスタジオ360」有償版
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提供企業 | 日立ヴァンタラ | Qlik Japan | Microsoft | |
本社所在地 | アメリカ | アメリカ | アメリカ | アメリカ |
BIと無料でできる施策
もうひとつ、BIツールに関連してよく聞かれるのは、「今Excelをガンガン使ってるんだけど、BIツールとExcelってどう違うの?」ということ。それから、「Excelではできないことや不便なことも多くて、BIツールにしたら全部解決するの?」という「脱Excel」を図るかどうかで迷っている方もとても多いですね。
Excelは汎用性が高くすばらしいソフトですが、やっぱり限界があります。そこで、ExcelとBIツールの違いについて、簡単に紹介します。
◎ BIツールでできて、Excelでもできること
- データ集計、クロス集計
- 予実分析、ABC分析などのデータ分析
- グラフ作成
- 関数機能
○ BIツールではできず、Excelではできること
- 将来予測機能(FORECAST関数の拡張版。一部のBIにはあり)
× BIツールにできて、Excelではできない(適わない)こと
- 異なるデータソースの統合
- 大容量データの取り扱い
- スピーディーな大容量データの処理
- データ共有
- アクセスや編集の権限管理
- データの同時編集
- リアルタイム更新
- データの信頼性
端的に言うと、Excelは単一の表データを個人や少人数のチームで分析することに向いていて、BIツールはビッグデータを駆使した分析に向いています。
詳しくは、以下のページも参考にしてください。頑張って編集した動画もありますよ。
BIツールを業務で使うために
この記事では、4つの無料BIツールを紹介してきました。いずれも、期間限定のトライアル版ではなく、機能制限などはあるものの、無料で使い続けられるツールを選びました。
ただ、機能制限やデータ容量制限などがあれば、いずれは物足りなくなってくる場合もあります。
BIツールがどのようなものかを知ったり、担当者個人が自分の担当領域だけの分析をするなら、無料のBIツールでもいいかもしれませんが、現場で、あるいは企業全体で、エンタープライズ仕様で使うなら、有償版がお勧めです。
有償版のBIツールの機能比較はこちら(※)をご参照ください。
また、他のホワイトペーパーではBIツールの成功事例や導入事例もご紹介しています。ぜひ活用してください。