【 導入前に必読 】
BIツール導入時の典型的な5つの失敗パターンを避けるために必要なこと

20 April.2019 / BI
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ビッグデータやAIの登場などもあってデータ活用への関心が高まり、BI(ビジネス・インテリジェンス)ツールを導入する企業が増えています。しかし、すべての企業が導入に成功するわけではなく、失敗事例も見られます。今回は、そうならないために、5つの典型的な導入失敗パターンと、その解決方法をご紹介します。

BIツール利用ガイドBIツール導入完全攻略ガイド

BIツール完全攻略ガイド

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データの収集、蓄積、分析を迅速に行い、意思決定をサポートするために開発されたBIツール。
本資料ではそんな「BIツール」を完全に理解するための手引き書として、具体的な機能や利用シーン、活用事例などを1冊にまとめました。ぜひご活用ください。

BIツール「導入失敗」の5つのワナ

BIツールとは、「Business Intelligence(ビジネス・インテリジェンス)」ツールの略。たとえば営業においても「根性で外回り」ではなく、「データに基づいてビジネスを推進」していくために、大量のデータを収集し、分析し、共有するためのツールです。

データに基づいて経営上の意志決定をする「データドリブン」なビジネス手法には欠かせないツールでもあります。

情報システム部門や経営企画室といったデータを専門的に扱う部署だけでなく、現場の責任者や担当者レベルでもビッグデータを分析できてしまうということで人気を集めています。

ただ、比較的新しいツールということもあり、導入ノウハウもそれほど知られておらず、導入に失敗したという話を聞いたり、ブログで見たりします。そういう失敗例を見ていると、いくつか典型的なパターンがあると思いましたので、まとめてみました。

BIツール導入失敗、5つの典型例

失敗1:お蔵入り系

とりあえず導入してみたものの、業務に役立つデータ分析ができないうちに、だんだん熱が冷めてきて、使われなくなってしまった……。

失敗2:化石系

役に立っていた時期もあるが、担当者の異動などで使える人間がいなくなり、なおかつ業務の変化にシステムがついていけず、一応レポートだけ出しているものの、使い物にならず……。

失敗3:迷路系

現場はデータのことがわからず、情シスは現場がどんな情報を求めているのかわからず、結局は導入自体が進まない……。

失敗4:カオス系

現場の担当者が強い組織で、それぞれが独自に導入して複数のBIツールが稼働してしまった。その結果、様々なデータが秩序なく行き交い、さらにはセキュリティの心配も出てきて……。

失敗5:完璧主義系

BIツールの導入は決まったのに、延々と現場から仕様変更を要求される。仕様が固まらず、なかなか導入が進まない。また、稼働後もビジネスが変化するたびに修正する必要があり、時間とコストがかかってお荷物化してしまい……。

「お蔵入り系」の失敗を解決するには

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「話題なので、とりあえず導入してみた」→「どういう効果があるのかわからない」→「とりあえず基本のレポートを出してみる」→「あまり手応えがなく定着・継続しない」→「そのうち使われなくなる」というお蔵入り系の失敗。私も通販の最新美容機器でやりがちな失敗。あんなに良さそうに見えたのに!と後悔しながら、棚の奥にひっそりしまう……。

この失敗は、「とりあえず」を「必ず」にすることで解決できます。

BIツールは、顧客管理や在庫管理といった業務系システムのように、最初から仕事のルーティンに組み込まれるようシステム設計されることは少ないので、「使わなくても仕事は回る」という状況になりがちです。そうすると、しだいに使われなくなっていきます。

そうならないために、現在の業務をチェックして、使わないといけない状況をつくることです。

「BIツールを使うために仕事を増やすって本末転倒」と思われた方は、「情シス部門」に相談してみてください。データの威力を教えてもらえると思います。

やってみたい分析、出したい効果を明確にして打ち合わせすれば、きっと「そんなことまでできるんだ」「それができれば役に立ちそう」という前向きな気持ちになるでしょう。現場に統計や分析の基本的な知識が不足していると感じれば、「情シス部門」に勉強会をお願いしてもいいと思います。

「化石系」の失敗を解決するには

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「情シス部門と相談してから導入し、うまく活用できていた」→「担当者の異動時に引き継ぎがうまくいかず、現場でカスタマイズできる人間がいなくなった」→「新製品の投入や業務の変化にシステムがついていけなくなった」→「だんだん使い物にならなくなってしまった」という化石系の失敗。特に春や秋の異動シーズンの後には、日本中で起こっていそうですね。

ビジネス環境は常に変化しています。その変化はIT化やグローバル化で、よりスピードを増しています。データを根拠として、その変化に対応していくためにBIツールがありますので、当然、BIツール自体も変化させていく必要があります。

情シス部門との連携はもちろん必要ですが、データの抽出や、加工、ダッシュボード、レポートのカスタマイズなど、簡単な修正は現場でもできないと、変化に対応し続けるのは難しいでしょう。

最近では、そういった修正を現場で簡単にできる柔軟なBIツールも増えていますので、特にビジネススピードが速い業種の場合は、そのようなシステムを選ぶと良いでしょう。

「迷路系」の失敗を解決するには

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現場は、「どこにどんなデータがあるのかわからない」「どうやって使えばいいのかわからない」ので立ちつくし、情シスは「現場がどんなデータをどう使いたいのかわからない」ので手を出せず、結局は導入自体が進まない「迷路系」の失敗。これもよくありがちな典型だと思います。

この問題を解決するには、まず現場が「ゴール」を明確にして、情シスに共有、相談することです。そのゴールは、「データをこう使いたい」という手法ではなく、現場の部署が抱える課題であるべきです。

「データを使ってなんとかしよう」という発想をしていると「迷路」に陥りやすいように思いますので、データ側からではなく、ビジネス上の課題からアプローチするのです。

たとえば「新規顧客開拓力を上げたい」、「売上の季節格差をなくしたい」、「店舗スタッフの採用人数を確保したい」といった重要視されている課題(ゴール)をピックアップしていきます。そしてそれだけでは目の前の迷路を抜けられませんので、進むべき方向も決めたいところです。「新規顧客開拓力」といっても、見込み客の数を増やしたいのか、それとも質を上げたいのか、質の定義は企業規模なのか業種なのか、など、ゴールに向かう道は様々あります。そこまで決めておくとやりたいことが明確になります。

そのうえで、情シスに相談してみてはいかがでしょうか。どういうデータが課題解決に役立つのか、必要なデータはどこにあるのか、どう連携させる必要があるのか、などをうまく整理して、迷路を抜けるサポートをしてもらえるでしょう。

「カオス系」の失敗を解決するには

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営業部門の発言権が強く、現場主導でBIツールを導入していくと陥りがちな「カオス系」の失敗。

たとえば、「横の連携がないので、とりあえず試しにと担当者ごとに複数のBIツールが稼働してしまった」、「様々なデータが行き交い混乱してしまった」、「情シスが管理していないクラウドベースのBIツールや、個人のPCにインストールされたBIツールがあり、セキュリティの不安が出てきた」といった問題があります。

完全な現場主導で、情シスとしっかりと連携せずに導入を進めてしまうと、このようなカオス状態になりがちです。これは、近年ビジネスの世界で重視されている「データガバナンス」上、よろしくない状況です。

この問題を解決するには、情シスときちんと連携することに尽きると思います。現場側がデータガバナンスのリーダーシップを握るのは難しいので、情シスの品質チェックと適切な管理を受けましょう。現場主導自体が必ずしも悪いのではなく、それぞれの現場の意向を捉えて、広く会社全体を見ながら調整する役割が必要です。そのために、情シスに相談して、秩序ある現場主導を実現しましょう。

「完璧主義系」の失敗を解決するには

日本に特有だと言われる、この系統の失敗。どういうことかというと、実は欧米企業は、「システムに業務を合わせることが多い(全体最適優先)」のです。大したことがない部分の仕事の進め方や報告フォーマットなどは、ツールやシステムを優先させ、業務のほうを合わせてしまうのです。

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一方、日本では、ツールやシステム自体を現在の自社の業務に合うよう、細かくカスタマイズ(個別最適)し、完璧になるまで導入しない、という傾向があります。

知り合いのSEに聞いた話だと、入力欄に影をつけたい、フォントを日本らしく明朝系にしたい、自社のロゴは全ページに入れたい……(以下続く)……、など業務の成果に影響しないようなところまでカスタマイズ要求が出されることも多いのだとか。

もちろん、それには時間もコストもかかります。たぶん要求する側は、「どうせカスタマイズするなら完璧に」という気持ちもあるのでしょうが、こういった個別の最適を優先することで、導入そのものが遅れてしまう場合があります。

コストも、ツールやシステムをそのまま入れると数百万円のものが、細かくカスタマイズすることで、数千万円を超えるなんていうことも珍しくありません。

そして導入時に完璧だったとしても、分析すべき視点は常に変化し続けます。部門の動向や会社全体の動向だけでなく、地域、顧客、商品構成、流行など、会社と市場の動向に左右されて変化しますので、今日の完璧はすぐ陳腐化してしまうのです。

ですから、完璧主義系の失敗を解決するためには、最低限必要な仕様を決めたら、まず導入してしまうことです。そしてBIツールの価値や業務への影響力を感じてもらうことから始めます。

導入成功企業からよく聞くBIツールの価値は、「数字の裏付けがある資料が出てくるので会議が活性化した」、「どうするか迷った時にデータで判断できるようになった」、「上司や他部署を説得しやすくなった」など、ビジネスを円滑化させるものです。

価値を感じれば、みんなが使いたくなりますし、そこからツールを成長させていけばいいのです。全体最適に貢献する、個別最適はその時にカスタマイズすればいいのです。

7.情シスは「技術屋」ではなく「パートナー」

5つの典型的な失敗例とその解決方法を見てきましたが、BIツール導入で失敗しないために、さらには成果をあげるためには、守るべき鉄則があるように思いました。

  • 鉄則1 要件は現場でしっかりと検討しましょう。
  • 鉄則2 それを元に情シスとしっかり相談しましょう。
  • 鉄則3 現場でもある程度変更可能なシステムを選びましょう。
  • 鉄則4 情シスでもガバナンス可能なシステムを選びましょう。

そして一番大切なのは、情報システム部門を単なる「コンピュータとかハードの技術に詳しい部門」として考えず、「一緒にビジネスの課題を解決していくパートナー」として見ていくことです。そうすれば、課題解決のための強力な支援ツールとしてBIツールが活躍してくれるはずです。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

今回はBIツール導入に失敗しないための心構えの部分を中心にご紹介しましたが、「言うのは簡単だけど、やるのは難しいんだよ」とは自分でも思います。ただ、心構えをしっかり持っていたほうが、導入過程や運営過程で起こる問題に対して、その場しのぎでない対応ができるはずです。

と、言い切れるのは、自分がBIツールを導入した経験からです。 私が実際に自分の業務にBIツールを導入した過程も公開しています。分析したいゴールを整理し、情シスと相談し、今までExcelでやっていた部分もあるデータ解析をBIツールに移した記録です。

お楽しみにしてください。

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BIツール完全攻略ガイド

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データの収集、蓄積、分析を迅速に行い、意思決定をサポートするために開発されたBIツール。
本資料ではそんな「BIツール」を完全に理解するための手引き書として、具体的な機能や利用シーン、活用事例などを1冊にまとめました。ぜひご活用ください。

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