BIとは

【 入門編 】BI(ビジネス・インテリジェンス)は、ビジネスのあらゆるシーンを「データで」活性化させるツールだ

近年、「データドリブン」という言葉がビジネスの現場や、ネット上で頻繁に登場するようになりました。データに基づいて判断を下し、経営やマーケティングをダイナミックに運営していくことを表します。

ビッグデータ活用や、データサイエンティストの登場などもあり、今、データの重要性があらためて認識されています。

そのために最適なツールが、今回紹介する「BI」です。

1.そもそもBIとは何?

そもそもBIとは、「Business Inteligence(ビジネス・インテリジェンス)」の略で、企業の各部署がそれぞれに蓄積している膨大なデータを、収集・蓄積・分析・加工し、経営戦略のための意志決定を支援することを指します。

その歴史は、1958(昭和33)年、日本では東京タワーが竣工された年まで遡ります。「ビジネス・インテリジェンス」という言葉がIBM研究所の研究員によって初めて使用され、企業経営に影響を与えました。その後、コンピュータを使った企業の意思決定支援システム(DSS)として発展し、1989年にアメリカの調査会社ガートナー社のアナリストによって、現在の概念へと整理されています。

BIを実現するには、BIツールが不可欠です。BIシステムとも呼ばれます。形式としては、自社のサーバーにインストールして使用する「ソフトウェア型(オンプレミス)」と、インターネットを通じてBIツール側のサーバーにアクセスして使用する「クラウド型」があり、ニーズによって選択できます。

社会的なデータ重視の流れを受けて、多くのBIツールが登場し、形式以外にも多くの機能の違いがありますが、基本的な役割は大きく3つに分けられます。

①データの収集・蓄積・統合
②データの集計・分析
③データの可視化・ビジュアル化

これらを、経営者や現場の社員、もしくはシステム部門が、データサイエンティストなどの専門家の力を借りることなく、意志決定できるよう支援していくのがBIツールです。

企業経営やマーケティングなど活用の幅が広い、「BI(ビジネス・インテリジェンス)」。次は、既存のシステムとの違いや、それらとの関係性などを見ながら、「BIツール」について紹介していきます。

2.BIと基幹系・情報系・戦略系システムとの違いは?

BIと基幹系・情報系・戦略系システムとの違いは?

現在、企業には既に数多くのツール、システムが並行して使用されているかと思います。

それらとBIツールは何が違うのでしょうか? どういう関係なのでしょうか?

①基幹系システム

企業の基幹業務と直接関連するシステム。業務系システム、バックオフィス系システムと呼ばれることもあります。営業、販売、財務、経理、人事、流通などを司る重要なシステムです。通常、下記のように管理する対象や部門によって、それぞれ別のシステムが使われることが多くなっています。

生産管理システム
主に製造業の工場などで使用されます。生産量、納期、工数、製造原価、品質などを管理するシステムです。
販売管理システム
主に小売業、製造業、卸売業などで使用。商品の取引に関わるあらゆる情報、つまり見積、受注、出荷、納品、請求、入金、部品発注などを管理するシステムです。
購買管理システム
製造業や小売業などの「モノ」を販売する業種はもちろん、IT業界のようなサービスを提供する業界でも使用。発注、入荷・仕入・買掛・支払まで、仕入れに関する動きを管理するシステムです。
在庫管理システム
主に製造業や小売業、物流業などで使用。入庫、出庫、検品など商品の在庫に関する情報を管理するシステムです。
会計システム
すべての企業の根幹となる金銭の動きを管理するシステムです。B/S、P/L、キャッシュフローを中心とした財務諸表を作成するための「財務会計」システムと、経営者が経営判断を行うために部門ごとや商品ごとの収支を管理するなどの「管理会計」システムがあります。
人事給与システム:社員、組織、勤怠、給与を管理
全社員、組織の勤怠状況、毎月の給与計算、入退社管理など、「ヒト」に関するあらゆる情報を記録した人材データベースです。
ERP(統合基幹業務システム)
近年、導入が進んでいるのが、ERP(Enterprise Resources Planning)。上記の各システムの機能を統合し、一元的に経営の根幹である企業リソースを管理するシステムです。

②情報系システム

基幹系システムとは違い、ビジネス活動を支援するために、コミュニケーションや業務の効率化を目的としたシステムを指します。企業の中核には直接関与せず、作業の効率化や高度化を実現するものが主流です。

具体的には、メール、チャット、オフィスソフト、グループウェアなどがあります。新しい潮流として「データウェアハウス」も注目を集めています。

データウェアハウス(DWH)
単なるデータベースではなく、基幹系など複数のシステムから、必要なデータを収集し、主題ごとに再構成して、時系列に蓄積した統合データベースです。目的別のオブジェクト指向ではなく、商品・顧客・担当者といったサブジェクト指向で再構成されるのが特徴的です。

③戦略系システム

企業の最前線の業務を戦略的に自動化、効率化するためのシステムです。IT化の進展によって登場した新たなシステムですが、急速に普及が進んでいます。

CRM(顧客管理システム)
英語の「Customer Relationship Management」の略で、「顧客関係管理」、「顧客情報管理」、「顧客管理」などと訳されます。
主には取引開始後の顧客が対象で、それぞれの顧客の企業データや取引状況データ、営業行動などが蓄積されます。そして、営業効率の向上や、クロスセル(関連商品購入)やアップセル(高グレード商品の購入)の促進などに活用されます。
SFA(営業支援システム)
「Sales Force Automation」の略で、「営業支援システム」、「営業自動化システム」などと訳されます。
主には自社の営業スタッフの行動を管理し、効率化することを目的としたシステムで、それぞれの営業スタッフの営業行動がデータ化され、成果を高めるために活用されます。
MA(マーケティング・オートメーション)
「Marketing Automation」の略で、「マーケティング・オートメーション」とそのまま呼ばれることが多いシステムです。
リード(見込み顧客)情報をハウスリスト(企業内リスト)から入力、もしくはサイトへのアクセス情報から自動登録し、メルマガなどでナーチャリング(育成)していき、営業にホットリスト(確度の高い顧客情報)を渡すまでが主な役割です。

今回ご紹介している「BI」はこの「戦略系システム」に該当します。

では、「BIツール」の具体的な機能や、その利用シーン、活用方法などをもう少し掘り下げましょう。

3.BIツールの具体的な機能って?

BIツールの具体的な機能って?

BIツールは、今までExcelなどの表計算ソフトを利用し手作業で集計していたものを、システムで自動化し、より高度な分析を可能にしたシステムです。それぞれのツールによりターゲットとする顧客の企業規模や業種が異なり、搭載する機能も異なりますが、一般的に、以下のような機能を備えています。

●データ管理系

ETL(データ加工)機能
英語の「Extract/Transform/Load」の略で、「抽出/加工/出力」のこと。企業に点在する複数のシステムからデータを抽出し、抽出したデータを変換・加工して、データウェアハウス等へ出力する処理を支援します。
データウェアハウス(DWH)機能
基幹系など複数のシステムから、必要なデータを収集し、顧客や担当者別などに再構成し、時系列に蓄積する統合データベースで、データ分析や意思決定を支援します。

●分析系機能

OLAP分析機能
OLAPとは、「Online Analytical Processing」の略で、「オンライン分析処理」を指します。蓄積したデータに対して、「ドリルダウン」「ダイシング」「スライシング」といった処理を行うことで、たとえば特定の日だけに売上げが上がった要因を深掘りし、特定するといった用途に使用する分析手法です。
「ドリルダウン」
たとえば10年間の売上げ推移から、特定の年の月別推移に移る、といった使い方がドリルダウンです。ドリルで穴を空けて地下を見るイメージです。逆に月別から年別に移ることを「ドリルアップ」と呼びます。

「ダイシング」
10年間の売上げ推移から、10年間の経費推移に移るように、グラフや表の片方の軸を変えて分析するのが「ダイシング」。サイコロ(Dice)の面を変えるイメージです。

「スライシング」
10年間の全社の売上げ推移から、たとえば商品別の売上げ推移に移るのがスライシング。ハムかなにかのように、売上げを薄く切って(Slice)取り出すイメージです。
データマイニング機能
蓄積したデータに対して、統計的な処理を行うことで、未知の関係性や傾向を掘り出して(Mining)くれるのが、データマイニング。クロス分析、相関分析、回帰分析といった複雑な統計分析を自動で行ってくれます。
プランニング機能
経営陣やマネージャーが予算策定などに使うことを想定した「プランニング機能」。蓄積された過去の様々なデータを活用してシミュレーションを行い、予算計画の根拠を得るための機能です。「What-if分析」などを使い、条件の変化によって売上や利益がどのように変化するのかをシミュレーションすることができます。
「What-if分析」
データ分析の手法のひとつで、ある予測数字の、特定の条件を変更した場合、予測数字がどう変化するかを分析します。たとえば、ある商品の来年度の原価が予測されたとして、為替価格が変化した場合、原価はいくらになるのかを分析することです。これにより、複数のシナリオを比較することができるようになります。

●レポーティング系機能

ダッシュボード機能
データの中から、本当に必要なデータだけを確認できるサマリー画面です。通常、経営者やマネジャー向けにカスタマイズし、KPIに対する達成度などが並びます。アラート機能を備えるBIツールも多く、危機管理にも役立ちます。
定型レポート機能
月次の報告書など、同じフォーマットのレポートを自動で作成する機能です。社内の各部署からフォーマットの違うデータを集めて、エクセルでまとめていたような業務が効率的に処理できるようになります。ブラウザ、Word、Excel、PowerPoint、CSV、PDFなどで確認可能なツールがほとんどです。
アドホックレポート機能
アドホック(ad hoc)とは、「特定の目的のための」という意味のラテン語。たとえば大きなイベント時の経営数字だけをピックアップするなど、特定の時期や商品、地域、部署などで条件設定することを「アドホックレポート機能」と言います。定型レポート同様、様々なデータフォーマットに対応しています。

このように、BIツールは多岐多彩な機能を備えています。しかし、単に機能が多ければいいわけではなく、重要なのは、「どのような分析や業務支援ができるのか」。次は、具体的な使い方を見ていきましょう。

4.BIツールの具体的な利用シーンは?

BIツールの具体的な利用シーンは?

データは使わなければ、ただの数字です。今や企業には膨大なデータが眠っています。それをどんな風に活用できるのか、活用例をご紹介します。どんな目的で、どのような情報から、どのような結果を得るのか、自社になぞらえてお読みください。

営業支援
たとえばネットショップの場合、ある商品の売上げが大幅に上がる日があり、理由がわからないでいたが分析の結果、雨の日に雨の日グッズが売れているという予測が出た。そのため、雨の日にセールを行ったところ、より大きな売上げが獲得できた、といった使い方ができます。
経営支援
たとえば海外の複数の国へ製品を出荷している製造業の場合、為替の影響を強く受けることが課題になっていたため、定型レポートとして各通貨の変動予測と、上下幅による利益の増減を一覧にし、意思決定をスピーディーに行うようにする、といった支援が可能です。
顧客分析
BIツールなら、優良顧客分析でよく使われる「RFM分析」も簡単にできます。
R(recency)=最新購買日
F(frequency)=平均購買頻度
M(monetary)=累計購買金額
という3つの指標を見て、RFMがそれぞれ高い顧客こそ、自社にとって最高の顧客という考え方です。たとえば、最近3カ月以内に2回以上来店し、10万円以上購買している顧客を抽出し、その購買行動を分析し、プロモーションに活かすといった活用ができます。
ABC分析
「重点分析」とも呼ばれる、販売管理、顧客管理で一般的に使われる分析手法です。商品を売上高などでABCの3段階重み付けをし、売れ筋や死に筋を把握します。たとえば小売業で、バックヤードの狭い新店を出店する際、類似店舗の過去1年間の全商品の売上げを並べて3段階に分け、売れ筋のAランク商品に対してのみ棚を振り分ける、といった使い方をします。
在庫分析
たとえば小売業で、全社で在庫増が問題視されている場合、全店舗の在庫を分析し、適正在庫になるよう店舗間で商品をやりとりしたり、各商品の利益率から、過剰在庫商品を利益率の高い商品とセット販売する、といった活用が可能です。
エリア分析
地図データとの連係が可能なエリア分析。たとえば今まで県や市町村単位で顧客分析をしていたものを、エリア分析で優良顧客を地図にマッピングしたところ、特定の道路や鉄道沿線の顧客が多いことがわかり、プロモーションを重点的にかけて来店客を増やすことができた、といった使い方ができます。
購入サイクル分析
たとえば主力商品の購入サイクルをより短くしたい場合、顧客データから購入頻度や購入の組み合わせを収集、MAツールからは顧客への接触度やメルマガ開封状況などを収集して、実績として購入サイクルが短い顧客にはどういう特性があるのかを調べ、プロモーションやマーケティング、新製品開発などに活かすことができます。
バスケット分析
「マーケットバスケット分析」とも呼ばれる、データマイニングのひとつの手法。「買い物カゴ」の中を見れば、何と何が一緒に売れているかわかるということから、一回の買い物で買われている商品の組み合わせを分析します。たとえば、店内リニューアルの際に、それまでの売上げをバスケット分析し、オムツを買っている人はビールを買う確率が高いとわかった場合、オムツの隣にビールを置いたり、ベビー用品売り場近くのレジにビールを置いたり、といった活用が可能です。
予実分析
経営層が重視する予実。BIツールなら、予算(目標)、実績、予実差、達成率といった一般的な報告書の数字はもちろん、推移や部門別データも簡単な操作で出力でき、定型レポート化も可能です。気になる数字があれば、ドリルダウン、スライシングなどで深掘りして報告できます。
販売時期分析
ある商品や商品群の季節ごと、月ごと、曜日ごと、時間ごとの販売数量や販売価格を取り出す、といった抽出作業もBIなら容易です。キャンペーン商品の選定や、プロモーションの時期の決定などに役立ちます。
故障率分析
BIツールは生産管理の支援も可能です。原材料、作業工程、製品などのデータをロット番号などで一元管理することで、トレーサビリティが可能になります。納品・販売後の故障率を全体、商品ごと、使用期間ごとなどに詳細に表示でき、故障率が高い製品にはどんな問題があったのかも容易に把握できるようになります。
不良率分析
製造現場のデータ分析もBIツールなら可能です。使用されている各製造システムの情報をBIで集約し、原材料、製造工程、在庫状況などを一元的に把握できます。たとえば不良率なども時系列で比較し、原因は原材料なのか、製造工程なのかなど、掘り下げて確度の高い分析が可能になります。不良率が一定以上に達した場合にアラートを出すことも可能ですので、リアルタイムで対応できます。
購買分析
購買・調達部門は、コスト削減、安定調達、法律や規制対応、エコロジーやハラールといった社会的要請への対応など、多くのことが求められるようになっています。しかし、伝統的に担当者の経験や関係性といった属人的な部分で成り立ちがちです。BIツールで、購買部門から製造、販売、アフターサービスまでを一元管理することにより、購買先の信頼性や調達価格の妥当性などを分析することができ、担当者の属人的スキルと融合してビジネスを進めることが可能になります。

いかがでしょうか?BI、そしてBIツールでできることについて、具体的なイメージが沸きましたでしょうか。BIツールの成功例や事例を無料で提供していますので、そちらもぜひ参考にしてください。記事に共感いただけましたら、Facebookページへの「いいね」もよろしくお願いします。

WRITER : ナツミ
今年から新たに担当することになった超文系ライター。「誰でも簡単に」分析が出来る「Actionista !」と大型バイクをこよなく愛する。 ビジネス・インテリジェンスについては現在猛勉強中。最近は「ドリルダウン」にハマっていて、やたらと会議で使いたがる。

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