BIツールを完全解説〜ビジネス・インテリジェンスの概要・他システムとの違い・機能・メリット・デメリット・選び方〜
そもそもBIがどういうものなのかわからない
どういう場面でBIツールは活躍するものなの?
BIツールってどうやって選んだら良いのだろう
BI(ビジネス・インテリジェンス)という言葉は知っていても、具体的にどういったものなのか分かりづらいですよね。
近年、「データドリブン」という言葉がビジネスの現場や、ネット上で頻繁に登場するようになりました。データに基づいて判断を下し、経営やマーケティングをダイナミックに運営していくことを表します。
ビッグデータ活用や、データサイエンティストの登場などもあり、今、データの重要性があらためて認識されています。
そのために最適なツールが、今回紹介する「BI」です。
本記事では、BIの定義や導入目的、主な機能から選び方のポイントまで、BIの入門記事として徹底的にBIについて解説をしていきます。
BIツール完全攻略ガイド
データの収集、蓄積、分析を迅速に行い、意思決定をサポートするために開発されたBIツール。
本資料ではそんな「BIツール」を完全に理解するための手引き書として、具体的な機能や利用シーン、活用事例などを1冊にまとめました。ぜひご活用ください。
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BIとは何か
そもそもBIとは、「Business Inteligence(ビジネス・インテリジェンス)」の略で、企業の各部署がそれぞれに蓄積している膨大なデータを、収集・蓄積・分析・加工し、経営戦略のための意志決定を支援することを指します。
その歴史は、1958(昭和33)年、日本では東京タワーが竣工された年まで遡ります。「ビジネス・インテリジェンス」という言葉がIBM研究所の研究員によって初めて使用され、企業経営に影響を与えました。その後、コンピュータを使った企業の意思決定支援システム(DSS)として発展し、1989年にアメリカの調査会社ガートナー社のアナリストによって、現在の概念へと整理されています。
BIを実現するには、BIツールが不可欠です。BIシステムとも呼ばれます。形式としては、自社のサーバーにインストールして使用する「ソフトウェア型(オンプレミス)」と、インターネットを通じてBIツール側のサーバーにアクセスして使用する「クラウド型」があり、ニーズによって選択できます。
BIツールを導入する3つの目的
社会的なデータ重視の流れを受けて、多くのBIツールが登場しています。
BIは、経営者や現場の社員、もしくはシステム部門が、データサイエンティストなどの専門家の力を借りることなく、意志決定できるよう支援していくツールと言えます。
BIツールを導入する主な目的は以下の3点です。
- データの収集・蓄積・統合
- データの集計・分析
- データの可視化・ビジュアル化
それぞれ簡単に内容を確認していきましょう。
データの収集・蓄積・統合
1つ目の目的は、データの収集・蓄積・統合です。
企業活動をしていくと、様々な業務で多くのデータが生まれます。
しかし、それらのデータは会社の中に点在しており、それぞれがバラバラ状態では事業の上場を把握したり経営判断をするためには扱いづらく、不十分です。
点在するそれらのデータを収集し、一箇所に統合してあとからも活用できるように蓄積しておくことは、BIを導入する目的のひとつと言えます。
データの集計・分析
2つ目の目的は、データの集計・分析です。
一箇所にデータを統合するだけでは、事業の推進に活用することができません。
事業推進に活用するためには、それぞれのデータがどういった状況を意味しているのか、データの裏に隠れているの情報を抽出する必要があります。
そのために、データを集計し、複数のデータを掛け合わせるなど、事業の状況を読み取るための分析をすることも、BIを導入する目的だと言えます。
データの可視化・ビジュアル化
3つ目の目的は、データの可視化・ビジュアル化です。
多大なデータを集計・分析をすると、結果として、データの意味する内容を読み解くことが難しくなりがちです。
BIツールでは、分析したデータの中から必要な情報を素早く読み取れるように、情報を可視化・ビジュアル化しています。
限られた時間の中でスピーディな意思決定を求められる経営・マネジメント層にとって、データを早く正確に把握するためのデータの可視化・ビジュアル化は、BIツールを導入する目的のひとつと言えるでしょう。
次に、企業経営やマーケティングなど活用の幅が広いBIは、既存のシステムとどう違うのか、それらとの関係性などを見ながら、「BIツール」について紹介していきます。
BIツールと基幹系・情報系・戦略系システムとの違いは?
現在、企業には既に数多くのツール、システムが並行して使用されているかと思います。
それらとBIツールは何が違うのでしょうか? どういう関係なのでしょうか?
1. 基幹系システム
基幹系システムは、企業の基幹業務と直接関連するシステムです。業務系システム、バックオフィス系システムと呼ばれることもあります。
営業、販売、財務、経理、人事、流通などを司る重要なシステムで、管理する対象や部門によって、それぞれ別のシステムが使われることが多くなっています。
生産管理システム
主に製造業の工場などで使用されます。生産量、納期、工数、製造原価、品質などを管理するシステムです。
販売管理システム
主に小売業、製造業、卸売業などで使用。商品の取引に関わるあらゆる情報、つまり見積、受注、出荷、納品、請求、入金、部品発注などを管理するシステムです。
購買管理システム
製造業や小売業などの「モノ」を販売する業種はもちろん、IT業界のようなサービスを提供する業界でも使用されています。
発注、入荷・仕入・買掛・支払まで、仕入れに関する動きを管理するシステムです。
在庫管理システム
主に製造業や小売業、物流業などで使用。入庫、出庫、検品など商品の在庫に関する情報を管理するシステムです。
会計システム
すべての企業の根幹となる金銭の動きを管理するシステムです。
B/S、P/L、キャッシュフローを中心とした財務諸表を作成するための「財務会計」システムと、経営者が経営判断を行うために部門ごとや商品ごとの収支を管理するなどの「管理会計」システムがあります。
人事給与システム
全社員、組織の勤怠状況、毎月の給与計算、入退社管理など、「ヒト」に関するあらゆる情報を記録した人材データベースです。
ERP(統合基幹業務システム)
近年、導入が進んでいるのが、ERP(Enterprise Resources Planning)です。
上記の各システムの機能を統合し、一元的に経営の根幹である企業リソースを管理するシステムです。
2. 情報系システム
情報系システムとは、ビジネス活動を支援するために、コミュニケーションや業務の効率化を目的としたシステムを指します。
具体的には、メール、チャット、オフィスソフト、グループウェアなどがあり、新しい潮流として「データウェアハウス」も注目を集めています。
チャット
新型コロナウィルス感染症の問題をきっかけに広がったテレワークの導入拡大により、さらに普及した情報系システムがチャットです。
会話形式でスムーズにコミュニケーションができる上に、過去の情報の検索にも長けているなど、オンラインで業務を進めるにあたって重宝されているシステムと言えます。
グループウェア
スケジュールの共有やファイルの管理など、社内の業務推進プラットフォームとして活用されているのがグループウェアです。
稟議の機能やメール管理機能を加えることができるグループウェアもあり、自社の状況に応じて必要な機能を組み合わせて活用されています。
データウェアハウス(DWH)
単なるデータベースではなく、基幹系など複数のシステムから、必要なデータを収集し、主題ごとに再構成して、時系列に蓄積した統合データベースです。
BIの一部として位置付けられており、DWHからデータ分析をかけて、最終的に経営の意思決定の精度を上げるために活用されています。
3. 戦略系システム
企業の最前線の業務を戦略的に自動化、効率化するためのシステムです。IT化の進展によって登場した新たなシステムですが、急速に普及が進んでいます。
CRM(顧客管理システム)
英語の「Customer Relationship Management」の略で、「顧客関係管理」、「顧客情報管理」、「顧客管理」などと訳されます。
主には取引開始後の顧客が対象で、それぞれの顧客の企業データや取引状況データ、営業行動などが蓄積されます。
そして、営業効率の向上や、クロスセル(関連商品購入)やアップセル(高グレード商品の購入)の促進などに活用されます。
SFA(営業支援システム)
「Sales Force Automation」の略で、「営業支援システム」、「営業自動化システム」などと訳されます。
主には自社の営業スタッフの行動を管理し、効率化することを目的としたシステムで、それぞれの営業スタッフの営業行動がデータ化され、成果を高めるために活用されます。
MA(マーケティング・オートメーション)
「Marketing Automation」の略で、「マーケティング・オートメーション」とそのまま呼ばれることが多いシステムです。
リード(見込み顧客)情報をハウスリスト(企業内リスト)から入力、もしくはサイトへのアクセス情報から自動登録し、メルマガなどでナーチャリング(育成)していき、営業にホットリスト(確度の高い顧客情報)を渡すまでが主な役割です。
今回ご紹介している「BI」はこの「戦略系システム」に該当します。
では、「BIツール」の具体的な機能や、その利用シーン、活用方法などをもう少し掘り下げましょう。
BIツールの具体的な機能
BIツールは、データ分析のために欠かせないデータの収集・加工を行い、高度な分析を可能にしたツールです。
それぞれのツールによりターゲットとする顧客の企業規模や業種が異なり、搭載する機能も異なりますが、大きく分けて以下の3つに分かれます。
- データ管理系
- 分析系機能
- レポーティング系機能
それでは、それぞれを詳しく見ていきましょう。
1. データ管理系機能
1つ目は、データ管理系機能です。
データ管理系機能は、BIで大量のデータを扱うために必要な機能群です。
ETL(データ加工)機能
ETLとは、英語の「Extract/Transform/Load」の略で「抽出/加工/出力」という意味です。
企業に点在する複数のシステムからデータを抽出し、抽出したデータを変換・加工して、データウェアハウス等へ出力する処理を支援します。
データウェアハウス(DWH)機能
基幹系など複数のシステムから、必要なデータを収集し、顧客や担当者別などに再構成し、時系列に蓄積する統合データベースで、データ分析や意思決定を支援します。
2. 分析系機能
2つ目は、分析系機能です。
BIに集積されたデータから必要な情報を紐解くために必要な機能群です。
OLAP分析機能
OLAPとは、「Online Analytical Processing」の略で、「オンライン分析処理」を指します。
蓄積したデータに対して、「ドリルダウン」「ダイシング」「スライシング」といった処理を行うことで、たとえば特定の日だけに売上が上がった要因を深掘りし、特定するといった用途に使用する分析手法です。
- ドリルダウン
たとえば10年間の売上げ推移から、特定の年の月別推移に移る、といった使い方がドリルダウンです。
ドリルで穴を空けて地下を見るイメージです。逆に月別から年別に移ることを「ドリルアップ」と呼びます。 - ダイシング
10年間の売上げ推移から、10年間の経費推移に移るように、グラフや表の片方の軸を変えて分析するのが「ダイシング」。
サイコロ(Dice)の面を変えるイメージです。 - スライシング
10年間の全社の売上げ推移から、たとえば商品別の売上げ推移に移るのがスライシング。
ハムかなにかのように、売上げを薄く切って(Slice)取り出すイメージです。
データマイニング機能
蓄積したデータに対して、統計的な処理を行うことで、未知の関係性や傾向を掘り出す(Mining)のが、データマイニング機能です。
クロス分析、相関分析、回帰分析といった複雑な統計分析を自動で行うことが可能です。
プランニング機能
経営陣やマネージャーが予算策定などに使うことを想定したプランニング機能もあります。
プランニング機能は、蓄積された過去の様々なデータを活用してシミュレーションを行い、予算計画の根拠を得るための機能です。
「What-if分析」などを使い、条件の変化によって売上や利益がどのように変化するのかをシミュレーションすることができます。
- What-if分析
データ分析の手法のひとつで、ある予測数字の、特定の条件を変更した場合、予測数字がどう変化するかを分析します。
たとえば、ある商品の来年度の原価が予測されたとして、為替価格が変化した場合、原価はいくらになるのかを分析することです。
これにより、複数のシナリオを比較することができるようになります。
3. レポーティング系機能
3つ目は、レポーティング系機能です。
分析した機能を、スピーディーに把握できるように可視化・ビジュアライズするための機能群です。
ダッシュボード機能
データの中から、本当に必要なデータだけを確認できるサマリー画面です。
通常、経営者やマネジャー向けにカスタマイズし、KPIに対する達成度などが並びます。アラート機能を備えるBIツールも多く、危機管理にも役立ちます。
定型レポート機能
月次の報告書など、同じフォーマットのレポートを自動で作成する機能です。
社内の各部署からフォーマットの違うデータを集めて、エクセルでまとめていたような業務が効率的に処理できるようになります。
ブラウザ、Word、Excel、PowerPoint、CSV、PDFなどで確認可能なBIツールがほとんどです。
アドホックレポート機能
アドホック(ad hoc)とは、「特定の目的のための」という意味のラテン語です。
たとえば大きなイベント時の経営数字だけをピックアップするなど、特定の時期や商品、地域、部署などで条件設定することを「アドホックレポート機能」と言います。
アドホックレポート機能は、定型レポート同様、様々なデータフォーマットに対応しています。
ここまでBIツールの多岐多彩な機能を紹介してきました。
しかし、BIツールは単に機能が多ければいいわけではありません。重要なことは「どのような分析や業務支援ができるのか」という点でしょう。
それでは、次に、BIの具体的な使い方を見ていきましょう。
BIツールの具体的な利用シーン
今や企業には膨大なデータが眠っていますが、データは使わなければただの数字です。
ここでは、BIツールで社内に眠るデータをどんな風に活用できるのか、活用例をご紹介します。
BIがそれぞれのシーンで、どんな目的で、どのような情報から、どのような結果を得るのか、参考にしてください。
営業支援
BIを活用することで、売上を向上させるための営業支援情報を得ることができます。
たとえばネットショップの運用でBIを活用することで、売上が向上している原因を分析することができます。
単純な例ですが、特定商品Aの売上が大幅に上がる日の因果関係を分析していくと、雨の日によく売れていることがわかったので、雨の日にセールを行ったところ、より大きな売上が獲得できるようになった、といったシーンがあります。
経営支援
BIツールを活用することは、経営判断にも大きく役に立ちます。
たとえば、海外の複数の国へ製品を出荷している製造業の場合、為替の影響を強く受けることが課題になっていたため、定型レポートとして各通貨の変動予測と、上下幅による利益の増減を一覧にし、意思決定をスピーディーに行うようにする、といった支援が可能です。
顧客分析
BIツールは、顧客分析にも活用されています。
たとえば、優良顧客分析でよく使われる「RFM分析」も実施できます。
RFMとは、
R(recency)=最新購買日
F(frequency)=平均購買頻度
M(monetary)=累計購買金額
という3つの指標を見て、RFMがそれぞれ高い顧客こそ、自社にとって最高の顧客という考え方です。
たとえば、最近3カ月以内に2回以上来店し、10万円以上購買している顧客を抽出し、その購買行動を分析し、プロモーションに活かすといった活用ができます。
ABC分析
ABC分析は、重点分析とも呼ばれる、販売管理、顧客管理で一般的に使われる分析手法です。
商品を売上高などでABCの3段階重み付けをし、売れ筋や死に筋を把握します。
たとえば、小売業で、バックヤードの狭い新店を出店する際、類似店舗の過去1年間の全商品の売上を並べて3段階に分け、売れ筋のAランク商品に対してのみ棚を振り分ける、といった使い方をします。
在庫分析
BIツールでは在庫の分析も素早く行うことが可能です。
たとえば、小売業で全社で在庫増が問題視されている場合、全店舗の在庫を分析し、適正在庫になるよう店舗間で商品をやりとりしたり、各商品の利益率から、過剰在庫商品を利益率の高い商品とセット販売する、といった活用が可能です。
エリア分析
BIツールでは、地図データとの連係が可能なエリア分析も可能です。
たとえば、今まで県や市町村単位で顧客分析をしていたものを、エリア分析で優良顧客を地図にマッピングしたところ、特定の道路や鉄道沿線の顧客が多いことがわかり、プロモーションを重点的にかけて来店客を増やすことができた、といった使い方ができます。
購入サイクル分析
BIツールによって、顧客の購入サイクルを分析することも可能です。
たとえば、主力商品の購入サイクルをより短くしたい場合、顧客データから購入頻度や購入の組み合わせを収集、MAツールからは顧客への接触度やメルマガ開封状況などを収集して、実績として購入サイクルが短い顧客にはどういう特性があるのかを調べ、プロモーションやマーケティング、新製品開発などに活かすことができます。
バスケット分析
バスケット分析は、マーケットバスケット分析とも呼ばれる、データマイニングのひとつの手法です。
「買い物カゴ」の中を見れば、何と何が一緒に売れているかわかるということから、一回の買い物で買われている商品の組み合わせを分析します。
たとえば、店内リニューアルの際に、それまでの売上をバスケット分析し、オムツを買っている人はビールを買う確率が高いとわかった場合、オムツの隣にビールを置いたり、ベビー用品売り場近くのレジにビールを置いたり、といった活用が可能です。
予実分析
BIツールによって経営層が重視する計画と実績を分析する予実分析も行うことができます。
BIツールなら、予算(目標)、実績、予実差、達成率といった一般的な報告書の数字はもちろん、推移や部門別データも簡単な操作で出力でき、定型レポート化も可能です。
気になる数字があれば、ドリルダウン、スライシングなどで深掘りできます。
販売時期分析
BIツールなら、販売時期の分析も簡単に実施できます。
ある商品や商品群の季節ごと、月ごと、曜日ごと、時間ごとの販売数量や販売価格を取り出す、といった抽出作業もBIなら容易です。
キャンペーン商品の選定や、プロモーションの時期の決定などに役立ちます。
故障率分析
BIツールは生産管理の支援や故障率の把握も可能です。
原材料、作業工程、製品などのデータをロット番号などで一元管理することで、トレーサビリティが可能になります。
納品・販売後の故障率を全体、商品ごと、使用期間ごとなどに詳細に表示でき、故障率が高い製品にはどんな問題があったのかも容易に把握できるようになります。
不良率分析
製造現場のデータ分析もBIツールなら可能です。
使用されている各製造システムの情報をBIで集約し、原材料、製造工程、在庫状況などを一元的に把握できます。
たとえば、不良率なども時系列で比較し、原因は原材料なのか、製造工程なのかなど、掘り下げて確度の高い分析が可能になります。
不良率が一定以上に達した場合にアラートを出すことも可能ですので、リアルタイムで対応できます。
購買分析
購買・調達部門は、コスト削減、安定調達、法律や規制対応、エコロジーやハラールといった社会的要請への対応など、多くのことが求められるようになっています。しかし、購買・調達部門の担当者の経験や関係性といった属人的な部分で成り立ちがちです。
BIツールで、購買部門から製造、販売、アフターサービスまでを一元管理することにより、購買先の信頼性や調達価格の妥当性などを分析することができ、担当者の属人的スキルと融合してビジネスを進めることが可能になります。
それでは、次にBIツールのメリットとデメリットについて確認していきましょう。
BIツールのメリットとデメリット
ここでは、BIツールのメリットとデメリットについて解説をします。
それでは、早速、メリットから確認していきましょう。
メリット
BIツールのメリットは、以下の3つです。
- ビッグデータを分析・加工して現状把握できる
- 複雑な情報をシンプルに可視化でき理解しやすい
- 経営判断に必要な情報をタイムリーに得られる
それぞれ詳細を見ていきましょう。
ビッグデータを分析・加工して現状把握できる
1つ目のメリットは、ビッグデータを分析・加工して現状把握ができるという点です。
BIツールを活用することで、通常では分析しきれないような膨大なデータに出会ったとしても、その中から必要な情報を選び取り、 経営判断に活かすことが可能になります。
あらゆるもののデジタル化が進む中で、企業は今まで以上にたくさんの情報を収集することができるようになります。
BIによって、そういったビッグデータをただのデータとして眠らせておくのではなく、売上向上やコストダウンなど経営に影響を与えることができる情報へと昇華させることができることが、1つ目のメリットと言えます。
複雑な情報をシンプルに可視化でき理解しやすい
2つ目のメリットは、複雑な情報をシンプルに可視化でき理解しやすいという点です。
BIツールを活用することで、複雑な情報を円グラフや棒グラフなどシンプルな形式にビジュアライズすることで、ピックアップして議論すべきポイントを素早く見つけ出したり、数字に基づいた正しい意思決定へと導くことができます。
経営判断に必要な情報をタイムリーに得られる
3つ目のメリットは、経営判断に必要な情報をタイムリーに得られるという点です。
刻々と変わる状況に応じてスピーディな意思決定を求められる経営者にとって、必要な情報を短時間で把握できることは大きなメリットです。
BIツールは経営判断の速度と正確性を高めるために、役に立つツールと言えるでしょう。
デメリット
次に、BIツールのデメリットは、以下の3つです。
- 導入時の設定が必要
- 一定の費用がかかる
- 導入すると辞めにくい
それでは、一つひとつずつ見ていきましょう。
導入時の設定が必要
1つ目のデメリットは、導入時の設定が必要という点です。
BIツールが社内にあるデータをしっかりと集計・蓄積するためにも、既存の情報ソースと連携をしたりインポートするといった設定が必要になります。
ただ、どういったツールであってもある程度の初期設定は必要になりますし、BIツールのベンダーごとに導入サポートも行われているのが一般的です。
一定の費用がかかる
2つ目のデメリットは、一定の費用がかかるという点です。
BIツールを提供する企業によって価格の幅はありますが、BIツールの導入には一定の費用がかかります。
企業が利用するに値する、無料のBIツールはどこも提供していませんが、一般的に無料ツールを利用するということには、リスクがあります。
そのリスクとは、利用企業がアップロードした情報を、ツール提供企業が加工して販売したり、それらのデータを元に広告配信をするなど、導入企業が本来、自社の競争優位性を生み出すために活用するべき貴重なデータが、外部で活用されてしまうことです。
費用が発生することはデメリットではありますが、自社の重要な情報を預けるBIツールだからこそ、信頼のおけるシステムを選ぶことを優先した方が良いでしょう。
導入すると辞めにくい
3つ目のデメリットは、導入すると辞めにくいという点です。
BIツールは多くのデータを集積し、経年で分析をかけるなど、データの量や利用期間が長いほど、有益な分析結果を得られる可能性が高まります。
また、経営判断に役立つ費用対効果が高いシステムとして活用できている場合、BIツールの利用を辞めることで事業の成長速度を落としてしまう可能性があるので、辞めにくくなります。
ただし、採算が合うのであれば継続する価値がありますし、今後もより多くのデータが企業活動の中で生み出されるため、競合他社に対する競争力を保つためにもデータの活用は益々大きなポイントになると言えます。
BIツール選定3つのポイント
最後に、BIツールの選定にあたって抑えるべき3つのポイントについて解説をします。
- 解決したい自社の問題を整理する
- 自社にとって使い勝手の良いBIツールを選ぶ
- 自社の目的に近い活用事例があるBIツールを選ぶ
それでは、それぞれチェックしていきましょう。
解決したい自社の問題を整理する
1つ目のポイントは、解決したい自社の問題を整理するということです。
BIは、あくまでもITシステムなのであり、ツールにすぎません。
自社でどういった状況を改善するためにBIツールの導入を検討するのか、事前に社内の問題を整理して、解決したいことを明確にしましょう。
課題を明確にすることで、必要とする機能もはっきりとしていきます。
自社にとって使い勝手の良いBIツールを選ぶ
2つ目のポイントは、自社にとって使い勝手の良いBIツールを選ぶということです。
BIは、利用し始めると日々チェックするツールになります。
状況によって集計方法を変えるなど、あとから細い調整なども必要になる場合も多いため、デモやテストアカウントで実際にシステムを操作して、その使い勝手を確認しましょう。
また、各メーカーによって力を入れている部分が異なるため、自社の求める機能が充実しているのかも確認しましょう。
自社の目的に近い活用事例があるBIツールを選ぶ
3つ目のポイントは、自社の目的に近い活用事例があるBIツールを選ぶということです。
BIツールは様々なメーカーが提供しており、企業ごとに特定の目的や業界でよく利用されているなど、顧客属性にも偏りがあります。
自社でBIをうまく活用するために、自社の利用目的と同じケースの事例が多い企業から活用ノウハウを得ることで、より効果的にBIツールを利用することができるようになります。
BIツールの具体的な成功事例
最後に、BIツールで会社を変えた事例を3つご紹介します。
【導入事例1】脱Excelに成功。で、約800人が毎日使う営業活動に直結したBIに
鳥居薬品株式会社
業種:医薬品/従業員数:1058名(当時)
引用:鳥居薬品株式会社
https://www.torii.co.jp/
導入前/複数のBIツールとExcelを併用
製薬メーカーとして140年以上の歴史を持つ鳥居薬品さん。データ分析による戦略策定が欠かせない業界であり、複数のBIツールとExcelで基幹システムのデータや市場データの分析を行っていたそうです。そんな中、新たな市場データをより迅速に入手可能になり、データ分析・活用スキームの見直しが始まりました。
導入の決め手/グラフ表現力とスピード感が決め手
データ活用のスピード感と表現力、両方の課題を解決できるBIツールを探す中で「Actionista!(アクショニスタ)」を知り、グラフの表現力や分析画面の見やすさや使いやすい点、サーバーライセンス方式で利用者を限定する必要がないコスト面での魅力から、導入が決まりました。
導入効果/全社員の8割が毎日アクセス
朝、BIのデータをチェックしてから1日の活動をスタートさせる人が多いので、毎日8割もの社員さんからのアクセスがあるとか。データ分析のスピードも速く、これまでは外部に依頼していた新規データの取り込みが社内で完結できるようになり、時間とコストが大きく削減できたそうです。今後はセールス活動の分析や経費分析などにも活用を望む声が上がっているとのこと。
【導入事例2】役員会に衝撃が走った、思わず使いたくなるBIツール
浜松ホトニクス
業種:製造業/従業員数:3,571名(当時)
引用:浜松ホトニクス
https://www.hamamatsu.com/jp/ja/index.html
導入前/現場社員がデータを活用できるシステムを求めて
医療、バイオテクノロジー、カメラ、宇宙開発、スポーツ生理学まで、「光」を通して様々な分野に貢献する浜松ホトニクスさん。
情シスが基幹システムやサブシステムから抽出したデータを、現場がExcelで作業するという旧来の手法に限界を感じていましたが、社内のBIは現場が使えるものではありませんでした。そこで現場社員がタイムリーにデータ活用できるシステムを導入しようと思い立ちます。
導入の決め手/他のBIツールとは異なる操作性の良さ
複数のBIツールを比較検討したところ、多くのBIツールは社内の既存BIツールと類似し、使われないことが予測できたそうです。現場社員に気軽かつ積極的に使ってもらうことを想定したときに、Actionista!の操作性が目を引き、これだ!と考え、導入を決定。 事業部すべての社員へ展開するため、アカウント数無制限のライセンス体系が魅力的でした。
導入効果/現場主導で事業部内の様々なKPI/KGI を分析
事業部の主なKPI/KGIを分析するダッシュボードから始まり、現場社員自らが分析対象のデータの投入や、個人で分析するためのダッシュボード作成を実現。
現場主導で事業部内の様々なKPI/KGIの可視化・分析システムの構築に成功しました。用途は、製造系・営業系・業務系と幅広く、さらに現在では他事業部の一部へ広がりが見え始めています。
【導入事例3】属人化したExcelでの集計・グラフ化作業がゼロに
日本電子材料株式会社
業種:製造業/従業員数:559名(当時)
引用:日本電子材料株式社
http://www.jem-net.co.jp/
導入前/各部署が専任担当者を置いてExcelでデータ集計
半導体検査部品の開発・製造で知られる日本電子材料さん。技術革新が続く業界で刻々と変化する情報を分析するために基幹システムによるデータの一元化は完了していました。しかし、データ集計やレポーティングは各部署の専任担当者がExcelやプログラミングで行うという属人化した状況でした。
導入の決め手/経営層でも使える操作性と見た目の良さ
経営層からの指示で業務効率化のためにBIツール導入の検討が始まり、2社のBIツールを比較した結果、Excelで作成していた営業日報の再現度、マニュアルいらずの使いやすさや、サーバーライセンス方式という費用対効果のよさが決め手になり、Actionista!が選ばれました。
導入効果/経営会議でBIツールを基に議論が交わされるように
導入後、日次や月次の定型レポートを自動化したところ、一般社員でも集計・レポーティングができると喜びの声が上がっているそうです。経営会議でもレポートをプロジェクタに投影して議論が交わされ、以前なら『後で確認しておきます』で終わっていた数字が、その場で確認でき、社長からも「良いツールが入ったね!」と褒められたそうです。
3つの事例について、詳しくはこちらのページもぜひご覧ください。
まとめ
本記事では、BIツールについてプロの視点から徹底的に解説をしました。
会社経営において、あらゆるものがデジタル化されていき、多くのデータを得ることができるようになりました。
しかし、それらのデータを経営に影響を与えられる情報として活用しきれている企業は、まだまだ限られています。
今後、自社で取得したデータを経営に活用していくことができる企業とできない企業では、競争力に大きな差が出る時代になっていきます。
経営者から現場社員まで社内のデータを活用することで意志決定を支援していくBIツールは、今後も多くの企業が導入していくツールと言えるでしょう。
BIツール完全攻略ガイド
データの収集、蓄積、分析を迅速に行い、意思決定をサポートするために開発されたBIツール。
本資料ではそんな「BIツール」を完全に理解するための手引き書として、具体的な機能や利用シーン、活用事例などを1冊にまとめました。ぜひご活用ください。