売上分析を理解するための5ステップ
売上分析をしたいが、正しい分析方法が分からない
売上目標を達成するために経験と勘だけでは限界を感じる
売上を分析するために何をどうすればいいのかが分からない
売上分析を進めたいと考えても、詳しい方法が分からずにうまく分析できないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、売上分析の目的とメリット、売上分析方法・手法、ツールまでくわしくご説明していきます。
【業界別】事例から学ぶ
データ分析10の手法
BIツールの導入を検討している方からは「現場での活用イメージが持てない」という声をよく聞きます。
本資料ではデータ分析手法を実際の事例とともにわかりやすくまとめています。ぜひご活用ください。
目次(表示/非表示) |
---|
売上分析の目的は現状把握と目標設定
そもそもなぜ売上分析を行う必要があるのでしょうか?
売上分析を行う理由はおそらく、売上拡大を期待しているからではないでしょうか。しかしながら、なんとなく売上に関する数字を並べて分析するだけでは具体的に何が効果的なことで何をやればいいのかを理解することはできません。
売上分析の目的は、的確な「現状把握」と具体的な「目標設定」にあります。
商品、サービス、売上高、利益率、部署別、個人別、顧客別など売上を構成する内容を細分化すれば、どこにどのような課題があるのかが「現状」が見えてきます。
ただし、細分化した情報だけでは何をすべきか、という施策は見えてきません。
そのために具体的な「目標設定」が必要となります。
事業計画として上がっている情報などから、経費を削減して利益率を10%あげたい、特定商品の売上を30%増加させたい、この店舗の売上を前年度よりも50%伸ばしたい、など目標を具体的な数字とともに明確にします。
的確な「現状把握」と具体的な「目標設定」のギャップが視覚化されることで今取り組むべきことが分かります。
売上分析を行う5つのメリット
売上分析を行うことで得られるメリットを5つご紹介します。メリットを理解しておくことで週次、月次で売上分析報告をする場合にも何をポイントに説明すればいいかが分かります。
1. 収益性の高い商品・顧客が分かる
売上分析を行うと情報が細分化されます。つまりどの商品、サービス、顧客が売上高・利益率が高いのか、ということが分かるようになります。
「ビジネスにおいて、売上の8割は全顧客の2割が生み出している」「商品の売上の8割は、全商品銘柄のうちの2割で生み出している」というパレートの法則からも分かるように収益性の高い商品・顧客を理解することで選択と集中というプランが立てられます。
2. 市場ニーズが理解できる
売上を改めて分析することで、どのような商品、サービスが売れているのかどのような顧客が買ってくれているのか分かるので現在の市場ニーズが理解できるようになります。
分析して理解したニーズは、ペルソナとして戦略を新しく考えるときの材料にもなるため、根拠ある積極的な施策を行うことができます。
3. 販促活動の効果を把握できる
販促活動の効果測定をすることは重要です。売上を上げるための必要な戦略が販促活動といえますが、どのような広告、展示会に出稿することで反響があったのかを知らずにいることは経費を浪費することにもつながりかねません。
分析した結果、今の販促活動に効果がないのであればインターネットからの集客活動に切り替えるなど別の販促方法も見出すことが可能です。売れ筋商品を売上から把握し、その販売にシフトしていくのも一つの方法です。
4. 適切な売上目標が設定できる
闇雲に来年度の売上目標を現状の200%アップにする、ということをしても現実的ではありません。
昨年度から今年度にどれだけの売上推移があったのか、その原因はなんだったのか、を理解することで次年度以降の売上目標も現実的なラインで考えられ現場社員への説明も納得感あるものとなります。
5. 営業担当者のモチベーション向上
納得感のいく仕事をして目標を達成し評価されることで営業担当者のモチベーションは上がります。適切で分かりやすい目標を設定すると目標達成したときの達成感を担当者は感じることができます。
理屈なく次年度売上目標を立てても担当者のモチベーションを上げることは困難です。やる気溢れる社員が増えることで生産性の向上、離職率低下などメリットをもたらします。
3つの売上分析方法
では、売上分析はどのような流れで進めるのでしょうか。3つのステップで紹介いたします。
1. 売上分析目的の明確化
自社、自部門、個人成績についての目標を設定します。目標を決めるときはいつまでにどのような成果をあげたいのかを考えるとよいでしょう。
事業計画があり、そこから逆算すると目標の大枠は自然と出てくるはずです。そこから、その目標は現実的な目標なのか、その目標を達成するためにどうしたらいいのか、という課題につながります。
2. 売上データを収集する
的確な「現状把握」をするためには売上データを細分化させ、それらのデータを収集する必要があります。
売上高、顧客数、顧客単価、商品単価、新規顧客、リピーター、購入頻度、など売上を構成する要素と経費としての固定費(人件費、家賃など)、流動費(販促費、材料費、消耗品など)を洗い出します。
また、会社内部の情報のみならず外部マーケティング会社の業界情報、調査データや国(経産省、総務省等)が出している外部調査データも取りまとめると、より客観的な情報が集まります。
3. 売上データの加工・可視化・分析
収集したデータはそれだけでは分析できる情報とはいえません。見やすく分析しやすい形に加工する必要があります。
加工するためにはツールが必要です。簡単に使えるツールではExcelがあります。より見やすく簡単に加工したい、目的に応じた分析をしたい、となればBIツールやCRM/SFAツールというものがあります。それらを活用することで、データをグラフ化することが容易になり必要な情報が的確に抽出、可視化できるようになるのです。
売上データを分析するための7つの手法
ツールを使えば自動で売上分析ができるようになるわけではありません。目的に応じて売上データを分析する手法も変わってきます。
何が必要なのか、どのような結果が欲しいのか、そのためにはどのような手法を用いるべきかを知っておくことが大切です。
1. ABC分析
ABC分析は世の中の様々な事象は決して平均的でなく、偏りがあるという考えのもと分析をしていく手法のことです。たとえば、商品・サービスの売上・かかる経費・在庫率などが大きい順番に並び替えて管理・分析したりするときに用います。
並び替え、ランク付けすることで、重点的に取り組むべき問題をあぶり出すことができるというメリットがあります。
ABC分析については、以下の記事で詳しく解説しているので合わせて参考にしてみてください。
(参考記事)わかりやすい在庫分析!ケーススタディとグラフで具体的な分析方法を解説
2. アソシエーション分析
アソシエーション分析とは、「もしこうだったら、こうなるであろう」という関連性を見つけ出す手法のことです。「もしこれを買うと」「これも一緒に買うだろう」という情報が数字で理解できます。
これは、店舗内やECサイト上での商品配置や、広告・カタログの商品配置の参考情報となります。例えば、「パンとバターを購入した人はミルクも購入している」という分析が可能となります。
3. 要素分解
要素分解は、売上を構成する要素を分解する、というシンプルな手法です。売上で言うと「売上=客数×客単価×来訪数」と分解できます。たとえばこの分析の結果から売上を上げるには
- 客数を増やす
- 客単価を上げる
- 顧客来訪回数を上げる
の3点にある課題を解決すれば売上はあがるだろう、といった施策を打つことができます。
4. デシル分析
デシル分析とは、すべての顧客を商品の購入金額順に10等分し、各グループの購買データを分析する手法です。この比率や構成比によって、売上高の高い「優良顧客層」を知ることができその顧客層に集中的に対策を打つことが出来ます。
5. 重回帰分析
重回帰分析とは1つの目的変数を複数の説明変数で予測しようというもの。対して、単回帰分析は、1つの目的変数を1つの説明変数で予測します。
簡単にいうと売上分析に関する要因を複数考え、それらのどれが売上に影響を与えているかを分析し将来予測する、という分析方法です。店舗の大きさ、場所、顧客単価、顧客男女比、商品単価、商品数などの要因を並べ回帰モデルと照らし合わせることでどれがどのような影響を与えているかを分析することができます。
6. RFM分析
RFM分析とはRecency (最近の購入日)、Frequency(来店頻度)、Monetary (購入金額ボリューム)の 3 つの指標で顧客をランク付けする手法のこと。重要な顧客グループを特定することが可能となります。それぞれのグループごとの対策を考えることができます。
7. クロス集計
クロス集計とは、与えられた多くのデータのうち、2つもしくは3つ程度の項目に着目して、データの分析や集計を行うこと。商品別の月ごとの売上推移を確認したい場合、商品群と商品注文月と月別商品売上高を並べるとどの商品がいつどれくらい売上が高いかが一目で理解できます。
売上データ分析に活用するツール
売上分析の手法を理解できたとしても売上データを分析するためにはツールが必要です。
エクセルで売上分析
表計算やグラフの作成で使用する「エクセル」で売上分析をすることができます。
例えば、好きな項目で簡単に集計を行ってくれるピボットテーブル。自動で地域別に売上額を集計したりすることが可能です。
また、年齢別での人口数などを可視化(グラフ化)することでデータ分布が分かります。2つ以上のデータの関係性や相関性を整理することも簡単にできます。
エクセルのメリットは簡単に誰でも売上分析のツールとして活用できる点です。
ただし、デメリットとしては、膨大なデータ処理には適していない、分析データが手集計となるので分析者に属人化してしまいその人がいなくなったら分析できる人がいなくなる、などがあります。
BIツールで売上分析
「BI」とは、「ビジネス・インテリジェンス(Business Intelligence)」のことです。ビジネス・インテリジェンスとは、企業が日々蓄積されていく膨大なデータを分析し、その分析結果を経営意思決定に活用することをいいます。
BIツールは、膨大なデータから必要な情報を抽出、売上データを分析してレポーティングできるツールです。
基幹システムとデータを連携することにより内部情報を自動抽出可能です。可視化するにも簡単に分かりやすくグラフ化することが可能です。
CRM・SFAツールで売上分析
SFAは「Sales Force Automation」の略で「営業支援システム」と訳されます。営業部門のリード獲得から商談成立までをサポートするツールです。
CRMは顧客管理を支援するツールで、顧客属性や自社コンタクト履歴、マーケティングでの顧客とのコミュニケーションなどの情報を組み合わせることにより、売上向上を実現します。
SFAは営業支援システムとして、営業情報を一元管理し、営業のパフォーマンスを組織的に高めることができます。
自社の目的に応じてどのツールを利用することがいいのか検討するといいでしょう。
なお、SFAとCRMの違いについては以下の記事で詳しく解説しています。
本記事では売上分析について詳しくご紹介してきました。
まとめ
売上分析といっても、様々な分析手法があり、ツールも多種多様でどうすればいいか迷う方もいることでしょう。
事業計画の評価や改善施策、新しい施策を実施する上でも、現場の売上分析を正しく行い、正しい経営判断ができるようにしなければなりません。
まずは、改めて自社の現状と目標を再確認することから売上分析を進めていきましょう。
【業界別】事例から学ぶ
データ分析10の手法
BIツールの導入を検討している方からは「現場での活用イメージが持てない」という声をよく聞きます。
本資料ではデータ分析手法を実際の事例とともにわかりやすくまとめています。ぜひご活用ください。