変換辞書をめぐるFAQ

Q「違(ちが)かった」「違(ちが)くない」と変換できないのはどうしてですか。
A

ATOKの標準辞書や変換プログラムは、内閣告示「現代仮名遣い」(昭和61年7月1日)、「送り仮名の付け方」(昭和48年6月18日)など、規範性を持つ公的基準をよりどころとし、その範囲を著しく逸脱しない範囲で、お客様ご自身の選択の幅をできるだけ広くする、という原則で開発を行っています。

しかし、「違(ちが)かった」「違(ちが)くない」は、一般的な国語辞典などでも、ともに〈誤用〉とされる表現であり、ATOKの一般モードでは、変換の対象としてはいません。

元来、ことばというものは、当初〈誤用〉とされたものでも時代の変化とともに定着し、許容されていくものが多々あります。この「違かった」「違くない」が、今後どういう歩みをたどるかは予断を許しませんが、こうした言語現象を画一的、固定的に考えることなく、常に見直し作業を行いながら、対応していきたいと考えています。

ジャストシステム

解説

「違(ちが)かった」は、「違い」という名詞の語末の「い」を、形容詞の語尾だと誤認して、それをあたかも形容詞のように使ったもので、一般には誤用とされます。

終止形と連体形を欠いたまま、「違かろう(未然)‐違かった・違くない(連用)‐○(終止)‐○(連体)‐違ければ(仮定)」のように使われ、特に連用形の「違かった」と「違くない」は、ネットや若者の口頭語で盛んに使われています。(同じく口頭語で盛んに使われている「ちげー」が終止形と考えられるかもしれません。)「違かった」の場合は、正しくは、「違っていた」「違った」などとなるべきところです。

同種の言い方に、「みたく」があります。これは、助動詞「~みたい‐だ」の語幹相当部分である「みたい」の「い」を、形容詞の活用語尾と誤認して、「空気みたく(正しくは、「みたいに」)ふわふわしている」などと使うもので、主に連用形に相当する「みたく」が使われます。

九州方言「きれか」も、同様の現象として説明されます。これは、名詞または形容動詞語幹「きれい(奇麗)」の語末の「い」を形容詞の活用語尾と誤解し、「い」を「か」に変えて、九州独特の形容詞を作りだしたものです(よい:よか=きれい:きれか)。これは方言としては定着した言い方で、「窓からの眺めのきれかよ!」などと使います。

「違かった」「違くない」や「~みたく」は、今はまだ共通語としては〈公認〉された言い方ではありませんが、特に関東地方では、かなりの勢いで広がっているようにも見受けられます。近い将来、これらが特殊な形容詞や助詞(副助詞)として日本語の中に定着しないという保証はありません。

ATOKとしても迷うところですが、漢字変換の要求が高いとみなされるものについては、柔軟に対応していこうと考えています。

「違かった」「違くない」は、現在、〈話し言葉関東〉で変換することが可能です。使用状況を見守りながら、今後ともきめ細かな追加補正作業を続けていきたいと思っています。

ジャストシステム・ATOK監修委員会

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