中学・高校の実践事例

肉眼ではとらえられないその一瞬を見つめる
〜エディウスJで動画活用〜 群馬県桐生市立南中学校

実験のさなかでも
仮説を基に試行錯誤

トウモロコシがはじける瞬間をとらえた映像から切り出した静止画

なかなかトウモロコシがはじけず、ビデオカメラを延々と回し続けていたポップコーンのグループ。最初の1粒は表面が焦げてしまい、思うようにははじけず。粒を多くして、ようやくいくつかはじけ始めた。
「市販のポップコーンに比べて、はじけ方が弱いかな」
「火を強くすると表面だけ焦げてしまって、なかなかはじけないね」

フライパンでの加熱はそこまでとし、用意していたアルミホイルの器に切り替える。と、数分で勢いよくはじけ始めた。
「うわ! すごい!」
「おいしそう!」

そこで丹羽先生が生徒たちに尋ねる。「はじける瞬間は、どんな風になっているんだと思う?」

すると、生徒たちからは「内側が膨らんで外側の皮が破れて、外側と内側が一気に入れ替わる」という答えが。

予想通りのはじけ方なのか否か。動画を取り込んだところでこの日の授業は終了となった。

トウモロコシがはじける瞬間をとらえた映像から切り出した静止画。家庭用ビデオカメラにおいては、1コマに2つのフィールドが重なっておさめられているため、速い動きをしている個所はブレているように見える。

意欲的に取り組むことで
探求心が高まる

カメラの操作方法や実験の進め方など、授業中、丹羽先生はさまざまにフォローする

カメラの操作方法や実験の進め方など、授業中、丹羽先生はさまざまにフォローする。

「授業ごとの成果は求めないと言いましたが、記録は取るよう指示しています」丹羽先生はそう言って生徒たちの今までの記録ファイルを見せてくれた。「ミルククラウン」「高さ30cm」など、極めて簡単な箇条書きの記述ではあるものの、これがレポート作成時に役立つのだと丹羽先生。
「コンクールに出す場合、いかに人と違うテーマかということも大切ですが、それと共に、動機や仮説、どんな条件でどんな実験を行い、どう考察したかといった基本的な記述の確かさも重要です。『とにかくこんな静止画を切り出すことができました』では入賞は狙えません」

また、わずかでも書き留めることで考えがまとまり、新たな疑問が浮かぶこともあるという。

 

『エディウスJ』で次々に静止画を切り出す

エディウスJ』で次々に静止画を切り出す。「作業の流れだけ教えれば、あとは子どもたちだけでカンタンに扱えるソフトですね」と丹羽先生。

理科離れが言われる昨今だが、意欲的に実験を進める子どもたちの姿は知的好奇心にあふれている。生徒自らが目的意識を持って実験に取り組むことで、探求心は一層高められているようだ。

◆群馬県桐生市立南中学校

群馬県の東部に位置する桐生市。古くから絹織物の産地として栄え、京の西陣と並び称される。両毛地区を流れる渡良瀬川にほど近い場所に建つ南中は、心身共に健康で、知・徳・体の調和のとれた生徒の育成を目指している。生徒数126名。亀井優(かめい・まさる)校長。

取材:西尾真澄/撮影:西尾琢郎
※本文中の情報は、すべて取材時のものです。