メディアとのつきあい方講座

情報担当者のためのQ&A

このコーナーでは、情報教育の現場での具体的な疑問や課題について、その回答や考え方のヒントを実践的にご紹介します。

回答者:西田光昭 先生(千葉県柏市立南部小学校 教諭)
佐和伸明 先生(千葉県柏市立旭東小学校 教諭)
編集部

Q:情報モラル教育の進め方

学校にインターネット環境ができました。情報モラル教育が必要と言われますが、一体何を、どのように教えていけばいいのでしょうか。

A:ネットワーク社会を特別視するのをやめましょう

指導の考え方は変わらない

出会い系サイトの問題をはじめ、自殺掲示板を介した心中事件など、インターネットを媒介にした深刻な事件が多発していることはご承知の通りです。

しかし、何がしかの問題が起き、それに対処していく上での考え方は「ネットワーク上のことだから」という特別なものではないと思います。

ネット掲示板での中傷も、通常生活のことと同じ

たとえばインターネットの掲示板で、子どもが他人を中傷する書き込みをしていたことが発覚した場合のことを、日常の生活の中と比べて考えてみましょう。

日常生活で、友達の悪口を言いふらす子がいたら、その子どもに事情を聞き、必要な指導を行うことでしょう。これと同じように、インターネット上でのことも、通常の生活の中での子どもの行動に対する対処と何ら変わりありません。

もし変わることがあるとすれば、その影響の及ぼす広さと速さに対する認識を持たせることです。

対処が同じであるように、それを指導していく上での考え方もまた、決して特別なものではありません。子どもに期待し、また教えなくてはならないことは「相手が嫌がることをしない」などといった通常の道徳的な考え方そのものだからです。

頼れるルートの確保を

もちろん、問題の状況を明らかにする上で、掲示板の仕組みやその匿名性など、技術的な面を明らかにしなくてはならないことも出てくるでしょう。しかし、それは当たり前のことです。分からないことに答える仕組みは、さまざまな形で用意されています。

地域によっては教育委員会によるものもあるでしょうし、CEC(財団法人コンピュータ教育開発センター)JERIC(Japan Educational Resource Information Center)などの組織でも、先生方をサポートする活動を行っています。まずは自分が頼れる情報ルートを確保しておくことを心がけてみてはいかがでしょうか。

ネチケットという言葉を特別なものだと考えず、通常のエチケットと一体のものとして、子どもたちが身につけていくように指導していきたいものです。

(西田光昭先生)