メディアとのつきあい方講座

情報モラル教育を急げ!

親子で学ぶ情報モラル学習プログラムの開発
〜実践により得られた親と子の情報モラルに対する意識の変容〜
小学校5年・6年 :総合6時間

2.親子で学ぶ情報モラル

2.2.学習プログラムとその実践

 

(1)対象児童   K 小学校第5 学年13 名,第6 学年9 名

(2)実施期間   2005 年6 月10 日(金)〜7 月13 日(水)

(3)教科・単元名と内容

総合的な学習の時間「情報モラル学習」6時間

1 時間目 「情報の信頼性や信憑性について」
2 時間目 「著作権などの尊重」
3 時間目 「情報発信者の責任と相手への配慮」
       (学習参観を利用:親子で掲示板体験)
4 時間目 「個人情報やプライバシーへの保護」
5 時間目 「有害情報・トラブルへの対処、身体への影響」
6 時間目 「我が家の約束作り」(学習参観を利用)
       と保護者の座談会(学習を振り返って)
を実施

3. 学習プログラムと評価

3.1.評価の方法

以下の(1)〜(5)のデータをもとに評価を行う。

(1)実践の前と後に行った、保護者の意識と情報モラルに関する知識をみたアンケートの結果

(2)親子で取り組んだワークシートでの記述

(3)教師への感想・質問シートでの記述

(4)最後に行った座談会での保護者の発言

(5)保護者へのインタビュー

3.2.結果と考察

(1)〜(5)で得られたデータから学習を通して見られた親子の関わりの様子や意識の変容が見られる記述や発言を抽出し分析を行った。本稿では、保護者へのアンケートの結果と、著作権についての事例を示す。

保護者の意識アンケートの結果

図2:保護者の意識アンケートの結果

※上記画像をクリックすると、拡大表示します。

 

家で子どもがインターネットを利用する際の関わり方についての9 項目すべてにおいて、「よくあてはまる」の回答数が増えており(図2)、家庭でのインターネット利用における親の意識の高まりが見られた。

 

表1:座談会での親の発言

私はパソコンでDVDソフトなどをコピーし、子供に与えていました。その時に「本当はいけない事なんだけどね」などと悪いことを容認させていたのです。子供は「じゃDVDの映画や、ソフト、音楽のCDなんか買わなくてもレンタルショップで借りてコピーすればいいね」などと言った事がありました。たとえ小さな事でも子供は拡大解釈になり、どんどんエスカレートしていく事に不安を感じました。今回の学習を機会に、自分自身親として責任と常識の有る行動・発言・理念を持って接していかなければと考えさせられました。

 

表2:保護者へのインタビューから

帽子のマークのデザイン募集があったのでインターネットでいろいろなデザインを探しそれを真似て書き写していたところ、子どもに「この絵どうしたの?」と聞かれました。「著作権」について、アンケートを書いたばかりだなぁ〜と頭にあったので、正直に事情を話し たところ「お母さん、著作権!」と言われたのです。自分でも気にしていたから、なおさらびっくりしました。その後、子どもと一緒にオリジナルのデザインを考えて応募しました。

 

「著作権などの尊重」について親子で学んだことによって、今までを振り返り今後親としてどう接していくべきかの見解(表1)が、子どもの発言によって親自身の行動の変容(表2)が見られ、親の情報モラルに対する意識の芽生えが示唆された。

4.おわりに

本研究では、親子で学ぶ学習のモデルを提案し、情報モラルの学習プログラムを開発した。事例を通して実践の有効性を示した。今後の課題として、さらに(1)〜(5)のデータを総合的に分析して効果を探る必要がある。

 

謝辞

本実践を行うにあたって、一方ならぬご協力をいただいた実践校の保護者の皆様に心から感謝いたします。

 

付記

本研究は上越教育大学大学院学校教育研究科学校教育専攻学習臨床コース
情報教育分野(井上久祥研究室)において,修士論文研究として取り組んだものである。

 

参考文献・サイト

JAPET(2005)情報モラル研修教材2005

埴岡靖司(2004) 親子で学ぶ情報モラル,Eスクエアアドバンス平成16年度教育・ 学習へのIT活用シンポジウム,p72

IPA,CEC「ネット社会の歩き方」 (2001)

熊本県教育委員会(2005)インターネット・携帯電話の利用に関する家庭向け指導資料

村田育也(2002)親と子のための情報モラル教育の実践,日本教育工学会第18回全国大会講論文集, p375-376

※本文中の情報は、すべて取材時のものです。