メディアとのつきあい方講座

メディアとのつきあい方学習への招待

第1回 堀田龍也先生に聞く
独立行政法人 メディア教育開発センター研究開発部・助教授
東京大学大学院情報学環ベネッセ先端教育技術学講座・客員助教授

2004年6月に『メディアとのつきあい方学習』が出版されてから1年半。いよいよ『メディつき』第2弾が、この春発売になった。その執筆活動の合間に、改めて「メディつき」とは何か、そして第2弾の内容はいかなるものとなるのかを伺った。

もっと簡単に始められる
メディつき実践はないのか堀田龍也先生

──まず、メディつき第2弾を執筆するに至った経緯を教えてください。

「第1弾ではメディつきの『理論』を中心に書きました。もちろん『実践』の事例も豊富にご紹介しましたが、その実践の数々は素晴らしいものであるがゆえに、メディつきを初めて知る先生方には垣根の高いものであるというご意見を数多くいただきました。『メディつきの趣旨は理解できたけれど、どこから手をつければいいのか分からない』『もっと簡単に、お手軽に始められるメディつき実践はないのか』『これからメディつき実践を始めたい学校のために、はじめの一歩になるような実践を提示して欲しい』といった声を思いのほか多く聞いて、これは第2弾を書かなければ……と」

──第2弾はメディつきの実践が中心となるわけですね。

「そうです。しかも、フランス料理のフルコースのように万全の準備が必要となる実践ではなく、いわば、レンジでチンすればすぐに食べられるような、お手軽な実践をたくさんご紹介するべく準備しています」

──具体的に、どのような構成になるのでしょう。

「メディつき第2弾は4つの章で組み立てています。1章では、最新の動向と第1弾で書いたメディつき理論のダイジェストを、2章では、リクエストの多かったお手軽実践を、3章では、2章よりもう少し踏み込んだ実践を、4章では、メディつきを広め、推進するための方策や具体的なカリキュラムをご紹介する……という構成です。『簡単な実践を数多く』が第2弾のキモですが、ほかに、メディつき実践を推進していらっしゃる先生方の対談やコラムも用意しています」

そもそも
「メディつき」とは

──そもそも、メディつきとは何なのでしょうか。

「メディアの『操作法』や『仕組み』を教える学習ではなく、メディアとの『つきあい方』を教える学習が必要だ、ということです。冷蔵庫がどうやって冷えるのか、その仕組みは知らなくても、私たちは冷蔵庫を使いこなすことができます。扉を開けっ放しにしないとか、詰め込みすぎは良くないとか、いわば冷蔵庫との『つきあい方』を私たちは知恵として会得しています。メディアも冷蔵庫と同じです。生活を豊かにする上で、メディアとどうつきあうか。それを教える学習が『メディアとのつきあい方学習』なのです

──どうしたらメディアとのつきあい方を学ぶことができるのでしょう。

「メディつきは3つの柱から成り立っています。1つ目の柱は『メディアの特性と適切なメディアの選択の仕方について学ぶこと』です。これは、メディアの特性を知り、目的に応じてメディアを選択できるようになる力を育てよう、ということです。例えば『急いでいるから電話で連絡しよう』とか『相手が食事中かもしれないからメールで送っておこう』とか、そういったことを考えられるのは、電話やメールの特性、すなわちメディアの特性を理解しているからこそなのです」

──2つ目の柱は?

「2つ目は『メディアが生活に与える影響について学ぶこと』です。メディアは、すでに私たちの暮らしから取り外せない存在です。特にマスメディアは、私たちに日々いろいろな情報を与え続けています。しかし、その情報は常に誰かが編集し、再構成したものであることを知るのが大切です。メディアの及ぼす影響を理解し、自覚した上で、自ら判断する力を育てること。これは従来メディア・リテラシーと呼ばれてきた分野の学習です」

──3つ目の柱は?

「3つ目は『メディアが取り巻く社会での安全な行動の仕方について学ぶこと』です。メディア社会には光と影があります。光の部分、すなわちメディア社会の恩恵を享受しながらも、影、すなわちメディア社会に潜む危険を回避し、安心して安全に暮らすために必要な知識や態度を身に付けよう、ということです。情報社会を健全に歩むための意識や知識、モラルや姿勢を学ぶ。これは情報モラルと呼ばれる分野の学習ですね」