メディアとのつきあい方講座

メディアとのつきあい方学習実践事例レポート

お互いに影響し合う言葉と写真
「言葉が写真を意味づける。写真が言葉を支える」

〜言葉と写真で伝える学校紹介〜
東京都・お茶の水女子大学附属中学校

パソコン教室の様子 人が涙している写真を見て、それが単純に「悲しみの涙」なのか、それとも「悔し涙」なのか、はたまた「うれし涙」なのかを判断するのは難しい。しかし、その写真に、うれしさがにじみ出てくるような言葉が添えられていたらどうだろうか。

人は、写真に付随する言葉によって、簡単にその見方を変えてしまうのだ。そんな言葉の役割を知ることで、生徒たちが自ら効果的な要素・構成を考え、学校紹介作品を作るという中1・国語の授業を取材&お手伝いさせていただいた。

単元の目標 おさえておきたいポイント

身近な新聞にはどんな言葉や写真が使われている?

授業を始めるにあたって、宗我部先生は3種類のスポーツ新聞をマグネットで黒板に貼り付けた。2003年プロ野球、日本シリーズ最終戦、その翌日の紙面だ。
生徒たちの視線がまっすぐ黒板の紙面に注がれる。口々に「中継を見たよ」などと話す生徒たち。授業で時事ネタを扱うことで、確実に生徒たちの興味が引き寄せられていく。

宗我部先生からの説明

3紙とも、阪神タイガース・星野監督(取材当時)の写真を大きく掲載している。帽子を脱ぎ、グラウンドに礼する姿、ベンチから去る姿、そして、静かに微笑む顔のアップ。

先生は、「『星野仙一 さらば 夢 ありがとう』……この写真にこういう言葉が添えられると、星野監督のやり遂げた満足感みたいな思いまで伝わる気がしますね」と、言葉と写真が支え合うことの効果を指摘した。

続いて先生から、今回の授業のゴール地点を伝えられる。 そのゴール地点とは、言葉と写真で伝える「学校紹介」作品を作ることだ。
「名付けて、『VIVA! お茶中ライフ』」
板書とともに、生徒たちから「VIVAって何?」と声が上がる。

「VIVA」は万歳の意味。
「未来の後輩たちに向けて、写真と言葉をうまく組み合わせてこの学校の毎日の様子を紹介しよう」
と先生が生徒たちを見回す。来年の新入生たちがそれを見て、早くお茶中に行きたい!と思うような、魅力的な「学校紹介」を作ってほしい、と先生。

そのための素材となる写真は、我々取材陣が今日1日校内外を回って撮ることになっている。 生徒たちにどんな使われ方をするのか、写真を撮る側としてもホームページの仕上がりが楽しみだ。

言葉の役割 写真の役割

先生がひと通りの説明を終えたところで、今度は我々が授業のお手伝いをする時間となった。実際に「編集」を仕事としている立場として、言葉と写真の役割について生徒たちに説明してほしいと先生から依頼されている。

ゲストティーチャーからの説明 まず、言葉の役割について、編集者としての立場から解説。「キャッチコピー」「見出し」「リード」「本文」「キャプション」と5つの用語を板書し、黒板に張られているスポーツ新聞を指差しながら、この部分が「リード」、この部分が「キャプション」と、それぞれの役割を説明していく。

続いて、実際の例として用意したのは車のパンフレット。

パンフレットを見比べる生徒たち

車のパンフレットは、主に3つの部分から構成されている。巻頭部分には消費者の購買欲を刺激する、大きくて印象的な写真が使われており、言葉もまた簡潔で情緒的なものが添えられている。

次に、その車の各部の魅力を伝える写真と詳細な解説文があり、最後に色やグレード、値段、仕様などの詳細な写真、文章が説明的に入れられていることを話す。

言葉と写真の用い方のさまざまなパターンについて説明しながら、多数用意してきた車のパンフレットを実際に生徒たちに見てもらった。