中学・高校の実践事例

写真と動画を組み合わせた映像作品で 中学校生活3年間を振り返る 
〜『はっぴょう名人Teen's』と『MegaVi DV2』で思い出をつづる〜
東京都・品川区立荏原第三中学校

荏原第三中学校 品川区立荏原第三中学校の「三年生を送る会」は、15年間続いている学校の伝統行事。3年生の卒業を祝うと同時に、在校生が伝統を受け継いでいくことを自覚するという目的を持って開催される。

「三年生を送る会」を1週間後に控えた準備日とイベント当日の2日間にわたって、学校におじゃました。

写真を取り込んでスライド作成 3年生へのインタビューも準備OK!

「三年生を送る会」を2週間後に控えたこの日、荏原第三中学校はその準備で活気づいていた。
1年生3クラスが合同で 「三年生を送る会」の準備にあたる 「総合的な学習の時間」。映像制作班、ナレーション班、会場の飾り付け班、音楽班に分かれて作業がスタートした。

思い出の写真を取り込んで…

パソコン室には、映像制作を担当する子どもたちが集まっている。メンバーは自ら立候補した5人。全員がパソコンの操作をするのが好きな子どもたちだ。

映像作品は、卒業生の3年間の思い出を写真と動画でふり返るもので、毎年1年生が担当している。

映像制作班のなかで、写真のまとめを担当する子どもたちが、作業に取りかかっている。『はっぴょう名人Teen's』を開き、入学式、体育祭、合唱コンクールなどのファイルに保存されている写真データを、画面に取り込んでいく。さまざまな行事とともに、すべての3年生を紹介するため、取り込んだ写真は約150枚にものぼった

「先生、この写真に写っているのは○○先輩ですよね?」
修学旅行へ向かう新幹線の車内で笑顔を見せる3年生の名前を、キャプションとして打ち込む。
「写真に重なった文字は、緑にしようよ」
名前が見やすいようにとの配慮も忘れない。

DVカメラもすぐにマスター

もうひとつのグループはデジタルビデオ編集ソフト『MegaVi DV2』を使って、動画作品を制作。3年生からのメッセージをビデオで撮影して、編集する予定だ。今日は、ビデオカメラと『MegaVi DV2』の操作を練習する。

「僕が3年生の役をするから、撮影してみて」
1人の子どもがモデルになり、もうひとりが撮影。すぐにパソコンに映像を取り込みながら、編集作業に入る。
「わあ、簡単に撮れるね」
「テロップを入れてみようよ」
会話のタイミングに合わせてテロップを入れるなど、いろいろな効果に挑戦。さらに、
「次はバックに青空の模様を入れてみよう」
「人の動きに合わせて効果音を入れたら、楽しそうだね」

子どもたちは、夢中で編集作業を進める。ひととおりの操作にも慣れ、ひとつのミニ映像作品をまとめることができたところで、今日の作業は終了。イベント当日は、写真班と動画班の映像が合体した作品が披露される予定だ。

3年間の思い出を振り返って 笑ったり、泣いたりの卒業生

「三年生を送る会」の当日、体育館には全校生徒と保護者、先生たちが集まっていた。
開会の言葉、吹奏楽部の演奏、2年生による劇に続いて、いよいよ1年生が取り組んだ映像作品《大好きな3年生へ 〜心を込めて》が披露された。

「三年生を送る会」当日

スクリーンを設置したステージ前にエプソンのプロジェクター『ELP-820』を置いて、パソコンと接続。パソコンの前にはスライド制作を担当した5人の子どもたちがスタンバイしている。作品は、女の子のナレーションからスタートした。

「3年生のみなさん、もうすぐ卒業ですね。私たち1年生は、3年間の思い出をまとめました。これを見て、思い出が確かなものになればと思います。ご覧ください」

入学式の写真に“○○先輩”というキャプション。1年生のときの思い出が大きなスクリーンに映し出される。
「わー、懐かしい!」と、3年生は大興奮。写真に写っている子どもは立ち上がって、みんなに手を振る。会場は拍手や笑い声で埋め尽くされた。
続いて、入学式のビデオが流されると、 「○○先生だ〜!」とかなりの盛り上がりを見せる。

「体育祭では、実行委員の人がお世話をしてくれました」というナレーションに合わせて、タイミング良く映像が切り替わる。農作業体験、水泳大会、下町遠足…。1枚1枚、写真が変わるたびに、会場に歓声が起こる。

いよいよ本番! 落ち着いて…

「2年生のときにびっくりした思い出を聞いてみたところ、“○○くんがサッカーの試合でオウンゴールしてしまったこと”などがありました」
身近な話題に、3年生の顔に微笑みが浮かぶ。

「体育祭の応援団長から、次の応援団長へのメッセージをいただきました」
ナレーションに続いて、『MegaVi DV2』で編集した動画の映像に切り替わった。応援団長の顔がスクリーンいっぱいに映し出される。
「来年の応援団長の人へ。大変だと思うけど、学校の伝統をしっかり受け継いで、がんばってください」

このあと、合唱コンクールの実行委員長や各部活動の部長、生徒会役員からのメッセージと続く。吹奏楽部の部長を務めた女の子の顔が大きく映し出されると、本人はちょっとはずかしそう。周囲の子どもたちは、 「素敵なコメントだよ」と、声をかける。1〜2年生も、じっとスクリーンを見つめていた。

「3年間をふり返って、どうでしたか。次は1年生の合奏『未来へ』です。未来へ旅立つ先輩方にぴったりだと思い、この曲を選びました」というナレーションをはさんで、演奏がスタート。音楽に合わせて、スクリーンではたくさんの写真が紹介される。

映像と演奏で締めくくる

演奏が終わると、作品を締めくくるナレーションが告げられた。
「私たちは3年生の守ってきた伝統を受け継いでいきます。3年生のみなさんは、自分らしく羽ばたいてください」

会場は大きな拍手に包まれる。3年生は、中学校生活の思い出をひとつひとつかみしめているようで、なかには涙ぐむ子どももいた。