中学・高校の実践事例

学校生活を見つめる子どもたちの目 パソコンの豊富な機能で個性をプラス 
〜写真を使った学校紹介。『ー太郎ジャンプ』でオリジナルの作品づくり〜
神奈川県・横須賀市立池上中学校

横須賀市立池上中学校

校舎に響く、子どもたちの 「こんにちは」という明るい声が印象的な池上中学校。今回は、3年4組の総合的な学習の時間をレポートする。さらに、パソコンの導入や指導内容の統一を図る横須賀市の動きにもスポットをあて、同市教育研究所の小谷孝夫氏にも、お話をうかがった。

学校生活を切り取った写真を加工して個性豊かなオリジナル作品を制作

池上中学校のパソコン室。すでに3年4組の生徒たちは席に着き、ホワイトボードには先生機の画面が映し出されている。今回は、総合的な学習の時間に『一太郎ジャンプ』を使って、学校紹介をテーマにした制作にチャレンジする。授業は栗原裕先生の説明から始まった。

「まず[マイコンピュータ]を開いて、3年4組のフォルダから使いたい写真を選んでください」 先日、班に1台ずつデジカメが貸し出された。子どもたちは、材料になる写真を撮影し、それを先生がクラスごとにフォルダに保存しておいた。

周囲と相談しながら作業を始める

「今日は『一太郎ジャンプ』を使います。[絵をかく]というアイコンをクリックすると、写真を加工することができるんだよ。写真を加工したら[ワープロ]で文字を入れてプリントしよう」

まず、子どもたちは先生が操作するホワイトボードの画面と同時進行で練習してみる。写真を取り込んでフレームをつけたり、スプレーで色を塗ったりと、実際にどんなことができるのかを試す。先生の操作を見ながら、パソコンに向かう子どもたち。
  「スゴイ!」 「おもしろい!」フリーハンドで絵を描いたり、写真を版画調に加工したり、早くも夢中になっている。 「とにかくいろいろやってみてごらん。しばらくしたら[ワープロ]の説明をするからね。写真には文章を添えることを順に入れて、加工してください」ここからは、しばらくフリータイムとなる。

子どもたちが撮影したのは、学校生活の中のワンシーン。部活動の風景、友達の顔、お弁当、教室の様子・・・。日常のできごとに子どもたちの素直な視線が向けられ、なにげない写真から活き活きとした雰囲気が伝わってくる。

 美術部の女の子が部活動の様子を撮影した写真に、スプレーで色をつけている。ピンク、緑、黄色などのさまざまな色を重ねた、美後部らしくアーティスティックな彩色だ。
  教室の片隅の雑巾置き場にスポットを当てた女の子は、雑巾の一枚一枚に、フリーハンドで顔を描いていた。笑った顔、困った顔、すました顔など、まるでいろんな表情の雑巾たちが語りかけてくるよう。なんでもない教室の風景が、キュートな写真になった。

写真に込めた思いを文章につづる 印刷された作品に笑顔が浮かぶ

「それでは、ワープロに写真を取り込むぞ」 栗原先生が声をかけると、子どもたちは再びホワイトボードに注目する。写真をコピーして、『一太郎ジャンプ』のメインメニューに戻り、[ワープロ]を開く。[貼り付け]を選ぶと、画面には先ほど加工した写真が現れた。
   「写真はドラッグして場所を移動することもできる。ドラッグって覚えてるかな? 失敗したら何回でもやり直せばいいし、何枚でも取り込めるよ」と先生。大きな1枚の写真を使ったり、小さくして2〜3枚取り込んだり、また、複数のページを使った作品にチャレンジしている子どももいる。

次は、文章の入力だ。テニス部に入っている男の子は、練習風景の写真に、説明を書いていく。インターハイにも出場しているOBが、練習に来てくれたことを文章にしているところだ。 「大切な先輩です。優しく、強く、分かりやすく教えてくれました。先輩みたいにすごい選手になって、大会で勝ちたいです!」あこがれの先輩に対する思いが伝わってくる。
  隣の男の子は、テスト中の教室の様子を取り上げた。 「最近、テストに苦戦しています。特に苦戦したのは国語です」必死な表情でキーボードに向かう姿が、ほほえましい。

パソコンが得意な子どもは長い文章を書き、あまり得意ではない子どもはキャッチコピーで勝負。また、書体や色、飾り文字などのバリエーションも豊富で、それぞれのセンスを活かして作品を仕上げていく。

何気ない日常の一コマに注目

実は、昨年、情報の時間が設けられなかったこともあり、『一太郎ジャンプ』を使うのは、2年ぶり。にもかかわらず、子どもたちは、すぐにこのソフトを使いこなした。
  写真や文章の内容だけでなく、それらを加工、装飾するさまざまな機能が備わった『一太郎ジャンプ』。子どもたちが自分にあった機能を選択することで、自分らしさを表現する手助けになったようだ。

最後に、できあがった作品をプリントする。池上中学校のパソコン室には、2台に1台の割合でインクジェットのプリンタが設置されているが、今回はエプソンのカラーレーザープリンタ『LP-8300C』を使用した。パソコン室のすべてのパソコンと接続してあり、どのパソコンから印刷しても、スピーディにプリントできるのが特徴だ。さらに、インクジェットと比べて画像が鮮明で、写真に写った子どもたちの豊かな表情も、そのままプリントされる。
  作品は、1枚は提出用、1枚は持ち帰り用に2枚プリントする。自分で制作したものが形になって手元に残るというのは、とても嬉しいことだ。

学校紹介という身近なテーマで取り組んだ、総合的な学習の時間。作品を手に、飾らない笑顔を浮かべる子どもたちが印象的だった。