中学・高校の実践事例
家庭科にパソコンを積極活用 中学生から園児に絵本の贈り物
〜子どもたちの感性が光るオリジナル絵本作り〜
新潟県・新潟市立白新中学校
園児たちに絵本をプレゼント 中学生の作品に保育士さんも感心
11月27日、朝8時45分。3年2組の生徒が自分たちで作った絵本を手に、中学校の生徒玄関に集まった。小雨の降る悪天候の中、ワクワクと待ちこがれる園児たちのいる新潟市立白山保育園に向け出発。
園に到着すると、雨のため室内遊びをしていた園児たちが 「遊戯室」に集合。女子生徒のまわりにはすぐに女の子が集まり、男子生徒には男の子たちが飛びかかってくる。子どもたちのコミュニケーションはいち早く、オリジナル絵本を読んであげる“読み聞かせの輪”があちこちにできてきた。
「中学生が作った絵本は、夢があってカラフルで楽しいですね。今の中学生の頭の中が表現されているようで、勉強になりますよ」と、個性あふれる絵本に感心して見入っている保育士さん。 「いただいた本は保育園の図書貸し出しの棚に大切に保管します」という園長先生の声に、中学生たちもうれしそうだ。
どの絵本も人気があったが、特に、さきほど紹介した動物探しの絵本は、カラフルで目を引くだけでなく、小さい子も、よく知っている動物を探すことに集中できるため、年齢を問わず人気が高かった。
ひと通り、園児たちがお気に入りの絵本を堪能したあたりで、楽しい時間も終了。 「かわいい、また会いたい」と女子生徒が帰り道にひとこと。幼児と一緒に遊び、手作りの絵本を読むことが、中学生にとっても大切な思い出となったようだ。
パソコンを積極的に活用し“生きる力”を教える
家庭科でパソコンを使うというのは意外な感がある。しかし佐藤先生は、パソコンを活用した授業を積極的に取り入れている。
「2年生では被服の中でパソコンを使ってTシャツの絵柄をデザインし、色彩学やファッションコーディネートの実践もしてきました。家庭の経済を考える分野でも、表計算などを使い家計簿をつけることができますし、食物の栄養指導でも栄養管理ソフトが活用できます。今回の絵本作りでパソコンを使うことは、技術科の『情報』とも連携して指導してきました」
学習指導要領が変わり、来年度以降家庭科の時間数が削減されることもパソコンの活用と無関係ではない。
「他の教科と連携することで時間数の削減をカバーできますし、来年度本格的に導入される『総合的な学習の時間』にも家庭科は密接な関わりがあります」
『総合的な学習の時間』では“生きる力”を養うことをねらいとしている。家庭科は、まさに“生きる”ことにつながる“生活”そのものを教える教科だ。 「パソコンをうまく活用し、ほかの教科と連携しながら“生きる力”を教えていきたいですね」と佐藤先生は熱く語ってくれた。
ワールドカップ開催地の新潟市だけに、生徒たちは韓国の中学校との交流も行ってきた。パソコンは、『総合的な学習の時間』で、国際理解を目的に、ワールドカップ開催告知ポスターを作るなど、市内の情報教育推進校としてさまざまな場面で活用している。

