学校 DE デジカメ

第3回 「ズーム活用法」と「三脚撮影」
カメラマン&ライター/西尾琢郎

連載3回目となる『学校 DE デジカメ』。今回は、デジカメの多くが備えている「ズーム」の活用について考えます。前回は構図について「写真を撮ることは、目の前に広がる世界を切り取ること」だと書きましたが、実はこれ、ズームにも言えることなのです。一方、デジカメ活用のコツは三脚について。その意外な効用についても触れていますので、ぜひお役立てください!

ズームの価値は
「倍率」で決まる!?

現在市販されているデジカメは、大半がズームレンズ付きのものです。ズームレンズとは、焦点距離を任意に変化させ、幅広い範囲(広角)から遠くの限られた範囲(望遠)までを自由に撮れるレンズのことで、その操作を「ズームする」「ズーミング」などと言います。
  ズームと言うと一番なじみ深いのは、ビデオカメラでしょう。運動会など子どもを遠くから撮影したいという買い手の要望に応えて、10倍〜100倍ものズーミングが可能な製品もあり、もっぱら「遠くのものを大きく写せる」ことがその価値だと考えられてきました。
  これに対して学校にあるデジカメは、3〜4倍のズームであることが多く、比べてみるとほとんど役に立たないように感じます。しかし本当にそうでしょうか。

カメラのズームと
人力ズーム

ズームを使う場面というと、どんなシーンを想像するでしょう。先ほどビデオカメラを例にあげましたが、ビデオカメラが活躍する運動会のような行事が浮かんでくる人が多いと思います。
  確かに、運動会のように遠くのものを大きく写したいとき、私たちはズームを使います。それが間違っているわけではありませんし、前回取り上げた構図づくりのひとつの方法としても有効です。
  一方、写真を勉強する上で有効と言われるものに、俗に「人力ズーム」と呼ぶ方法があります。カメラやレンズのズーム機能に頼らず、自分の足で被写体との距離を調節して撮影することです。
  カメラのズームと人力ズームでそれぞれ撮影した写真を並べてみました。これらを比べると、2種類のズームがよく似た効果を持っていることが分かります。
  カメラのズーム、または人力ズームのそれぞれ一方だけを使った場合、中心の被写体が大きくなったり小さくなったりします。同時に、大きくなれば画面内の要素(たとえば写せる人数)は少なくなり、小さくなれば要素は多くなりますが、その様子には少し違いがあります。
  ところが、2種類のズームを合わせて使うと、さらに様子が変わってきます。






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広角標準望遠



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遠い中くらい 近い
▲ズームレンズの広角側、または人力ズームの遠く側で撮影した場合、中心被写体は小さく、より広い範囲が写ります。
▲ズームレンズ、人力ズーム共に中間域では、それぞれ広角と望遠、遠くと近くの間をとった表現になっています。
▲ズームレンズの望遠側、人力ズームの近く側では、中心被写体は大きく、写る範囲は狭くなりました。ただし背景の表現には少し違いが出てきています。