小学校の実践事例

メモをもとに、作文を書いていこう「ひらめきライター」を活用した作文指導 
〜学力の基盤としての文章力を育む〜
大分県・日出町立日出小学校

開拓する子どもたち

思い思いに作文を書いていく

授業中目に付いたのは、子どもたちのソフトの使いこなしだ。

型どおりに、いくつものメモを書きためていく子、メモ書きもそこそこに、まとめ画面で作文の形を作っていく子、そして、最初から清書モードの原稿用紙画面で書き進めていく子など、そのスタイルは実にさまざまだった。

このソフトを使っての作文を始めて半年余り、子どもたちはそれぞれ自分に合った使い方を見出しているようで、先生もまたそれを許容している。

子どもたちの感想の中には、
「パソコンでの作文は楽しい」 「今日は長く書けたのでうれしい」 といったものに交じって、 「自分は手書きの方がいい」 という声もあるが、それはそれでいいのだ、と先生は言う。
「要は、こうした体験を通じて、子どもたちが論理的に考えたり、それをまとめたりするトレーニングを積むことが大切。道具や手段については、その上で自分が選べばいいのです」

子どもたちが、食わず嫌いでなく、自分はこうだと主張する。そのこと自体が、これまでの実践が実りあるものだったことの証明だろう。

つたわるねっと@フレンドでアンケート

授業の終わりには、グループウェア『つたわるねっと@フレンド』のアンケート機能を使った、授業の振り返りアンケートを行った。このアンケートは、パソコンを使った授業の都度、到達度評価のツールとして活用されている。子どもたちにとっては、自分が何を学んだかの確認に、教師にとっては指導目標と照らし合わせた指導改善に役立つとのことだ。

また今回は、行事が題材になっていることもあって、地名などの難字を必要とする子どももいたが、ATOKスマイルの手書きモードを使って解決するなど、子どもたちのパソコン活用は大人顔負けのレベルだった。

「私が知らないような機能も、探し出して教えてくれたりするんですよ」
子どもたちの探求心には先生も脱帽だ。

ITで伸びる学力

授業終了後、杉安先生と、日出小の情報教育全般の推進にあたられている笠置隆宜先生にお話を伺った。

笠置隆宜先生

日出小では1998年から情報教育が展開されてきたが、県内の大学や企業からの中古パソコン寄贈などを受けながら、現在では、コンピュータ室をはじめ、IT特活室、IT多目的ホール、図書室など、複数のパソコン利用拠点が校内に設置されている。また、各教室にももれなくパソコンが配置され、授業だけでなく、出欠管理や校内グループウエアによる連絡を行うなど、校務のすみずみに至るまでパソコンが活用されるに至っている。

こうしたインフラ整備は、よく見られるような保護者参加のネットデイによるものではなく、地域の学校間で先生方が協力し合うことによって実現されたという。
「はやりだから、使わなくてはならないからITを使うのではなくて、これが子どもたちにも私たちにも必要だと確信するからこそ、こうして整備や活用を進めているのです」
笠置先生はそう話してくれた。

「総合的な学習の時間にしても、ITにしても、表現力や思考力を育てるものとしてもてはやされましたが、最近では打って変わって学力の向上が強く求められるようになってきました。けれども情報教育やITを活用した学習は、現在の"読み書きそろばん"にあたるもので、これをしっかりやっていくことが基礎学力の向上につながると思っているのです」 と笠置先生。

杉安千津美先生

一方、杉安先生も
「先にお話ししたような、作文指導が学力向上の基礎になるというのは、そういう考え方に即しているんです。実際に、作文体験の積み重ねは論理的思考の習得に役立っています。メモ単位の文章を組み立てるという作業は、必然的にそれらをつなぐ接続詞に目を向けることになりますから、ひとつひとつの要素を相互に関連づけるというトレーニングになるんですね」

日出小では、国語や総合的な学習の時間に限らず、多くの教科で積極的に情報機器を活用している。それもこうした効用の確信に裏打ちされたものだろう。


日出小学校の作文指導の流れ

今回の授業そのものではないが、杉安先生が同じ学級で9時間に渡って行った一連の作文指導の流れをまとめてみた。(カッコ数字は時間数)

1)組み立て表と教科書の文章を比べてみよう

・教科書に載っている文章を教材に、そこから先生があらかじめ抽出した組み立て表と、文章そのものを読み比べ、分かりやすい構成とはどんなものか考える。(2h)

2)主題を決めて、組み立て表を書こう

・自分の体験や考えが、詳しく効果的に相手に伝わるようにするにはどうすればよいかを考え、組み立て表を書く。(1h)

3)組み立て表をもとに、作文を書こう

・自分で作った組み立て表や、「ひらめきライター」のヒントをもとに、メモを書く。(1h)
・メモを書き加えたり、文の構成を工夫したりすることにより、伝えたいことがよく分かるように作文を書き上げる。(2h)

4)推敲して清書しよう

・書いた作文をグループやペアで読み合い、さらに工夫できるところをなどを話し合う。(1h)
・話し合いをもとに、作文の推敲をする。(1h)
・推敲した作文を清書する。(1h)

 

作文指導で使用されたヒントファイルと作文の例

この授業で使用された「ひらめきライター」のヒントファイルと、子どもたちが書いた作文の例をダウンロードできます。5年生用のヒントを、5年2組担任・杉安千津美先生が作成しました。

作文の例

(C)日出町立日出小学校

※ボタンをクリックして、対象となるファイルを保存してください。ヒントファイルは、解凍すると3つのtxtファイルになりますので、同じ場所に保存してください。
ダウンロード ヒントファイル/hint.lzh(36KB)
ダウンロード 子どもによる作文の例/kibasen.jtd(25KB)

 

 

◆日出町立日出小学校

「城下カレイ」の「城」として知られる暘谷城跡に建つ、歴史と自然に恵まれた環境にある小学校だ。教育目標は「たくましく、豊かに生きる」。荒金孝校長。児童数361名。

取材/西尾琢郎 撮影/齊藤浩
※本文中の情報は、すべて取材時のものです。