新学習指導要領 〜教育新動向〜
全員が積極的に参加することで職員相互の学び合いを生む
〜ジャストスマイル3で教材づくり 〜和歌山大学教育学部附属小学校
ジャストスマイル3@フレンドを導入したばかりの和歌山大学教育学部附属小学校。授業でも積極的に活用していこうと、まずは教材づくりに取り組むことになった。単独、もしくは学年単位ではなく、教職員全員参加型の校内研修による教材づくり。そこからどんな発想が生み出され、形作られていくのだろうか。
研修目的や時間配分を
明確に伝える

コンピューター室に集まり、研修の説明を聞く先生方。残念ながら、4年生を受け持つ先生方は都合により不参加となったものの、先生方の意識は高く、教材の素案を頭に描いて参加した先生がほとんどだった。
「今日はジャストスマイルを活用して教材づくりを行います。学年ごとのグループに分かれて作業してください」
研修の司会進行は6年生担任で情報主任の中井章博先生。サポートに同じく6年生担任の山中昭岳先生があたる。中井先生の背後のマルチメディアボードに、「残り時間60分」と表示される。
「どの教科の教材なのか、必要時間数や活動の流れなども含めて、別途模造紙に記入していただきます。模造紙は各学年ごとに1枚ずつ用意しました」
模造紙には、「タイトル」「教科」「ねらい」「活動の流れ」といった項目が立ててある。
「教材づくりの作業時間は60分。その後、1グループにつき5分ずつで発表をしていただきます。発表を見た感想は、それぞれ付せん紙に記入して、各グループの模造紙に貼りつけてください」
中井先生の手には青と緑の付せん紙。
「青色の付せん紙には良い点を、緑色の付せん紙には改善すべき点や疑問点を書き入れてください。それぞれの作業は時間厳守でお願いします」
今日の研修の目的と流れの説明を受けて、研修に参加する先生方の課題意識も明確になった。いよいよ教材づくりスタートだ。
限られた時間で
知恵を出し合い結集する

付せん紙の説明をする中井先生。付せん紙は、短時間での相互評価に威力を発揮するアイテムだ。さらに、色分けすることで意見が混ざり合うことを防ぐ。
先生方は各学年ごとのグループに分かれ、まず、教材の方向性を定める。続いてパソコンに向き合ったグループが4つ。模造紙に向き合ったグループが1つ。パソコンに向かったグループは、実際にどんどん教材を作り始める。一方、模造紙に向かったグループは、先に外堀から埋める作戦だ。
山中先生はパソコンの操作を中心にサポート。具体的な目的に応じて、必要な機能を助言する。また、それぞれの先生方が、グループにとらわれず、学年を超えてアドバイスし合うシーンも度々見られた。
「印刷が必要な教材は、プリンターで自由にプリントアウトしてください」
それぞれのグループを見て回り、そう伝える中井先生。どうやらプリンターを使う教材も多そうだ。
残り20分、パソコンでの作業を終えて印刷に取り掛かったのは1年生担任のグループ。ポスター印刷の機能を使い、A4用紙を4枚組み合わせて出力した。
「やっぱり大きく印刷すると、子どもたちも喜びますよね。その喜びが学習意欲につながる」と、印刷した1年生担任グループの先生。

サポートをする山中先生。「こんな風に作りたい」と目的がハッキリしているので、アドバイスも的確だ。
続いて5年生担任のグループが印刷開始。今度は冊子印刷だ。
「冊子にすることで、バラバラにならず、きちんと順番を追って見ることができますし、保存性も高まります。作品としての魅力もぐっと向上しますね」とのこと。
60分間をフルに活用して教材を作る先生方。残り10分でようやく模造紙に記入を始めるグループも多く、本当に時間内に終わるのかとハラハラさせられたが、そんな心配は杞憂に終わった。
発表の中で
洗練されていく教材

5年生担任グループの冊子印刷。「こんな簡単に冊子が作れるんですね。知りませんでした。これならいろいろと用途が広がりそうです」
発表は1年生担任のグループから、と中井先生より指示。プリントアウトしたポスターと、書き込んだ模造紙を黒板に貼って発表開始だ。教科は学活、もしくはせいかつ。タイトルは「かかりのぽすたあをつくろう!!」。
「係のポスターを作らせる授業です。数種類のテンプレートをあらかじめ用意しておき、そこに写真を貼ったり、ひらがなのスタンプで名前を入れたり、イラストのスタンプで飾り付けをしたりする、というものです。必要時間は3時間としましたが……1年生でできるかなぁ」
と、ちょっと不安そうな発表。見ている先生方からアドバイスが飛ぶ。
「1年生で写真を貼るのは難しいんじゃないかしら」
「あらかじめテンプレートに写真を貼っておいたらどうかな」
「スタンプだけならできると思う」
発表する側も納得の表情。教材案がどんどん改善されていく。
続いては3年生担任。教科は国語。ホワイトボードには模造紙と、子どもがゴミを拾っているイラストが印刷された紙、そして「わたしは」「ひろう。」という主語と述語だけ印刷された紙が貼られている。タイトルは「くわしくする言葉」。

1年生担任グループの発表。発表の中で教材がさらに洗練されていく。
「これは、修飾語を補うことで文章が詳しくなることを知るという授業です。グループごとに、イラストを見ながら1人ずつ語句を補って、グループで1つの文章を完成させます。例えば『わたしは』『ビニールを持って』『草むらで』『紙くずや』『空き缶を』『ひろう』など、リレー形式で言葉を補っていきます」
教材としては非常にシンプルだが、いくらでも応用の利きそうな素材だ。まさに先生ならではの視点を持った教材と言えるだろう。