小学校の実践事例

学習の目的を自ら考えることで作品に対する責任感を育てる
『はっぴょう名人』で制作したポスターで、運動会を盛り上げる〜
鹿児島大学教育学部附属小学校

鹿児島大学教育学部附属小学校

9月22日は、鹿児島大学教育学部附属小学校の運動会。
5年に組は、校内の掲示板に貼り出すためのポスター作りに取り組んだ。ポスターを制作する目的はなにか。目的を達成するためにはどんな工夫が必要なのか。子どもたち自らが考えるところから、授業はスタートした。

ポスター作りの目的を明確に みんなで考えることから授業スタート

運動会を10日後に控えた、ある秋の日。
鹿児島大学教育学部附属小学校の子どもたちは当日に向けた準備に大忙しだ。校庭では練習に励む元気な声が飛び交い、音楽室からは入場行進の演奏が聞こえてくる。

ポスター作りの目的を考える

校庭での練習を終え、汗をふきながらコンピュータ室に入って来たのは、5年に組の子どもたち。今回は、「総合的な学習の時間」を使って運動会のポスターを作成する。

まずは、授業を担当する橋元泰幸先生が、「ポスターってなんだろう?」と、子どもたちに問いかける。
「宣伝するもの」「お知らせするもの」「アピールするもの」など、次々に意見が出される。
「宣伝するためだったら、口で言えばいいんじゃない?」と、橋元先生。
「ポスターにすれば、たくさんの人に見てもらえる」「楽しい気分になって、行きたくなる」
子どもたちはポスターを作る目的を考える。

ポスターはどんな工夫をすればよいのかな?

さらに、「そのためには、どんなポスターを作ればいいかな?」と質問をすると
「分かりやすくて、見る人が行きたくなるような、楽しいポスター!」 
「そうだね。これで“今日のめあて”が分かった。それじゃあ、そのために工夫することは?」
「絵や文字の大きさ、組み合わせ、バランス」「たくさん書くと入らなくなるから、文字の量」「見出しは大きくした方が見やすい」「太さや書体、色で強弱を付ける」

ポイントとなるキーワードが出てくると、「いい言葉だね」と、ホワイトボードに書き留めていく。

ポスターを作る目的やどんなことに注意して作成すればいいのかを、子どもたちに考えさせてキーワードを引き出していく過程は、まさにメディアリテラシー教育といえる。橋元先生は、「常に考えさせることが重要。単にパソコンを使って授業をするのではなく、教育的価値を見出していかなければならない」と強調する。

情報を楽しく正確に伝えることが大事 オリジナルポスターで運動会を盛り上げよう

子どもたちは2人1組でパソコンに向かい、『ジャストスマイル』『はっぴょう名人』を使って、ポスター作りに取りかかった。『はっぴょう名人』は、飾り文字やイラストのテンプレートが豊富で、レイアウト操作も簡単。後日、パソコンを使って作品発表会を開くときにも便利だ。

鹿児島大学教育学部附属小学校では、1年生の「コンピュータとともだちになろう」から6年生の「ホームページの作成」まで、学年ごとに情報教育に関する目標が掲げられている。5年に組の子どもたちも、1年生の頃からパソコンに触れているだけに、操作は手慣れたもの。自分たちでどんどん作業を進めていく。

「色を使いすぎちゃったかな…?」

運動会が開催される日時や場所のほか、“附属魂炸裂!”や“ペットボトルや空き缶などのゴミは、お持ち帰り願います”といったメッセージを添えている子どももいる。

運動会のスローガンである“手と手を取り合いゴールを目指してかけぬけよう”という文字を大きくデザインした女の子は、
「みんながポスターを見て覚えてくれるかなと思って、スローガンを大きくしました」と、ポスターを印象的に仕上げようと工夫したのだという。

また、楽しいポスターにするために、子どもたちはイラストを多用する。『はっぴょう名人』にはさまざまなイラストのテンプレートが備わっているが、なかでも[学校生活]のイラスト集には、万国旗やトロフィー、ゴールをきる子どもなど、運動会にぴったりのイラストがある。さらに、イラストのユニフォームを青く塗っている男の子は、「僕たち青組だから、青組が勝てるように塗っているんだ!」子どもなりの細かいこだわりが、微笑ましい。

ここで橋元先生が、注目を促した。「ポスターって、楽しくて行きたくなるようなものだったらいいのかな? もっと大切なことがあるよね」

「始まる時間を入れる」「場所を入れる」と声があがる。
「時間や場所を入れるときに、気をつけないといけないことがあるよね…正確に書くことが大切じゃないかな」「あ、そうか!」

途中にこうした時間を設けることで、パソコンの画面から目を離して、気分転換をする機会にもなる。子どもたちは再びパソコンに集中し、作業を続けた。