中学・高校の実践事例

パソコン実践で国語の授業理解を深め 子どもたちの創造性を引き出す 
〜『一太郎ジャンプ』でオリジナル新聞作りに挑戦した国語の時間〜
東京都・お茶の水女子大学附属中学校

オリジナリティあふれる作品を 大判プリンタで仕上げる

翌週、再び1年竹組の授業を訪れた。
前回の授業の後に1時間設けて作業を進めたとのこと。その際、宗我部先生は、子どもたちが見出しや本文の枠作りに時間がかかっていたのが気になっていた。
  そこで、ひな形のバリエーションを増やし、見出しと本文用にそれぞれ縦書き・横書きの枠を用意して、そこから選んで文字を入力するようにした。ちょっとした手助けで、作業効率が大幅に上がったという。

プリントアウト完了!

留学生に関してのトップニュースを書き終えた子どもたちは、残りのスペースをバラエティ豊かな記事で埋めていく。
  ハリー・ポッターの話題や、女の子に人気の占いなど、エンターテインメント的なコーナーもあれば、〈携帯電話より料金が安いのに、なぜ公衆電話が消えつつあるのか〉、〈地球温暖化について〉といった社会的なテーマも見られる。

記事の入力が終わった子どもは、写真を取り込む。
「犬の写真を丸く切り抜きたい」 女の子が先生を呼んだ。
写真の取り込み方法はすでにマスターしているが、さらに工夫したいのだという。
「そんなときはスペシャルな技があるよ」 宗我部先生は、好きな部分だけを切り抜いて紙面に取り込む方法を教える。
『一太郎ジャンプ』なら写真の編集も簡単だ。女の子は紙面を飾るかわいいペットの写真を、満足そうに眺めていた。

「新聞が完成した人から印刷してください。5W1Hがそろっているか、文字の間違いはないか、よく確認してね」
先生が指示すると、1番乗りの女の子がはりきって手をあげた。新聞はエプソンの大判プリンタ、『PX-9000』を使ってA1サイズで印刷する。大きなプリンタに、膨らむ期待。

大判プリンタで印刷すると大迫力!

やがて、作品がプリントアウトされると、子どもたちが集まってきた。
「かっこいい!」 「写真もきれい」 「教室に貼ろうよ」 と興奮気味だ。
作品を制作した女の子は、
「はじめてパソコンで新聞作りを体験しました。レイアウトは難しかったけど、楽しかったです」
と達成感に満ちた表情を浮かべた。

授業の終わりを告げるチャイムが鳴ると、印刷まで到達できなかった子どもたちが先生のところへやって来て、 「印刷したい! 放課後にプリンタを使っていいですか」 と約束を交わし、次の授業へと向かった。

自由な発想でゴールを目指す 生徒主体の情報教育を

お茶の水女子大学附属中学校では、情報教育において“創造”をキーワードに授業を進めている。 子どもたちの発想を豊かにするために、コンピュータやネットワークを活用しようという取り組みだ。
   「どんな授業に関しても共通することですが、手順を細かく示すのではなく、ゴールを見せてあげたうえで、どういうルートで目指すかを子どもたちに考えさせることが大切。パソコンで作った作品はゴールを提示するのに便利だと思います」
という宗我部先生。

今回、新聞を制作するにあたっては、先生自らが〈雅辺新聞〉を作成した。ひな形としての役割もあるが、最初に見本を見せることで、子どもたちにそれぞれの完成形をイメージさせるという目的が大きい。

先生が回りながらアドバイス

子どもたちはイメージした新聞に近づけようとそれぞれに工夫を凝らし、授業中には 「こんなことがやりたい」 「あんなことはできないの」といった要望も多かった。中には、 「グラフを入れたい」と意欲的な子どももいたが、 「せっかくだけど、今日は時間がないからあきらめて〜」と、子ども以上に宗我部先生が残念そうな表情を浮かべる、という場面もあった。

また、 「パソコンが、教科としての力を高めるのに本当に役立っているかを、常に意識する必要があると思います。私が担当している国語科では、新聞や読書感想文など作品として仕上げる場合にパソコンを使います。手書きと違う仕上がりだからこそ生まれる満足感は、学習意欲を高めます」 とパソコンの有用性を評価する。

さらに、パソコンでは、アウトラインを作成して文章を書いていくことが容易なうえ、何度も推敲できるので、文章作成のスキルアップにもつながるという。
「『伝え合う』という言葉がキーワードになっている現代において、伝えたいことをどんな言葉で表現すれば、きちんと伝えることができるのか、という国語の力を身につけて欲しいですね」
と期待する。

現在、3年生は学校案内のパンフレットを制作中だ。ほかの学校のパンフレットを参考にしながら、どうすれば楽しくて魅力的な学校案内になるかを研究。そのパンフレットに登場する、子どもの目線で捉えた学校生活の描写は、実に活き活きとしていて、先生も感心したという。

1人ずつのオリジナル新聞、できた!

コンピュータを使うという情報教育から、子どもたちの自由な発想を広げていくための情報教育へ。教育の現場は、確実に大きな転機を迎えている。

◆お茶の水女子大学附属中学校

明治8年に創設された東京女子師範、現お茶の水女子大学の附属中学校として、昭和22年に開校。平成2年、文部省(当時)によりコンピュータ利用の研究校に指定。平成7年に校内LAN整備やインターネット接続を完了し、平成10年〜12年には 「学校ネットワーク活用研究指定」を受ける。生徒数403名。

取材・文/マロニー 撮影/片桐圭
※本文中の情報は、すべて取材時のものです。