中学・高校の実践事例

生徒・学校・家庭が一体となった  創造性のある情報教育を目指して 
〜“家族”をテーマに、ポスター作りに取り組んだ「インターネット研修」〜
愛知県・名古屋市立若宮商業高校

大判で出力し、プレゼンテーションで総仕上げ

ポスター作りは、B0サイズまでプリント可能な、エプソンの大判プリンタ『マックスアート PM-9000C』を使用。
   「特別に大きなサイズにしました。作品が、生徒に特別感を持たせるくらいの大きさが必要だったんです。単純に大きいだけでなく、より十分な満足感を得られると思います」
  影戸先生は、大判プリンタを使用する意図を、こう語る。サイズが大きい分、レイアウトなどの作業は難しくなるが、作品作りに対する意欲が、それをクリアする。結果的には、より高いスキルを身につけることになったのだ 。

写真にメッセージを添えたポスター


  確かに、通常のA4サイズに比べると、できあがった作品に特別な存在感が生まれる。それは、 「我が家では、父親が、家の中で一番目につくところにポスターを貼りました」という家族の受けとめ方にも現れている。

また、総仕上げとしてプレゼンテーションを行った。 「授業では、生徒が発言する機会が少ない。情報教育においても同じで、調べたものをまとめて、その感想を文章にして終わりというケースが多いんです。もし“発表”があっても、文章を読みあげるだけとか…。もっと、自分の考えを自由に発表する場を設けるべき。プレゼンテーションを学ぶことは、教育の活性化、改革にもつながっていくと思います」と、影戸先生は、人前で自分の意見を発表する重要性を強調する。

そこで仕上げは、ポスターを前に、伝えたいことをその場で言葉にする方法を採用。生徒たちは、自分たちの作品を前に、それぞれの思いを、授業や家庭で発表した。
   「一生懸命やったからこそ、きちんとまとめられるし、伝えたいことが明確になる。なかには言いたいことがたくさんありすぎて、まとまらなかった生徒もいましたが、下手でもいいんです。ダメなところもさらけ出さないと上達しない」と影戸先生。

なにげない言葉に、思いがけず大きな反響があったり、伝えたいことをうまく言葉にできなかったり。プレゼンテーションの面白さや難しさを体験し、生徒たちは学んでいく。

教える側もアイデア勝負! 楽しいテーマ選びを

 影戸先生が考える情報教育とは? という質問に、 「はっきりと目標を持って、価値のある学習にしなければなりません。そこには、もちろん壁もある。それを乗り越えさせ、ひとつの作品という形にまで導いてあげることが大切です。そして、さらにプレゼンテーションすることで振り返り、まとめをさせてとどめをさす! 最後は、これらをクリアしたことを評価してあげることも重要です。評価することで、自信が生まれます。テストではいい点数を取れずに劣等感を持っている生徒が、イキイキとした表情になるんです」と、先生は熱く語ってくれた。

影戸先生の『家族』

今回は、“家族”という身近なテーマを掲げ、最後まで意欲的に取り組み、スキャナやパソコンの操作に自信を持たせ、プレゼンテーションにチャレンジするまで到達している。

情報教育といっても、特に商業の授業は、ワープロ技術を磨くことに重点を置く傾向がある、と指摘する影戸先生。
  「デジタル、コンピュータ、インターネットというものは、ひとりひとりが使いこなして、豊かになっていくためのツールだから、ハウトゥを教えるだけでは足りないと思います」

だから、教材は、いつも身近なものを用いる。文字を入力させる場合は、『サラダ記念日』のホームページから好きな短歌を選び、なぜ心を打たれたかを自由にコメントさせる。

影戸先生は、情報教育の中で 「コンピュータは、効率を追い求めるためにだけあるのではない。自分の生活を創造的に展開するためのツールだ」ということを、生徒たちに伝えたいと願っている。
「教える側もアイデア勝負ですよね(笑)」。

影戸 誠先生

1999年第48回読売教育賞最優秀賞受賞、1998年松下視聴覚教育研究財団森戸賞受賞。著作は『翼をもったインターネット』(日本文教出版)をはじめ、教育エッセイ『ほんもののかず』など多数。2002年4月1日より、日本福祉大学助教授に就任。
先生のホームページ:  http://www.kageto.jp/

◆名古屋市立若宮商業高校

1963年(昭和38年)開校。商業科・情報処理科・会計科の3つのコースを設置。工業地帯の一画、天白川がそばを流れる静かなロケーションに建つ。情報処理室、パソコン室、ワープロ室と施設も充実。生徒数809名。

取材・文/マロニー 撮影/渡部秀一
※本文中の情報は、すべて取材時のものです。