中学・高校の実践事例

修学旅行の思い出を新聞に! 自分の文書を作る力をつける指導 
〜ひな形を一度使った経験が生きた、生徒オリジナルの“沖縄新聞”〜
神奈川県・県立大師高校

パソコンには人間性が出る。個性を発信する力を

 『文書処理』の授業では、ワープロ検定に向けた課題の練習が中心となる。自由に制作、とはいかないこの授業は、どうしても面白みに欠ける部分がある。そこで小笹先生は、学期の途中にDTPやホームページ作りの授業を行うことにしている。 「いろんな文書を作ることで、個性が出る。でき上がった作品の“うまい・へた”は問いません。生徒に求めているのはコンテンツ(=内容)ですから」

先生にチェックしてもらおう

 

また、パソコンには人間性が現れるという小笹先生。 「心の豊かな人が作れば本当に素晴らしい作品になります。パソコンのスキルよりも自分らしい文章が書けるかどうか、が大切なことなんです。見る人に、いかに感動を与えられるか。パソコンはそういう作品を作るときの単なる道具でしかない」。

情報教育は、得てしてパソコンの使い方に終始しがちだが、小笹先生の言葉には指導するうえでの発想の転換が必要だと感じさせられる。

 生徒たちは、普段ワープロソフトを使っているので、線を引いたり、色を塗るなどは問題なくできる。ただ、新聞作りのように、自ら内容を考え、レイアウトを工夫することが要求される課題はイメージがつかみにくい。そこで今回の授業のような、段階的な指導方法が有効になってくるわけだ。

  「ひな形を見て、一度それに文字や写真を入れているので、自分で新聞が作れるんです。漠然としたイメージを新聞に反映させる手がかりとして、ひな形を使う。『一太郎ジャンプ』は、ビジュアル的にきれいで、学校で使えるイラストなど部品も多く使いやすい。自分でイラストを描いて貼り付けることもできます。新聞やポスターなど、何か目的を持って作るとき、高校生にとってもすごく便利です」と、小笹先生は語ってくれた。

 大師高校には『文書処理』の科目のほか、Visual Basic を用いた『コンピュータ実習』や、コンピュータグラフィックやプレゼンテーション作品を作る『マルチメディア』、LANやインターネットなどの仕組みを学ぶ『コンピュータネットワーク』などの選択科目がある。さらに、全校生徒は自由にインターネットを閲覧でき、校内の掲示板などへの書き込みも盛んだ。最近は、携帯電話を持つ生徒も多いため、携帯用の掲示板もできた。国語や数学、家庭科などでもパソコンを使った授業がある。

 驚いたのは教科の連絡やプリント類などもネットワークで配布されること。つまり、パソコンを使わなければ授業に必要な情報を得られない。情報教育の先端をいく環境だ。 「インターネットには、もちろんフィルタリングはかけていますが、基本的には自由です。メールアドレスも1人に校内用と校外用の2つを与えています。パソコンを覚えるためには使うのが一番です。本校の生徒には、パソコンは身近な存在です」。

 『コンピュータネットワーク』を選択している生徒は“ご近所マップ”を作って高校のホームページにアップしている。自分たちで近所を取材し、それをまとめて作ったものだ。このほか、高校の近くにある小学校の児童を招いて、ホームページ作りの指導も行うなど、活発な活動が行われている。 「高校に入り、初めてパソコンを触る子もいます。基礎を教え、卒業までに社会に出て恥ずかしくない、社会に通用するスキルを身につけてほしい。自分を表現するための1つの手段として、パソコンが使えることもあるのですから」という、小笹先生の言葉が印象的だった。

◆神奈川県立大師高等学校

大師高校は県内初の総合学科の高校であり、国語や英語・数学などの必修科目を基礎にして、原則履修科目・総合選択科目などを必要な単位数、生徒が選ぶ。情報教育では先進的な取り組みが行われており、生徒が自由にパソコンやインターネットを使える環境だ。教科の連絡やプリントなども、校内LANを使ってデータで配布されている。

取材・文/松岡澄江 撮影/渡部秀一
※本文中の情報は、すべて取材時のものです。