スクリーニングとは?
業界ごとの定義や調査における事例や手法


膨大な情報や多様な顧客ニーズの中で、効率的に「必要な対象」を見つけ出す手法としてスクリーニングが挙げられます。もともと「ふるい分け」や「選別」を意味し、医療・採用・マーケティングなどさまざまな分野で活用されています。

特にマーケティングでは、膨大な顧客データから関心度の高い見込み層を抽出し、限られたリソースを効果的に活用するために不可欠なプロセスです。また、市場調査においても、調査対象者を事前に条件で絞り込む「スクリーニング調査」が活用されており、調査の精度やコスト効率を高めるのに役立ちます。

本記事では、スクリーニングの基礎から実務での活用方法、効果を高める手法や注意点、そして具体的なビジネス事例までを幅広く紹介します。

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スクリーニングとは

スクリーニングとは、「ふるい分け」や「絞り込み」を意味し、対象となる人やデータを特定の条件に基づいて選別するプロセスです。もともとは英語の「screening」に由来し、不要なものを除き、目的にかなう対象を効率よく抽出する手法として広く使われています。

スクリーニングは分野によって使われ方が異なります。医療分野では、特定の病気にかかるリスクが高い人を早期に見つけ出すために使われることが多いようです。また、採用の場面では、企業が応募者の中から条件に合致する人材を選ぶためにスクリーニングが実施されます。学歴や職歴、適性検査の結果などをもとにふるい分ける工程です。

一方、マーケティングにおいては、膨大な顧客データやアンケート結果などから、購買意欲やニーズの高い見込み顧客を抽出する目的で用いられます。これにより、効率的なターゲティングが可能になり、無駄のない施策展開が期待できるでしょう。つまりスクリーニングとは、情報の整理と意思決定を支える重要な手法といえます。

スクリーニングとフィルタリングの違い

スクリーニングとフィルタリングは、どちらも「選別」を意味する用語ですが、その目的や視点が異なります。

スクリーニングは「必要なものを見つけ出す」ことを目的としています。たとえば、医療では病気のリスクが高い人を抽出し、採用では条件に合った応募者を絞り込みます。マーケティングでは、顧客データから見込みの高い層を選別する際に活用されることもあるでしょう。このように、求める対象に焦点を当てて積極的に選び出す点が特徴です。

一方で、フィルタリングは「不要なものを除外する」手法です。迷惑メールや不適切な投稿を排除するための仕組みがその代表例であり、役に立たない情報を通さないことを重視します。両者は似て見えるものの、スクリーニングは選び出す行為、フィルタリングは排除する行為という違いがあります。

ビジネスやマーケティングにおけるスクリーニングの重要性

ビジネスやマーケティングにおいて、スクリーニングは限られたリソースを効率的に活用するうえで欠かせないプロセスです。

またスクリーニングは、営業活動や広告施策、調査設計など、さまざまなマーケティングの局面で成果を左右する重要な工程です。成約率の向上やコスト削減にも直結するため、企業にとっては戦略の初期段階から意識すべき手法といえるでしょう。本章では、スクリーニングの基本的な考え方や、具体的な活用方法について解説していきます。

①スクリーニングの定義と目的

スクリーニングとは、顧客情報や各種データの中から、あらかじめ定めた条件に合致する対象だけを選び出すプロセスのことです。マーケティングや市場調査の分野では、不要なデータや対象者を除外し、必要な情報に効率よくアプローチする手段として活用されます。

特に調査の場面では、「本調査の前に行うスクリーニング調査(事前調査)」として位置づけられます。これは、調査対象者を適切に絞り込むことにより、本調査の精度を高めると同時に、全体の調査コストや時間を抑えることが目的です。

②営業やマーケティングに不可欠な理由

現代の市場は情報があふれ、顧客のニーズも多様化しています。このような環境下で営業やマーケティングの効果を最大化するには、限られたリソースを本当に価値のある相手に集中させる必要があります。そこで重要となるのが、スクリーニングのプロセスです。

スクリーニングは、顧客データや市場情報から、自社製品やサービスに関心が高い顧客(層)や見込み客を選び出す手法です。これにより、見込みの低い層へのアプローチを避け、営業や広告の無駄を省けます。結果として、成約率の向上やコスト削減、時間の有効活用につながります。

情報過多の時代において、誰に・何を・どのように届けるかを明確にするスクリーニングは、営業やマーケティング戦略の精度を高めるうえで不可欠な要素といえるでしょう。

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スクリーニングの手法とアプローチ

効果的なスクリーニングを実施するためには、目的やターゲットに応じた適切な手法とアプローチを理解することが重要になります。この章では、ビジネスやマーケティングで活用される代表的な以下の3つのスクリーニング手法について解説していきます。

手法 概要 主な活用先
条件設定型スクリーニング 属性(年齢、性別、地域、購買経験など)に基づき対象者を絞り込む 市場調査などで頻繫に使用される。
行動データベース型スクリーニング 閲覧履歴、購入履歴、クリック履歴など行動データに基づく絞り込み プロダクト開発やWebサイトの改善などに使用される。
スコアリング型スクリーニングとAI活用によるスクリーニング 行動や属性にスコア(点数)を付与し、一定基準以上の対象者を抽出する。
AIや機械学習モデルで購買・離脱などの行動を予測し対象者を抽出
リードナーチャリングにおいてMAツールやCRMなどで使用される。

①条件設定によるスクリーニング

属性情報や条件をもとに対象を選別する方法で、市場調査やアンケート調査の事前段階で多く活用されています。年齢・性別・地域・職業・家族構成など、調査目的に応じてあらかじめ条件を設定し、それに該当する人だけを対象にします。効率的に本調査を実施するために欠かせない手法で、回答の質を担保しながら、コストや時間の削減にもつながる点が特長です。

②行動データベースによるスクリーニング

Webサイトやアプリ、ECサイトなどで蓄積されたユーザーの行動データを活用して、関心やニーズに応じた対象者を抽出する方法です。たとえば、過去の購入履歴や閲覧ページ、クリック率や滞在時間などをもとに分析を行い、特定の傾向があるユーザーを選び出します。プロダクト開発やUI/UX改善、キャンペーン対象の絞り込みなどに広く使われており、行動ベースでの高精度な判断が可能になります。

③スコアリングとAI活用によるスクリーニング

顧客の行動や属性情報に対してスコアを付け、見込み度や関心度を数値化するスクリーニング手法です。マーケティングオートメーション(MA)ツールやCRMを活用することで、行動履歴・開封率・訪問頻度などからスコアリングを行います。さらにAIを活用すれば、複雑なパターン認識や将来的な購買確度の予測が可能となり、営業効率の向上やリードナーチャリングの最適化に大きく貢献します。

ビジネスにおけるスクリーニングの活用事例

多くの企業がスクリーニングを取り入れ、適切なターゲティングやカスタマージャーニーの最適化を実現しています。本章では、実際にFastaskを活用し、Webアンケートやデジタルマーケティング領域での活用例を紹介します。これからFastaskを活用してみようと思われる方はぜひご一読ください。

①製薬メーカー:新製品ついてコンセプトとユーザーニーズがマッチしているか確認できた例

調査対象者条件は、女性(20〜49歳/子供有)、自社製品・過去自社製品・競合製品の各ユーザーです。スクリーニング調査サンプル数は8,000サンプルを用意。次年度の注力開発商品を決める社内プレゼンに本調査が必要となり、スクリーニングを実行しました。その結果、スクリーニングにより複数のターゲットを抽出することが可能になり、各ターゲットが重視するポイントを整理できました。

②広告/出版:クライアントのKPI達成のために効果的な施策を模索するために調査を実施した例

調査対象者条件は、ガソリンスタンドのポイントプログラム加入者(5社分5グループ)です。スクリーニング調査サンプル数は20,000サンプルを用意。ガソリンスタンドのポイントプログラム加入者というピンポイントの条件でターゲットユーザーを抽出し、ペルソナ情報の可視化を実現しました。

③広報部:男性向け体臭ケア商品の認知向上の記事リリースに対する説得材料として活用した例

調査対象者条件は、オフィスワーカーで、職場に男性がいる女性です。体臭への意識が低い男性に向けて、自身の体臭について省みてもらう記事を作成するために実施しました。スクリーニング調査サンプル数は10,000サンプルを用意。職場に男性がいる女性を抽出し、調査を実施することで、男性の体臭ケアの重要性を示す根拠資料の作成ができました。

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実践ガイド — 効果的なスクリーニングの進め方

スクリーニングを成功させるには、明確な目的設定と適切な設計にかかっているといっても過言ではありません。本章では、実務に役立つ設計手順と注意点を紹介します。

①調査の目的と対象者を明確にする

スクリーニング調査を正しく実施するためには、まず「何のために」「誰に対して」調査を行うのかを明確にすることが重要です。目的が曖昧なままでは、的外れな対象に調査をしてしまい、有効なデータが得られません。

たとえば、世代ごとの消費行動の違いを把握したい場合、対象とする年代を広く設定し、10代から60代までといったかたちで、幅広く年代をカバーする必要があります。一方で、20代の若年層における外食習慣を詳しく知りたいという目的であれば、「20代のうち週1回以上外食する人」などに絞ることで、より精度の高いデータが得られるでしょう。

調査対象を明確に設定することは、サンプル数や質問設計にも影響します。「誰に、何を聞くか」がはっきりしていれば、調査の質が高まり、分析の信頼性も向上します。また、対象者が明確であるほど、無駄なリクルーティングや調査コストの削減にもつながるでしょう。

このように、調査目的と対象者の設定は、スクリーニングの成否を左右する基礎であり、最初に丁寧に行うべき重要なステップです。

②調査対象を絞り込みやすくするために設問を工夫する

スクリーニング調査で調査対象を正確に絞り込むには、設問設計の工夫が欠かせません。なかでも有効なのが「バイアスを回避する」「尺度を聞く」「選択肢を補足する」という3つの手法です。

たとえばバイアスの回避では、質問の意図を悟られにくくすることが重要です。「週に何回外食しますか?」よりも、「週の夕食について、自宅で取る回数と外食する回数をそれぞれお答えください」のような聞き方が効果的です。

尺度を使う場合、「映画館に行く頻度を1〜5段階で評価してください」のように答え方に幅を持たせることで、関心の度合いや習慣の傾向を把握できます。

また、選択肢を補足する場合、「レストラン(例:ファミレス、カフェなど)」のような具体例を添えると、回答者が迷いにくくなり、データの信頼性も向上します。

③必要なサンプル数を算出する

スクリーニング調査では、本調査に必要な対象者を確保するために、事前に十分なサンプル数を用意する必要があります。また、本調査に進む対象者を確保するために、回答率と出現率を踏まえた事前設計が不可欠です。

回答率とは、調査依頼を受けた人数のうち実際に回答する人の割合です。たとえば、2,000人に調査依頼を出して1,000人が回答した場合、回答率は50%になります。出現率とは、スクリーニングの条件に合致する人の割合を指します。たとえば、1,000人の回答者のうち200人が条件に該当する場合、出現率は20%です。

つまり2,000人×回答率50%×出現率20%=200人が本調査の対象数です。さらにこの本調査数200に回答数60%(例)=120人が本調査のサンプルサイズになります。

逆にスクリーニングのサンプルサイズを計算する場合は、本調査回収サンプル数=本調査回収サンプル数÷本調査回答率÷出現率で算出できます。またスクリーニングサンプル数は、「200人÷50%÷20%」という計算から導き出され、その結果2000人のスクリーニング回収サンプルが必要であることがわかるでしょう。

まとめ

スクリーニングは、調査や営業活動、マーケティング戦略において、適切なターゲットに効率よくアプローチするための重要な手法です。情報過多の現代においては、「誰に・何を・どう届けるか」を明確にすることが成果の鍵となります。

本記事では、スクリーニングの定義や営業やマーケティングに不可欠な理由を解説しました。また、「条件設定型」「行動データ型」「スコアリング+AI型」といった実践的な手法も紹介しました。そして製薬や広告業界での成功事例を通じて、スクリーニングがもたらす具体的な効果も解説しています。

対象者の設定、設問設計、サンプル計算など、スクリーニングの質は調査の精度を大きく左右します。今後ますます重要性が高まるスクリーニングを正しく理解し、実務に活かすことが競争力向上につながるでしょう。

市場調査やスクリーニング調査を検討されている場合は、セルフ型ネットリサーチFastaskにぜひご相談ください。出現率などについても参考となる情報をご提供させていただきます。

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