地域住民や周辺の医療機関との連携を重視し、民間のノウハウを取り入れた病院運営を目指している「東京北社会保険病院」は、効率化の一環として開院にあわせて電子カルテを導入した。しかし、入力負荷の軽減という課題に直面したため「ATOK」「医療辞書」を導入。さらに医師、職員ごとにユーザー辞書、環境設定を保持できる仕組みを構築し、「自分の思い通りに入力できる環境」を実現することで、電子カルテをよりスムーズに運用できる基盤を整えている。
情報を共有できる電子カルテだからこそ、患者さんの情報を詳細に入力したい
--電子カルテと「ATOK」「医療辞書」の導入経緯についてお聞かせください。
杉田当院は、民間の創意工夫を生かした効率的な運営、地域医療との連携、そして東京諸島を中心とする、へき地医療支援を目指した病院として平成16年4月に新規開院しました。こうした方針のもとに、富士通製の電子カルテシステム「EGMAIN-FX」の導入を決定し、半年間という短い準備期間の後、開院と同時に稼働させました。電子カルテは通常の紙のカルテに比べて記録性、保全性に優れており、事務作業の軽減やカルテ管理の省力化が可能です。また、職員なら誰でも閲覧できるので、情報の共有化が図れるといったメリットもあります。紙のカルテは、カルテが保存してある場所、たとえば病棟や外来のカルテ庫まで移動しなければ自分で見ることも、ましてや意見を求めるために他のドクターに見てもらうこともできませんが、電子カルテの場合、院内のどの端末からでもすべてのカルテ情報を閲覧することができるのです。

総合診療科
杉田 義博氏
首藤「ATOK」と「医療辞書」を導入した経緯ですが、当院と運営主体(地域医療振興協会)を同じくする「横須賀市立うわまち病院」が「ATOK」を導入しており、使い勝手がいいという話を聞いたことが大きかったと思います。早速、当院の職員で「ATOK」と「MS-IME」の使用感を比較検討したところ、「ATOK」の方が効率的だ、という意見が大半を占めたので、当初は「MS-IME」と別の医学辞書を使用する予定でしたが、開院前に「ATOK」と「医療辞書」の導入に踏み切った次第です。
杉田ただ、「ATOK」の導入当初は「自分のIDでログインしたのに、ユーザー辞書の設定が切り替わらない」「『医療辞書』に登録されているはずの医療用語が出てこない」といった問題がありました。「ATOK」と「MS-IME」の学習結果情報の管理方法が異なっている部分に原因があることが判明したので、ジャストシステムさんと富士通さんの協力で対策を講じてもらい、今年の春に問題が解決しました。苦労はしましたが、富士通さんの電子カルテと「ATOK」の連携は良くなったようですね。
首藤電子カルテでは文字の入力に手間がかかります。外来診療ではテンプレートや定型入力を使う手もありますが、看護記録やリハビリテーション記録などは、患者さん一人一人の状態を細かく記録するので情報量が多くなります。当然、キーボードで打ち込む文章も長くなるので、業務を滞りなく進めつつ患者さんの細かい情報を記録するには、やはり入力時の変換効率が重要だと思います。
杉田待望の「ATOK」が現場で使えるようになったのはうれしい限りでした。稼働の時点では、まだ電子カルテと「ATOK」「医療辞書」の連携が完全ではなく、変換に学習結果がうまく反映されないことが多かったため、やむなく「ATOK」導入をあきらめ、「MS-IME」に移行しようと検討した時期もありました。しかし、変換効率や学習能力を考えると、やっぱり「ATOK」が恋しくなったんです。変換効率が良いので、入力は明らかに早いですから。もし、それからずっと「ATOK」を使えなかったら、カルテ記載のスピードが低下して、診療効率も落ち、結果として質の高い医療記録を残すことができなかったかもしれませんね。
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