中学・高校の実践事例

修学旅行の思い出を新聞に! 自分の文書を作る力をつける指導 
〜ひな形を一度使った経験が生きた、生徒オリジナルの“沖縄新聞”〜
神奈川県・県立大師高校

川崎駅から南に車で10分ほど。すぐそばに厄除けで有名な川崎大師がある大師高校は、1996年、神奈川県内初の総合学科の高校として生まれ変わった。総合選択科目・自由選択科目には「情報ビジネス系列」という科目群もあり、パソコンを利用した学習が進められている。

楽しかった修学旅行 思い出を新聞にまとめよう

 2001年の10月28日から31日まで、大師高校の2年生は沖縄への修学旅行を実施した。この様子を新聞にまとめるのが、この授業の課題だ。

パソコンルームの様子

パソコンルームに集まったのは、自由選択科目『文書処理』を選択している2・3年の生徒たち。2年生は沖縄の修学旅行の思い出を、3年生は独自にテーマを設けて沖縄について調べたことを新聞にまとめていく。

  「日頃は、ワープロ検定の資格取得のための学習が主なのですが、試験の合間にこういった新聞作りなどにも挑戦させています。定型の文書を作ることだけでなく、いろいろな文書を作る力を育てたいのです」と、授業を担当する小笹雄二先生は授業の目的について話してくれた。

 新聞作りの授業は、この日で3回目。1回目は『一太郎ジャンプ』の新聞用のひな形を使い、写真や文章を工夫して、1人が1枚の新聞を作り上げる授業。2回目はひな形を使わずに自分でレイアウトを考え、新聞を作る授業。そして今日はいよいよ、それを完成させる日だ。
「『一太郎ジャンプ』には、豊富なひな形があるので便利です。ただ新聞を作りなさいといっても、イメージがなかなか固まらないものです。一度ひな形を利用したことで、今度は自分なりの新聞を作ることができました」日頃『文書処理』の授業でパソコンを使っているため、生徒にはパソコンスキルはあると小笹先生。

 授業が始まって、まずは今日の作業を説明。先生が、サーバーの画像フォルダから画像を持ってくる方法や、制作物への画像の貼り方を実際にやってみせる。沖縄で撮影された画像は、あらかじめサーバーに保存されているのだ。そして、説明がひと通り終わったら新聞制作開始! 「先生わかんなーい」の声も出る。すると、その隣のパソコンに座っている生徒が手順を教えてあげている光景も。

  「写真だけ見ていると2時間終わっちゃうからな。早く選んでください」という小笹先生の声をよそに、沖縄での思い出が写真とともによみがえり、楽しかった旅行の思い出話に夢中になっている生徒たちも… 「この人おもしろかったよね」 「見て! 見て! これ超おかし〜い」…そこで、 「写真だけで新聞がいっぱいにならないようにね。みんなの言葉が聞きたいんだから。できれば編集後記まで作るぞ」小笹先生のやさしいアドバイスが入った。

ひな形で作った経験から 自分なりのレイアウトを工夫

レイアウトに挑戦

生徒たちは、大きなシーサー像での記念写真や、青い海でダイビングをした写真、カヌーを体験したときの写真など、思い思いに写真を貼りこんでいく。タイトルも“行ってきたぞ 沖縄”“沖縄の旅行ばなし”“IN沖縄”“海人(うみんちゅ)”とさまざまだ。

沖縄のお菓子“ちんすこう”をタイトルにした男子生徒は『一太郎ジャンプ』のイラストフォルダからバスガイドの絵を選び、タイトル横に配置。レイアウト枠を使って紙面を構成している。さまざまなレイアウト枠を作り、項目ごとに変化をつける。前回の授業でひな形を使った新聞作りを経験しているので、全体の構成やレイアウトを工夫する力がついているようだ。

その隣の女子生徒は“星の砂”というタイトルを[文字スタジオ]を使って3Dにアレンジ。タイトル文字だけでなく、文章に色をつけたり、画像を中心に配置するなど、独自の工夫を行っているところはさすがに高校生だと感じる。

5時間目の授業が終わり、休み時間になっても制作は続く。そして、6時間目に入り、しばらくして、そろそろ仕上がってくる生徒が出始めた。 「あと30分ぐらいで印刷するぞ」いよいよ、室内の4カ所にあるカラーレーザープリンタが稼動。2時間の授業でほぼ全員が、自分だけの“沖縄新聞”を作り上げた。

生徒に新聞作りの感想を聞いてみる。 「いつもはもっと静かな授業ですよ。文字を打ってばかりだから」という男子生徒は、 「新聞作りは難しいけど、素材がいろいろ入れられ、楽しい」と語ってくれた。 「枠とか、いろいろ入れられてよかった。もっと工夫したかったかな。でも楽しかった」と女子生徒。アイデアはつきないようだ。印刷できた生徒は、文書を保存して先生に提出する。 「これ、いいじゃないか」と先生にほめてもらうと、思わず笑顔。沖縄の思い出がつまった新聞が、続々でき上がっていった。