小学校の実践事例

コミュニケーションを意識して コンパクトに自分を表現 
〜オリジナル名刺を作成して他校との交流会を盛り上げよう〜
東京都・品川区立上神明小学校

上神明小学校

品川区立上神明小学校6年生の恒例行事である「日光移動教室」。当日は、他校の子どもたちとの交流会が開かれる。これまでの手がきの名刺を、今年はパソコンで作成。その様子をレポートする。
また、学校が取り組む教育改革について、校長先生にお話をうかがった。

他校との交流を目的とした名刺づくり 作成意図を明確にして作業スタート

品川区立上神明小学校の6年生は、2週間後に控えた2泊3日の「日光移動教室」を楽しみに待っていた。東京の生活とは違う環境のなか、名所見学、ハイキングなどを体験し、今後の学習に活かすのが目的だ。宿泊先となる品川区の保養所では、同じ品川区立伊藤小学校の6年生とともにスポーツ大会を開催。混合チームを作ってコミュニケーションを図る。

伊藤小学校は、上神明小学校とともに、品川区が取り組んでいる“小中学校の一体的接続”の研究実践に参加している。先生同士の交流は盛んだが、子どもたちが顔を会わせるのは久しぶりになる。

今回の授業では、3日間を一緒に過ごす、伊藤小学校の子どもたちと交換する名刺づくりにチャレンジする。授業がスタートし、TTの細川猛彦先生が前に立ち、先生自身が『一太郎スマイル』で作成した見本の名刺を取り出した。

細川先生から説明

「必ず入れるのは、学校名と名前、自分の顔写真です。それから、伊藤小学校の6年生に、自分を紹介する言葉を入れてください。どうすれば自分のことを知ってもらえるかを、よく考えてね」

次に、名刺の作り方をまとめたプリントを子どもたちに配り、先生機のパソコン画面をスクリーンに投影して手順を説明する。写真の取り込みも初めてだ。

「太い文字とか、細い文字とかにもできますか?」「文字の形を変えられますか?」
子どもたちから質問が出る。やる気十分といった雰囲気。
「それでは、スタート!」
子どもたち37名に対して、児童機は20台。2人で1台を使用し、前半と後半に分かれて各自の名刺を作成する。

自分をいかに表現するか
相手を意識して工夫を凝らす子どもたち

今回、細川先生はハガキサイズの用紙を使って、名刺用の台紙をあらかじめ用意しておいた。用紙の大きさを整える作業を省いて、子どもたちが名刺づくりに集中できるようにとの配慮だ。

子どもたちの顔写真は、前日、エプソンのデジタルカメラ『L-300』で撮影した。台紙と写真は、先生機のMOに保存されている。

写真を選んでいく

子どもたちはそれぞれのパソコンからアクセスして、自分の顔写真を自分のパソコンに取り込んでいく。
先生から配られたプリントを見ながら、写真の一覧にたどり着いたグループは、
「わー、すごい。どっちの写真がいいかな」
「こっちの方がいいよ。笑顔だから」
と楽しそうに相談している。

写真を取り込んだら、次は文字を入力する。キーボード入力が苦手な子どもは、[クリックパレット]を活用。画面上のキーボードをマウスでクリックし入力していく。
「☆私はこんな人☆ 元気ですごく明るいです! 趣味はプール!」
女の子たちは、丸い書体にしたり文字をピンクにしたりと、かわいらしくアレンジするのに夢中。記号や顔文字を使った飾り付けもお手のものだ。

野球のイラストを貼り付けた男の子は、
「野球が好きで、プロ野球の中日ファンです。中日ファンの人、教えてください」
と、自分をアピールする。
「私の趣味は読書で、今『霧のむこうのふしぎな町』という本を読んでいます。おもしろいです」
と自分の紹介文を入力した女の子は、
「同じ本を読んだことがある人がいたらうれしいな」
と、すでにワクワクしている。

細川先生が、ふと1台のモニターに目を留めた。文字を黄色にしているため、少し見えにくいのだ。先生は子どもに声をかける。
「普段字を書くとき、黄色を使うことはあるかな? 使わないのはなんでだろう?」
自分で考えて、解決法を見つけ出すような指導をいつも心がけているという先生のアドバイスだ。

わたしの名刺ができた!

作業開始から20分が経ったころ、先生が声をかけた。
「そろそろ次の人に交代してください。初めにつくった人は教えてあげてね」
交代してからは、子どもたち同士で教え合い、作業のスピードも大幅に速くなった。

名刺が完成した子どもは、エプソンのインクジェットプリンタ『PM-3300C』で印刷に取りかかる。それぞれの児童機から印刷を指示すると、プリンタから自分だけのオリジナル名刺が姿を現した。初めてパソコンで作成した自分の作品を、じっと見つめる子どもたち…。

名刺はラミネート加工をして、日光へ持っていく予定。新しい友だちとの出会いがますます待ち遠しい。