小学校の実践事例

低学年からパソコンに触れてきた6年生 自由な新聞作りを卒業の思い出に
『一太郎スマイル』を使って、12年間をふりかえる“自分新聞”を制作〜
香川県高松市立屋島小学校

今から約800年前、源平合戦が繰り広げられた地・屋島。平家の舟が掲げた扇の的を射落としたことで知られる那須与一は、屋島小学校の子どもたちにとって、偉大なヒーローだ。今回は、卒業式を10日後に控えた6年生のクラスにおじゃました。

国語の授業が新聞作りに発展 子どもたちが希望したパソコン活用

6年2組の子どもたちが、元気よくパソコン室にやって来た。10日後に卒業式を控え、クラスのみんなで学ぶ時間もあとわずかだ。

新聞作りを終えて

今回は“12年間の自分をふりかえって新聞をつくろう”をテーマに“自分新聞”作りにチャレンジする。実は、パソコンを使って新聞を作ることになったのには、ちょっとしたいきさつがある。国語の授業の中で、新聞の紙面構成などを学習するうちに、子どもたちのほうから「パソコンで新聞を作ってみたい」という声が上がったのだ。

担任の三崎孝行先生の、「どうしてパソコンで作りたいの?」という問いに、「新聞にはやっぱり写真を使いたい。そのとき、写真はスキャンしたものを貼りたいから」という答えが返ってきた。

小さいころの写真や大切な写真を直接紙に貼ると、当然写真が傷んでしまう。それが心配だったらしい。スキャナを使うと簡単に写真の画像を貼り付けることができるということを、子どもたちは知っているのだ。

屋島小学校では、1997年にパソコンが本格導入された。今の6年生たちは、1年生の時からパソコンに触れていて、パソコンを使って何ができるのかを自然に身に付けている。

「みんながやってみたいんだったら、そうしよう」と、三崎先生は子どもたちの声に応えた。

先生が段組のテンプレートを作成 お互いに教え合う子どもたち

記事の材料となる写真やエピソードを集めて、下書きを終えた子どもたちは、『一太郎スマイル』を使って新聞づくりに取りかかる。
“自分新聞”を作るにあたって、三崎先生は新聞用のテンプレートを作成している。文章をたくさん書ける子どももいれば、苦手な子どももいるとの配慮から、段組を変えて、5段・6段・7段の3パターンを用意し、子どもたちが選べるようにした。
文字の大きさは各自が決める。テンプレートは基本的にタテ書きだが、ヨコ書きにしたければ、自分で文字枠を設定することになる。

女の子3人の仲良しグループは、それぞれのニックネームをタイトルにした、“みきみき新聞”“なつなつ新聞”“ゆきゆき新聞”を作成中だ。まずは文字ボックスを作ってタイトル文字を入力。[かざり]をクリックすると、書体や文字の太さが選べる。

「タイトルは太い文字にした方がいいよね」「目立つように、ピンクにしよう」と、相談しながら作業が進んでいく。

先生、ヘルプ!

タイトル部分ができたら、次は文章にとりかかる。小学校生活で印象に残っていることを、キーボードで入力していく。自宅のパソコンでメールのやりとりをしている子どもは、さすがに入力も速い。そうでない子どもも、一生懸命キーボードに向かっている。

「文字が消えちゃった!」せっかく時間をかけて入力した文字が、突然画面から消えてしまったらしい。隣で作業をしていた子どもが、画面をのぞき込む。

「これは文字ボックスが2つ重なっているから、消えたんだよ。ボックスを移動すれば大丈夫」「そうだったんだ。あー、よかった」。

各自作業を進めていく子どもたち。分からないことがあれば、先生を呼んでもいいが、児童30名に対して先生は1人。なるべくお互いに教え合うようにしている。簡単な質問なら、「おーい、○○さん! あの子に教えてあげて」と先生が指名することもある。