小学校の実践事例

パソコンで楽しむ生活科 見つけてきた「秋」を変身させよう
〜スキャナや大判プリンタで広がるわくわくドキドキの世界〜
長野県長野市立松ヶ丘小学校

JR長野駅から車で10分。小高い丘を登ったところにある松ヶ丘小学校は、うしろは山、前には犀川という素晴らしい自然の中の小学校だ。今回の授業は、1年生が生活科で見つけてきた「秋」の素材をスキャンして『一太郎スマイル』を使いお絵かきするもの。“みんなの秋を変身させよう!”がテーマだ。

先生の手を借りずにパソコンを立ち上げ!

パソコン授業開始!

「こんにちは〜」と元気よく入ってきたのは1年1組の子どもたち。「これからパソコンのお勉強をはじめます。宮尾先生お願いします」と日直さんの可愛い声で、パソコンの授業を担当する宮尾紀久先生に挨拶。「スイッチを入れます」先生の号令で、パソコンの前に立った子どもたちは、全員、人差し指を起動スイッチに向ける。

「はい、入れて」と指示が出たところでスイッチオン。「いつもの小さい四角が出たら[エンター]を押してね」ネットワークパスワード記入の画面に切り替わったところで、1年生が迷わず[エンター]キーを押した。「[エンター]キーはこれだよ」と自慢げに教えてくれる子もいる。思わず1年生であることを忘れる瞬間だった。

パソコンが立ち上がったら、着席。『一太郎スマイル』のアイコンをダブルクリックする。「1ねん1くみ」をプルダウンメニューから探してお絵かき開始。ここまではほとんどの子どもたちが先生の手を借りずに実行できるのも驚きだ。パソコンの操作でわからないことがある場合は、子どもは黙って手を挙げている。「えらいね」宮尾先生は、手を挙げていた子に近づいて、まずは黙って手を挙げていたことをほめる。

松ヶ丘小学校は「長野市マルチメディア教育」の中心校のひとつであり、42台のパソコンが導入されている。児童1人に1台のパソコンが使える恵まれた環境だ。しかし、「児童が全員“先生!”って呼んだら大変なことになってしまうので、これはパソコンの授業中のお約束です」と宮尾先生。

起動・実行・画面が立ち上がるまで座らない、困ったときには手を挙げるなど、決まり事をきちんと守ることを指導していれば、1年生でもパソコンの授業は可能になることを実感させられた。

スキャナは「秋」をパソコンに閉じこめてくれるもの

今日の授業は生活科の“秋をさがそう”の一環として行われた。学校のまわりで見つけてきた「秋」の素材を画像にして、パソコンで色を付けたり、絵を描く作業をする予定だ。

前の時間にスキャンした「秋」の素材に物足りなさを感じていた子どもたちが、家で見つけてきた「秋」の素材をスキャンする。すでに画像をエプソンのネットワークスキャナ『ES-6000H』で取り込んでいる子どもたちは、『一太郎スマイル』のお絵かき画面にある[スキャン箱]から画像を呼び出す。「[スキャン箱]ってわかるかな?」と宮尾先生が聞くと「知ってるー!」

1年生にスキャナの概念を教えるのは難しい。宮尾先生は子どもたちに「みんなが持ってきてくれた、いろんなものをパソコンに閉じこめてくれる機械です」と説明。難しいことはわからなくても、スキャナを使うとなんだか楽しいことが起きそうだという期待感を持って、子どもたちはわくわくしているようだ。

ボタン操作だけでスキャンができるのが、このネットワークスキャナの特長だ。「これまで先生に頼んでスキャンしてもらわなければならなかったのですが、その壁を取り除いてくれるシステムですね。資料を見つけたときに自由に使えれば、もっと役立つでしょう」と宮尾先生は『ES-6000H』+『スマイルペイント』を評価していた。

ボタン操作だけだとはいえ、1年生には担任の先生がついて操作をサポートする。「1年生ですから、いろんな思いがそれぞれにあるのでしょう。葉っぱだけでは満足できない子もいます。自分の考える秋を持ってきていいと伝えてあります」

授業者の宮尾紀久先生の言葉に勇気付けられた子どもたちは、思い思いの「秋」を持ってきた。

じゃがいもや小さなかぼちゃ、りんごなどの食べ物に秋を見つけた子がいた。どうやら、おばあちゃんが持たせてくれたらしい。

山のほうに住んでいる(こちらも)おばあちゃんが送ってくれたという、ひめりんごをたくさん持ってきたこどももいた。りんごの里・長野ならではの素材だ。さくらんぼと同じくらいの大きさで、都会ではあまり見かけない。「ちょっとすっぱいけどおいしいよ」と笑顔で教えてくれた。

スキャナを使おう

どんぐりや落ち葉、枝、松ぼっくりをいっぱい持ってきた元気な男の子は、袋をひっくり返しスキャナの上に「ダ〜〜」・・・。一緒に入っていた土や木屑も飛び散り、思わず先生がスキャナの上を拭く場面も。さすがに1年生、スキャナを使うにも思い切りがいい(笑)。

素材をのせてふたを閉め、ボタンを押したらスキャナを囲んでいた子どもたちがいっせいにのぞきこむ。どうやってパソコンに閉じこめるんだろう、と思っているようだ。

「はい、次の人」と先生が言うと「もう終わり?もういいの?」と子どもたち。1年生にとっては、自分の持ってきた「秋」がどうやって画像になったのか、最大の謎のようだ。