「情報モラル」についての特別座談会
特別座談会「情報モラル教育の実践と課題」
〜情報モラル教育が実現すべき究極のテーマとは?〜
会うことの意義を理解すれば情報モラル教育は卒業
●村岡
久保田さんはここまでのお話を、どう受けとめましたか。
●久保田
素晴らしいの一言に尽きますね。これまでこのコーナーでは、情報モラルや著作権についての基本的な考え方を紹介してきましたが、その段階はすでにクリアして、子どもたちが自ら表現したい内容に合致したメディアを選択し、問題点に気づきながら、外部に向けて発信するステップに入っている。情報モラル教育が着実に進展している事実を知り、心強く感じています。
●村岡
伊藤先生の実践の中で生じた問題に対する子どもたちの反応を見ると、法律以前のモラルについて、子どもたち自身が考え始める姿がうかがえます。子どもたちは、法の芽生えのような部分を追体験できたのではないでしょうか。
●伊藤
両校の子どもたちの中に信頼関係がなければ、問題は放っておかれたのかもしれません。「こう言うと、相手はどう思うのだろう」とお互いが見つめなおす。仲間だという意識があるからこそ問題提起につながったのだと思います。また、言葉だけでは流れてしまいますが、文字情報だと振り返って考えることができる点も有効でした。
テレビ会議やウェブを利用したコミュニケーションは、限られた情報しかやりとりできない。子どもたちは思いが伝わらないもどかしさを実感する中で、「向かい合って話ができるのがベストだが、現実には難しい。だったらうまくいかない原因を見つめなそう」という意識を持つようになりました。
●久保田
そうした“気づき”は、非常に重要なポイントです。フェイストゥフェイスのコミュニケーションの必要性を理解できれば、情報モラル教育は卒業ですね。
●村岡
野崎先生は許諾をとることの必要性を指導されているとのことですが、その基本となる精神やケースごとの対応を小学生に伝えることに難しさを感じることはありませんか。
●野崎
例えば学校が運営するホームページを制作する際には、保護者に「ホームページにお宅のお子さんの作品や、おぼろげな写真を載せていいですか」というアンケートを取るようにしています。まず、私たち自らプライバシーに配慮している姿を見せる。また、担任の先生を通じて自分の情報が公開される時には慎重な判断が必要であることを、しっかりと説明するようにしています。
中学年になると、インターネットを使った「調べ学習」を実施しますが、ビデオなどで使い方を指導すると同時に、「それぞれのホームページには必ず作った人がいるんだよ」と話します。その時に、引用や出典についても触れながら、書物や映像でも同様のルールやマナーがあることを伝えていく。もちろん、一度に理解させることはできませんが、段階を追って伝えていけば、小学生でも十分に理解できると思います。
