「情報モラル」についての特別座談会
特別座談会「情報モラル教育の実践と課題」
〜情報モラル教育が実現すべき究極のテーマとは?〜
全国すべての小・中・高校でインターネット整備が整い、本格的な情報教育がスタートした今、子どもたちをネットの危険から守るためにも、情報モラル教育への取り組みが緊急の課題となっている。今回は関東近辺で先進的な情報モラル教育を実践する3人の先生方に、著作権のエキスパートである久保田さんを交えて、情報モラル教育の実践の中で生まれる問題点と課題について語り合ってもらった。
ネットを介した交流の中で自ら問題点に気づく子どもたち
●村岡
情報教育を担当する先生の多くは、情報モラルを伝えることの必要性を強く感じながらも、実際にどう進めていいのかに戸惑いを感じているのが実情だと思います。まずは情報モラル教育に対して熱心に取り組んでおられる先生方に、実践の内容と、その中で発生する疑問点や課題についてうかがいたいと思います。
●宗我部
私は主にインターネットを利用した他校との交流を手がけてきました。画像を見ながらリアルタイムに話し合うオンライン会議も実施していますが、互いに時間を合わせることが難しいため、メールや電子掲示板を利用した言葉のやりとりがメインになります。
交流が深まるにつれ、当初は手紙のような硬い文章だったものが、次第に会話に近い言葉へと変化していくという現象が出てきました。もちろん、そうした言葉遣いが一概に悪いとは思いません。私自身、パソコン通信の時代からインターネットに親しんできましたし、いわゆる“ネット言葉”を使ったコミュニケーションの楽しさを理解しています。
ただし、国語科を担当している立場から、そうした言葉を授業の中でどのように取り上げていったらいいのかについて、子どもたちの姿を見ながら考えているところです。
●伊藤
私もウェブ機能やテレビ会議を利用した他校との交流を進めています。最も利用頻度が高いのは、ネットワーク上の電子掲示板で、個人にはアドレスは持たせていません。掲示板の場合、教室に1台クライアントがあればよく、コンピュータルームが空いていなくても「今日は○○ちゃんから書き込みがあったかな?」というように気軽に触れることができるので、小学生に適したメディアだと思います。
また、文字情報だけだと子どもたちの気持ちが伝わらないことが多いので、掲示板での交流を補足する形で討論するためにテレビ会議を実施しました。子どもたちは実際にテレビ会議をする前にファックスを送りあって議題を決め、それに則して話をするといったこともできるようになっていきました。
昨年度は「お米」に関する本の制作を目標に、岡山市立平福小学校と共同作業を実施したのですが、掲示板のやりとりの中である問題が発生しました。私のクラスの子どもが、相手校の子どもに向けたメッセージを掲示板に書いたところ、たまたまその子が欠席していた。そこで「メッセージを出したけれどなかなか返事が返ってこない。何をやっているんだ」といった書き込みをしてしまったのです。
両校の担当教師は常に子どもたちのやりとりをチェックしているのですが、私たちが「話し合いのテーマとして提起しよう」と相談しているときに、相手校の子どもの一人が、自ら問題に気づき、クラスに投げかけました。これをきっかけに、ネットで交流する際に気をつけるべき点について議論を進めることができ、理解が深まる結果になりました。
●野崎
私の小学校では、昨年度、ようやくケーブル回線になり、地域のボランティアの方々が校内LANを構築してくれました。校内はイントラネットでつながっていますが、外部とアクセスするメールアドレスは1つに絞っています。
具体的な取り組みとしては毎月子どもたちの作品を学年ごとにホームページで発表しています。これに対して、他県の小学校からメッセージが届くことも増えてきました。また、調べ学習の際は遠隔地の専門家にメールで質問をすることもあります。
私はそうした作業を進めるときに、なるべく子どもたちの傍らにいるようにしています。これは、子どもたちが外部に向けて発信する際に、相手の方へ丁寧にご挨拶することや、画像を利用するときに許諾のメールを出すように指導するためです。

