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キャリア教育ヒントボックス

ビジネスの才覚とピュアな感性の融合
銀座かずや店主 古関一哉(こせき・かずや)さん
ビビ21ドットコム代表・銀座かずや企画プロデュース 古関あさみ(こせき・あさみ)さん

煉り菓子が自分を変えた

かずやの煉・抹茶かずやの煉・抹茶。他に、ねり黒、南瓜、苺など。そのなめらかで豊かな風合いにリピーターも多い。

一方で一哉さんは、高校を卒業して板前として働き始めていた。職場の環境になじめず、毎日がとてもつらかったと言う一哉さん。
「睡眠時間3時間の日々が続き、げっそりやつれて、見ていて心配になるほどでした」とあさみさんも語る。
「それでも、料理を作ることと、お客さんの前に出るという仕事は楽しかったんです。大変でしたが、学ぶことの多い7年間でした。すべてが今の糧になっています」

板前修業の傍ら、「弱い自分を変えたい、自分にしか作れないものを生み出したい」という思いを強くしていった一哉さん。胡麻豆腐を作っている最中にはたとひらめいた。
「これでお菓子を作れないだろうか」

抹茶を入れ、甘みを加え、火加減を変え、煉り時間を変え。仕事がはねた深夜まで試行錯誤を繰り返す日々。「結局、『これだ!』というものに出会うまで、2年もかかってしまいました」

当初「抹茶のおとうふ」という名だった煉り菓子は、2003年、見事、第 21回神奈川県名菓展菓子コンクールで技術賞を受賞。実家の小料理屋の店頭で販売したり、銀座の小料理屋を日中だけ間借りして販売するなど、一哉さんは着々と夢を形にしていった。

尊敬しあえる間柄

のれんをくぐると、そこには一哉さんの笑顔が待っている。

のれんをくぐると、そこには一哉さんの笑顔が待っている。

「初めて食べたとき、『これは他にない お菓子だ!』と思いました。我が弟ながらすごいものを生み出したな、と」

少し照れながらも、お互いに尊敬しているんですと語るあさみさん。あさみさんは一哉さんの感性や人を魅了する人間性を、一哉さんはあさみさんのビジネスの才覚や人と人とをつなぐ力を、それぞれに素晴らしいと感じている。
「弟はある意味、芸術家のような感性を持っているんですよ。たとえば、何事も徹底的にやらないと気が済まなくて体調を崩してしまったり、柱となる商品に原価に近い値段を付けようとしたり。でも、そんな真 しん摯しな態度が人を引きつけるんでしょうね。私はそれをサポートしていきたいと思ったんです」

有楽町で1坪のお店。一哉さんに相談を受けたあさみさんは、巡り合わせが引き寄 せた物件に迷わずGOサインを出した。キャッチコピー、ラッピング、販売方法など考え、それまでに築いたモノを売るノウハウを生かして宣伝を打った。一哉さんの感性と、あさみさんの商才が見事に絡み合って「1坪のお店」が誕生したのだ。

楽しんでこそ仕事

銀座かずや

銀座かずや
東京都千代田区有楽町1-6-8松井ビル1F
TEL 03-3503-0080
営業時間11:30〜17:00
定休日日曜・祝祭日

「お菓子はなくても生きていけるもの ですよね。でも、あれば元気になれる。だからこそ僕は、お客さんに笑顔を届けたいと思っているんです」

煉る作業がどんなに大変で力のいる仕事だとしても、それをつらいと思ったこ とは一度もないと一哉さんは言う。「むしろ楽しいんです。仕事だって楽しまなくちゃ。作る側が楽しまなければ、お客さんを笑顔にさせることはできない。そう思うんです」

接客が好きと言う一哉さんならではの言葉だ。接客を人に任せれば、もっと作 れるし売れるのにと言われても、今の一哉さんにその選択肢はない。

和菓子職人として大切にしていることは?と問うと、一哉さんはこう答えてくれた。「やる気と勇気と、物事をいろんな角度から見る視点ですね。僕はまったくの独学で和菓子作りを始めましたから、余計にそう感じるのかもしれません。お客さんが僕の作ったお菓子を食べたときの驚き、笑顔、そして『おいしい』という一言。そのために、僕はまだまだ煉り菓子を究めていきたいと思っています」

 

■銀座かずや http://www.ginzakazuya.com/

■ビビ21ドットコム http://www.bibi21.com/

>>古関あさみさん、古関一哉さんの生き方年表はこちら!

取材・西尾真澄/撮影・西尾琢郎
※本文中の情報は、すべて取材時のものです。