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電子申請に関わる課題は、それだけではない。
申請フォーマットとして採用するファイルによっては、有償のソフトウェアや最新のOSがなければファイルが開けないこともあり得る。それでは行政のシステムとして不親切なうえに、利用者の金額的な負担も発生しかねない。
それに予算的な問題もある。役所が国民の税金で運営されている以上、実際の申請数などを考慮し、その効果に見合った価格でなければ導入することは難しいのだ。不動産投資顧問業登録制度のように利用者が限られているものに対しては、特にその意識は強い。
このような課題を慎重に考慮した結果、国土交通省はXMLに着目。
フォーマット作成ツールとして、ジャストシステムの『XMLテンプレートクリエーター2』を採用した。
XMLテンプレートクリエーター2で作られたXMLファイル(jtdxファイル)は、
(1)『一太郎ビューア』を利用してオフラインでの記入作業ができ、ダイヤルアップユーザーの作業に向いていること
(2)jtdxファイルに記入後、印刷すれば紙での申請も可能であること
(3)一太郎ビューアそのものが無償でダウンロードして使用でき、利用者の負担も少ない
などの点が評価されたという。
山田:「特に便利なのは、各入力項目にマウスカーソルを合わせると、入力に関する注意事項をポップアップで表示できる機能ですね。これがあるおかげで、jtdxファイルを利用した書類は記入漏れやミスが少ないんです」
実は、行政の事務の約半分は、記入不備のチェックや書き方の指導であるという。頭の下がる話だ。
山田:「現在、国土交通省のホームページでは、jtdxファイルのほか、ワープロソフトのファイルでも申請を受け付けています。しかし、ワープロソフトで作成された書類の70%は、何らかの記入不備が存在しているのが現実です」
7割にもおよぶ補正指示の発生率をぐんと引き下げることができるメリットは、想像以上に大きいに違いない。加えて、XMLファイルがワープロ感覚で簡単に作成できる点もアドバンテージとなっている。
山田:「XMLファイルを手軽に内製できますね。手軽に作れるということは、修正や改善なども、専門家の手を経ることなく迅速に対応できるということです。これは申請者側にとってもメリットですね。先に述べたポップアップ機能にしても、理解を容易にすることで入力作業の負担が減れば、利用者の利益になる。電子申請の本来の意味は行政の効率化より、利用者の利便性の拡大です。そのためにも、利用者や国民の負担をできるだけ求めないシステムづくりを考えています」
その考え方はコストへの意識にも反映されている。XMLの雛形を外注すると、ファイルひとつあたりおよそ数十万円かかるといわれるが、本制度において現在登録されている事業者数は739件(※平成17年9月1日現在)。この数にそのコストはかけられないと、山田氏はいう。
山田:「XMLの外注や数十万円もする他のソフトは、検討の土俵にすら上がりませんでした。そんな中で、XMLテンプレートクリエーター2の1ライセンス2万円という価格と、ダウンロードファイルへの梱包手続きに発生する費用の額が現実的だったのは事実です。が、税金を使う以上、価格に関係なく利用者側の環境などを考慮して細部仕様まで検討しました。
導入後も、ジャストシステムさんには機能改善要望を出しています。たとえば、入力関係の設定と制御のパワーアップや、XMLデータとして入っているデータ、特に画像データにおけるデータベースソフトでの再利用と連携機能の充実などですね。掲示板やフォーラムといったユーザー同士の情報交換の場もまだまだ足りない。こういった部分が改善されていけば、さらに多くの電子申請に対応できるソフトウェアになるはずです」
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