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--その「辞書配信システム」導入のメリットと、カスタマイズについてお聞かせください。

池田 まず、新聞記事に求められる新しい言葉について迅速に対応できるようになったことでしょうか。日経が独自に積み重ねてきた企業ノウハウである「言葉の使い方」を、辞書として端末にいつでも配信できるようになったということは、記事に関わる人間が、特に意識しなくても最新で正確な情報を共有できるようになったということです。たとえば、「資格予備校」という言葉。実は登録商標なのですが、読みを入力して変換キーを押せば商標であることも分かるし、一般名詞として使いたい場合の代替語も示されるようにしてあります。こうした情報は随時ペーパーやメールで通知してきましたが、周知徹底するのは難しかったと言わざるを得ません。「辞書配信システム」を導入することで、情報共有化の環境が一歩前進したと思います。
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情報技術本部 システムリーダー
田村裕之 氏
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田村 「差分配信」とは、各端末の辞書で変更された単語だけを書き換える仕組みのことです。感覚的にはウインドウズのアップデートのような感じでしょうか。デスク用の端末ではログインすると自動的に更新され最新の辞書が使える状態になるので、さらに楽ですね。配信されるのは変更された単語だけの小さなファイルですので、回線速度が遅いネットワーク環境でもダウンロードが可能になり、常に各端末の辞書を最新の状態にキープすることができるようになったのです。
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--企業ノウハウとしての「辞書」の具体例と、今後の予定について教えていただけますか。

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池田 たとえば、合併などによって企業名が変わっている場合、旧社名を変換すると現社名が注釈として示されるようにしています。記事を書く上では旧社名を使う場合もあるので、こういう方式にしました。上場企業名については証券略称や証券コードからでも正式な社名に変換できるようにしてあります。経済新聞である以上、上場企業名のデータは常に最新のものに更新しておく必要があります。市町村名についても同様で、新しい市町村が発足すればすぐに反映するようにしています。また、言葉の使い方については、たとえば「極め付け」と変換すると×印が出て、正しい使い方である「極め付き」が提示されます。

田村 現在、この「辞書配信システム」はデスク端末を対象に稼働しています。入力の際に不具合があればデスクからクレームが来るはずですが、幸い今のところ何もありません。これについては、「文句がないのは良い評価」と解釈しています。記者端末については今年6月から約1500台に差分配信対応機能を順次導入する予定です。記者端末への導入が完了した段階で、国内から海外まで、すべての場所で一元的にリアルタイムで更新できる辞書の活用が可能になるわけです。今回の導入で「入り口」にあたる入力用辞書の管理ができましたので、今後は「出口」にあたる校正辞書について、今の入力用辞書データをうまく活用できないか検討する必要があると考えています。
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池田 すべての記者に膨大な記事スタイル、時事用語について精通していることを求めるのは現実的ではありません。言葉についてのヒューマンエラーも避けることはできません。そのエラーが新聞記事として表に出てしまうことは大きなリスクになります。新聞という責任あるメディアで、商品として正確な情報を少しでも早く提供しようと考えた場合、「ATOK」と「辞書配信システム」は、記事の作成という実務的な側面とともに、リスク管理という視点でも我々を力強く支えてくれる存在だと思っています。

田村 今まで、ジャストシステムさんは完成した商品を売っているイメージしか持っていなかったのですが、今回のシステム導入では、しっかりと我々ユーザーの要望を聞き、情報も開示してくれ、カスタマイズにも対応してくれました。これについては、製品以上に、その仕事の進め方や内容に完成度の高さを感じました。
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