インタビュー

地域密着型の「ICい〜カード」で
街全体を活性化

伊予鉄道株式会社
経営戦略本部リーダー 杉山陽一郎さん
総務部庶務課 広報宣伝係長 毛利健司さん

伊予鉄道は、地方の公共交通としていち早くICカードの「ICい〜カード」を導入しました。「ICい〜カード」は伊予鉄グループが運営する電車、バス、タクシーなどの交通網、松山市内の飲食店、コンビニエンスストアなどの加盟店で利用できます。最近では、地元サッカークラブとの提携など、新たなサービスもスタート。地域密着型のICカードとして、大都市向けのカードにはない細やかなサービスを行っていることが特徴です。サービスが充実している「ICい〜カード」発行元、伊予鉄道株式会社にお話を伺いました。

サービス向上の一環として、いち早くICカードの導入を決定。

—— ICい〜カードは、どのような経緯で導入されたのですか?

地方では、都心と違ってマイカーの利用が多いため、公共交通の利用が減少する傾向があります。伊予鉄道でも、昭和40年代をピークに右肩下がりの状態でした。そこで、平成13〜15年に「サービス向上宣言」を実施し、あらゆる交通サービスを見直したんです。そして、ICカードも交通IT化の一環として導入を決定し、17年からサービスを開始しています。

—— 「サービス向上宣言」の効果はいかがでしたか?

内容は、料金の見直し、路線の再編など、ICカードの発行以外にも多岐にわたっています。総合的なサービスの向上により、3年間の取り組みで、利用者の減少を止めることができました。現在では、平成16〜20年の「いきいき交通まちづくり宣言」を実行中です。行政とタイアップしながら松山市全体を活性化する活動を行っています。司馬遼太郎さんの小説「坂の上の雲」にちなんだ記念館をまわるバスなども運行しています。

—— 地域密着型のICカードとしてはいち早く導入されましたね

磁気カードのサービスを導入したのが平成6年だったので、そこからちょうど10年で、更新のタイミングでもあったんです。香港の「オクトパスカード」など、海外の状況も視察して、利便性が非常に高いことを確認し、導入を決めました。

安心かつわかりやすいサービスで高齢者の方にも普及

—— カードの発行枚数はどれくらいですか?

約15万枚です。いよてつ高島屋が発行するポストペイ形式のカード「ローズカード」を合わせると、約34万枚のカードが利用されている計算になります。松山市の人口が約51万人、周辺地域もあわせると約60万人なので、ほぼ2人に1枚発行していることになりますね。

—— すごい数ですね。利用が多いのは、どの世代の方ですか?

60歳以上の利用者が20%いることが特徴だと思っています。20歳未満は17%、残り63%が青年層となります。男女比では、女性が6割弱、男性が4割強です。

—— 高齢者の方にも受け入れられている理由は何でしょうか?

サービスをわかりやすくしていることが要因の1つだと思います。冊子などを発行して丁寧に説明していますし、各種割引サービスもシンプルでわかりやすく工夫しています。また、生活に密着する地方の公共交通には欠かせないキーワードに「安心感」があると思います。かざすだけで簡単に利用でき、料金のメリットもある、そして安心してご利用いただけるよう、我々もサービスに努めています。

—— 公共交通では、具体的にどのようなサービスを受けられますか

公共交通では、郊外電車、市内電車、路線バスの利用時にICい〜カードで支払っていただくと、約10%の割引があります。また、市内電車には、1日フリーの「1Dayチケット」サービスを用意しています。1日の乗車料金が300円を超えると自動的にこのサービスが適用されるので、4回目以降の乗車料金は無料になる計算です(体験!ページ参照)。路面電車の環状線があるのは、全国でも松山だけなんです。買い物などで繰り返し乗っていただいた際には大変お得です。

—— その他にも、便利なサービスはありますか?

通勤定期券を利用しているお客様には「エコシステム」のサービスを用意しています。土日祝日は、定期区間外でも郊外電車、市内電車、バスが1乗車100円になります。また、同伴するご家族も同サービスを受けられます。休日はマイカーの利用が多いので、交通渋滞の緩和にも貢献していると思います。

—— 公共交通の利用や、切符の発行が不要になるなど、さまざまなことがエコにつながりますね。

そのほかに、環境に優しいまちづくりにも取り組み、小学校で講習会を開いています。最近は、家族の移動に自動車を利用することが多いため、電車やバスの乗り方を知らないお子さんも多いんです。校庭にバスを持ち込んでICカードを使ってもらったり、遠足などで使ってもらっています。

サッカークラブとの提携など、地域密着のサービスで街を活性化。

—— おサイフケータイの導入もいち早かったですね?

おサイフケータイの「モバイルい〜カード」を他のICカードサービスに先駆けて導入しました。当初から、携帯電話はプラットフォームとして非常に大きな可能性を感じていました。NTTドコモ四国さんと共同で準備を進めて、ICい〜カードのサービス開始当初である平成17年8月にはスタートしています。現在までのダウンロード件数は約1万件です。

—— 最近新たに取り組まれていることはありますか?

地元のサッカークラブ愛媛FCと提携して、ICカード機能付きのファンクラブ会員カード「愛媛FCい〜カード」を昨年1月から発行しています。ICい〜カードの機能で電車やバスに乗って会場に着き、入場料の支払いまでできます。ホームゲームの試合では、当たりなら2000円のチャージバックがあるなど、楽しめるサービスも提供しています。また、カードは、伊予鉄グループ12社の他、飲食店やコンビニエンスストアなどの登録加盟店で利用できます。利用可能な店舗は順次拡大中です。

—— 地域に密着したサービスが特徴ですね。

都市部のICカードは、汎用性があって広く使えることが望まれますが、地方のカードは、深く地域に根ざすべきだと考えています。地域内の連携、街の活性化、利便性向上を進めるために、ICカードがその中で1つの橋渡しになればいいと考えています。

ICい〜カード」体験レポートもあわせてご覧ください。