PiTaPaは、1枚で「乗る」「買う」「遊ぶ」「ためる」ことができるマルチプレーヤー。
—— まず、PiTaPaとは、一体どのようなサービスなのかをお聞かせください。
基本的にSuicaやICOCAと同じようなタッチするだけで自動的に決済されるICカードですが、PiTaPaの大きな特徴は、後払い方式で、世界的にも例を見ない利用実績に応じた割引サービスが受けられる「ポストペイサービス」を採用していることです。

ポストペイサービスでは、鉄道、バスの利用時や店舗でのショッピングで代金を支払う時、利用データを1ヶ月集計したうえで、月次利用額をお客様の指定金融口座から引き落としさせていただくため、鉄道やバスの利用実績にあわせた定期券・回数券並の割引や、公共交通機関の利用を促進する後払いならではの割引サービスが可能になります。最近では他社からいろんな同様の後払いサービスが出てきましたが、PiTaPaは世界に先駆けてスタートした交通とショッピングの両方の決済が可能な唯一の後払いサービスと自負しております。
—— まさに、ポストペイサービスの先駆者というわけですね。それでは、PiTaPaの開発の経緯を教えていただけませんか?
1996年3月に、関西の電鉄5社局での磁気カード(プリぺイド方式)による共通乗車システム「スルッとKANSAI」がスタートし、その年の12月に「スルッとKANSAI協議会」を発足させました。このカードは非常に好評を博しましたが、発行してしばらくすると、お客様からサービスに対する厳しいご指摘を多数、受けることとなりました。中でも多かったのが残額についての不満でした。プリペイド方式だと確かに、残額がある範囲内では簡単、便利に改札を抜けられますが、残額が少なくなると切符を購入したり、精算しないといけないなど煩わしく、不便ということです。また、カード利用における特典・割引がないことや、ショッピングでも使いたい、タクシーなどでも使いたい、JRでも使いたいなど、いろんな要望が出てきました。関西のお客様は、満足できないサービスについては率直に「改善すべきだ」というご意見を言ってくださいます。良くも悪くも思ったことをそのまま直接声にするのです(笑)。でも、それはサービスを提供する事業者としては非常にありがたいことなんですよ。我々としては、その声をしっかりと受け止めて、お客様に満足いただけるサービスを実現していくことが大切だと日々、思っています。
—— そのようなお客様の声を全て反映した結果、PiTaPaになったわけですね。お客様のニーズを最大限に満たすために、いろいろと研究に苦労されたのではないですか?
我々としても様々なお客様の要望に対して、なんとか改善できないかと研究を重ねました。そんな中、99年にJR東日本さんがICカードシステムの導入を発表されたのです。 その年は「スルッとKANSAI」が導入4年目を迎え、着実にお客様に浸透していた時期でしたが、我々も来るべきICカードシステム時代に対応すべく「スルッとKANSAI協議会」内に「「ICカードシステム研究会」を発足し、若手の担当者でいろいろと勉強を始めたのです。当時、すでに導入されていた海外のICカードシステムも研究しました。そこで、我々が注目したのが香港の「オクトパスカード」だったのです。これはFeliCaを使ったICカードとして導入された先進事例であり、しかもオートチャージという便利な機能が付いていました。オートチャージであればチャージ機を必要としないので、設備投資も削減できます。しかも、利用回数に応じた後払い方式とすれば、お客様は残額を気にすることなく使用でき、長期休暇で使用しない期間が長い月は定期券より安くなり、お得感が増します。そこで、我々の結論として行きついたのが、後払いのポストペイ方式の採用でした。ポストペイ方式はお客様の利便性も高く、事業者側もコスト削減できるという通常は相反する命題を解決できる考え方でした。このような経緯を経て、世界で初めてのポストペイ方式のICカードPiTaPaが誕生したわけです。
—— まさに、お客様の声から生れたカードと言えますね。現在どれくらいの路線と店舗で利用できるのですか?
交通機関では大阪市交通局の地下鉄・バスをはじめ、21の鉄道・バス会社の路線で利用できます。07年の春には、近鉄、京都市営地下鉄、神戸電鉄など5社が追加され、関西圏の鉄道路線の全てでPiTaPaが導入されます。

これにより、「スルッとKANSAI」全線の乗降人員の80%をカバーでき、残り20%はバスとなります。06年10月から岡山地区の路面電車、バス会社でもスタートしており、07年秋には静岡の鉄道・バス会社でも導入しますので、関西を中心に名古屋、岡山、静岡までネットワークが広がることになります。これでネットワークとしてはほぼひとつの完成となりますが、今後も、さらに拡大していく予定です。また、ショッピングサービスにつきましては、コンビニ、書店、飲食店、コーヒーショップ、スーパー、家電量販店、観光施設など関西圏を中心に約15,000店舗でご利用いただけます。また、PiTaPa対応の自販機も約1,000台設置しています。
—— PiTaPaというネーミングは独特の響きがありますが、ネーミングの由来を教えてください。
PiTaPaとは、「ピタッとタッチしてパッと決済される」という実際の利用シーンにおける一連の動きをイメージしています。また、『Postpay IC for “Touch and Pay”』の略で『触れるだけで決済できる後払いIC』という意味もあります。PiTaPaのコンセプトは交通にも日常生活にも使える“生活便利カード”なのです。