インタビュー

FeliCaが私たちの生活をますます便利に、
楽しくしてくれるんです

ソニー株式会社FeliCaビジネスセンター 松戸由香さん

私たちがふだん何気なく「かざして」使っているSuica(スイカ)やEdy(エディ)、おサイフケータイ。これらはすべて「FeliCa(フェリカ)」という技術に支えられています。
そんなFeliCaについて、その開発者や、FeliCaを使ったさまざまなサービス事業を提供されている事業者などに会ってお話を聞く「FeliCa物語」。第1回目となる今回は、FeliCaを開発したソニー株式会社に、開発の経緯やこれからの展望をうかがいました。

目に見えない技術に込められた思い

—— 最近、SuicaやEdy、おサイフケータイなど、私たちの生活で「かざす」ことが増えてきました。これらを支える技術が、ソニーで開発された「FeliCa」なんですよね。

はい、「FeliCa」というのは、カードやおサイフケータイで採用されている「非接触ICカード技術」の愛称です。カードを差し込むのではなく、読み取り装置に「かざす」だけで素早くデータのやり取りができるので、駅の自動改札や電子マネーなど、さまざまな分野で活用されています。

—— FeliCaという名前を知らずに使われている方も多そうですね。

FeliCaという名前はカード技術そのものにつけられた名前ですから、使っていただいている方が気づくことがない、陰で支える黒子(くろこ)のような存在ですね。ただ、名前が直接表に出ることはなくても、FeliCaによってみなさんの生活を便利に変えていく、そういうことに携わっていることにすごくワクワクしますし、やりがいを感じています。

—— 「FeliCa」の名前の由来を教えてください。

英語で「至福」を意味するfelicityという言葉と、cardを組み合わせた造語です。FeliCaには「人々の生活を便利に楽しくする」という思いが込められているんです。

FeliCaと鉄道がつないだ未来

—— FeliCa開発のきっかけは?

1988年にソニーの研究所で、宅配便の自動仕分け用ICタグとして開発されたものが原型です。荷物にくっつけてベルトコンベアで自動的に仕分けをするものだったのですが、コストの面で折り合わず、ビジネスに結びつけることはできませんでした。

そんなときに、あるスタッフがたまたま、鉄道総合技術研究所が乗車券の研究をしているという新聞記事を目にしました。それがきっかけで、共同研究へと話を進めることができたんです。

—— 一般に利用されるようになったのはいつですか?

1997年、香港の交通機関で「オクトパスカード」として使われたのが最初です。

—— 最初が海外だったとは、意外ですね。日本での導入はどうだったのでしょう?

2001年11月に、JR東日本のSuicaで導入されました。混雑の激しい大都市の鉄道では1分間に60人以上を改札に通さなければならないと言われています。読み取り装置にかざしてから、わずか0.1秒で処理ができるというスピードに注目いただき、FeliCaの採用が決まりました。
導入のとき、オープニングセレモニーがJR新宿駅で行われ、たくさんの来賓の方々が最初に自動改札を通る、いわゆる「渡り初め」をしました。しかし、マスコミの方が遠巻きになって見ているなか、「もし、改札の扉が閉まっちゃったらどうしよう」と、関係者はドキドキしながら見ていたんです(笑)。全員が通過できたときは本当にホッとしました。現在では首都圏以外でも、JR西日本のICOCA(イコカ)や、関西の私鉄のPiTaPa(ピタパ)など、全国のさまざまな鉄道、バスに、FeliCaが広がっています。